ビットコイン戦略準備金に関する失望感からBybitの巨額なハッキング、トランプ大統領の関税に関する取り組みなどを要因として、ビットコインは今年の1月につけた最高値からじわじわと価格を下げている。

カナダと欧州連合(EU)が共謀し、その政策が米国の経済活動に影響を与えるようなことがあれば、両国に対してより厳しい関税を課す可能性があるとトランプ大統領が警告したこともあり、3月27日から市場は重苦さを増している。

米国経済の動向を測るPCE指標

米国における個人の消費支出を測定する経済指標であるPCE。PCEは「Personal Consumption Expenditures」の略で、この指標は家庭が消費した財やサービスの総額を集計し、経済の健康状態を示す重要なデータとして広く利用されており、経済成長の主要なドライバーとされている。

したがって、PCEの動向は経済政策や市場の動向を理解する上で重要なものだ。

PCEが低調な場合は、インフレが抑制されていることを示唆し、金利引き下げや安定政策につながり、流動性を高め、投機的資産またはインフレヘッジとしてのビットコインの価格を支える可能性がある。

直近、3月28日に発表されたPCEはほぼ市場の予想通りでサプライズはなかった。前月比での減少や成長率が0.5%未満である場合、または消費者信頼感が著しく低下している場合に低調だと判断されるといわれているなかで、2%を超える成長率を示している現状では、米国が金利の引き下げに大きく舵を切ることはなさそうだ。

八木編集長FOCUS

資産とは何か、経済とは何か

先日、ブラックロックのCEO ラリー・フィンク氏は、米国が国家債務を適切に管理できない場合、米ドルがビットコインなどのデジタル資産に基軸通貨の地位を奪われるリスクがあると警告した。

加えてフィンク氏は、米ドルが長年にわたり世界の基軸通貨として機能してきたことの重要性を認識しつつも、その地位が永遠に保証されるわけではないと述べている。

成田悠輔が語る「お金のいらない社会」

「資産とは何か」「経済とは何か」を根底から揺るがす思考が徐々に浸透し始めているのかもしれない。ビットコインを単なる投資対象や投機商品とみる視点の先には、どれだけの「大変革」が待っているのか。

3月末発売のIolite(アイオライト)最新号の独占インタビューにて、“暗号資産を使えない世界ならば、暗号資産まで禁止してみせる”と語る成田悠輔氏が、人類と経済の未来、そしてAIとの共生の果てにみる「お金のいらない社会」について縦横無尽に語っている。

時価総額300兆円に迫る存在が、なぜ「無価値」の象徴にもなり得るのか。思想・技術・歴史を横断するこのロングインタビューをぜひ読んでほしい。

お金の代わりにデータを持つ時代が到来する —— 成田悠輔独占インタビュー

[Iolite記事]
お金の代わりにデータを持つ時代が到来する —— 成田悠輔独占インタビュー