先週の暗号資産市場の動向

先週の暗号資産市場は、主要銘柄でボラティリティの高い個別の動きとなりました。

12月2日(月)はBTCやETHは静かな動きに終始していましたが、XRPが前週の動きを引き継ぎさらに上値へのトライの展開を見せ、2.30ドル近辺から2.8ドル台へと進み、円ベースでも410円台まで進みました。

しかし、XRPは翌日3日には利益確定売りの動きとなり、さらに米国司法省がBTCを送金したニュースや韓国で戒厳令が発令されたことを受けて、370円台まで下落しています。BTCも91,000ドル台、円ベースで1,400万円割れまで下落する場面がありました。

しかし、4日にあったパウエルFRB議長のコメントが金融市場を含めて暗号資産市場でも好感され、大きく反発しています。というのもパウエル議長が「ビットコインはデジタルだが金(ゴールド)のようなものだ」「ドルの競争相手ではなく、金の競争相手だ」と発言したことを好感し、1,500万円近辺まで上昇する動きとなりました。

ただXRPだけはこの日も利食いに押され、350円台まで下落しています。5日は前日の動きを引き継いだBTCが10万ドルを超え104,000ドル近辺まで進む展開となりましたが、目標達成感も出て利益確定売りが膨らみ、96,400ドル近辺まで下落しました。XRPはその地合に押され340円割れまで下落しています。一方、ETHは今後の現物ETFの承認への期待が高まり、徐々に下値を切り上げ6日に4,000ドルを超え、円ベースで60万円台へ進んでいます。

先週末12月7日はBTCが1,490万円近辺(ドルベース99,800ドル近辺)、ETHが60万円台、XRPが390円台で終わっています。

ニューヨークの地下鉄

米国金融市場の動向

暗号資産市場は、内外の材料を受けて上下の荒い動きを見せていましたが、米国金融市場は発表された経済指標の結果やパウエルFRB議長のコメントなどを前向きもしくは楽観的に捉え、債券市場では米国10年債利回りが4.1%台半ばまで低下し、株式市場ではNYダウ平均が4日(水)に初めて45,000ドルに乗せ、S&P500やNASDAQが最高値を更新して週を終える動きとなりました。

発表された経済指標では、12月2日(月)にISM製造業景気指数11月が48.4と市場予想の47.6や前月の46.5を上回りました。50を8ヶ月連続で下回る内容でしたが、市場では悪材料とまでの判断にはなりませんでした。ただISM製造業景気調査委員会のティモシー・フィオーレ委員長は「需要の低迷と受注残の減少に伴い、11月は生産活動が減少した。」とコメントしています。

3日(火)には注目されている雇用関係指標の一つであるJOLTS求人件数10月が発表され、774.4万件と市場予想の748万件や前月の744.3万件を上回り、労働市場の底堅さを示すものとなりました。また解雇の件数が本年6月以来の水準となる163.3万件になり、全体として金融当局にとって良い知らせとなったようです。

4日(水)にも雇用関係指標のADP雇用者数11月の発表がありました。こちらは+14.6万人と市場予想の+15万人や前月の+18.4万人を下回りましたが、予想数字との乖離が大きくないことから悪材料とはなりませんでした。

パウエル議長のインタビューが市場に好影響

ちょうどこの日にはパウエルFRB議長のNYタイムズ紙によるインタビューがあり、パウエル議長が 「労働市場では、失業率は依然として低く下振れリスクは後退したようだ、インフレの状態についても進展している」 とコメントし、さらに 「米国経済は非常に良好な状態にあり、経済の成長はこれまで考えていたよりも力強い。米国経済は堅調であり、この状態が続かない理由はない。米国経済と金融政策の現状には満足している。」 と述べたことが好感され、こちらを市場は大きく取り上げる展開となりました。

米国株式市場の3指数はそろって最高値を更新し、NYダウ平均は初めて45,000ドルを超える動きとなっています。

米国の地図と米国雇用統計の文字

米国雇用統計発表と市場の反応

そして12月6日(金)に雇用関係指標で最も注目されている米国雇用統計11月が発表されました。 失業率は4.2%で市場予想と前月の4.1%から上昇しました。

また非農業部門就業者数は+22.7万人と市場予想の+20.0万人と前月の+3.6万人を上回りました。 前月は大型ハリケーンと大規模なストライキの影響があり、参考にはなっていません。 市場予想と大きな乖離がなく健全な水準の雇用と見られています。

この結果を受けて、12月のFOMCでの0.25%の利下げが確実視され、ハイテク銘柄の株価上昇から S&P500とNASDAQが再度最高値を更新しています。

日米経済指標と金融政策の影響

今週は米国での経済指標の発表は11日(水)の消費者物価指数(CPI)11月と12日(木)の生産者物価指数(PPI)が 来週のFOMCに向けて重要な発表となります。今までの米国経済指標の発表結果は、比較的米国金融当局が安心していける内容となっていると考えられ、 今週の2つの物価指数発表が余程イレギュラーなものにならない限り、金融市場が予想している政策金利の0.25%利下げが 実施されるものと考えられます。

一方、日本でもFOMCの直後に日本銀行の金融政策決定会合で金融政策についての決定があり、 国内金融市場では今回の会合が利上げの可能性を持っていると注目を集めています。 特に今週日本では経済指標の発表で第3四半期実質GDP、国際収支(経常収支、貿易収支)そして国内企業物価があり、 金融政策に対して影響のあるものだけにその結果についても注目が集まることになりそうです。

ドル円や株式市場への影響

こうした日米の経済指標の結果と金融政策の決定結果によっては、ドル円の動向が大きく変わることも考えられ、 特に日本の株式市場と暗号資産市場での円ベース価格に影響に十分な注意が必要です。

ビットコインのイメージ

ビットコインならびに暗号資産市場の今週の見通し

今週の暗号資産市場は、来週のFOMC(連邦公開市場委員会)および日銀の金融政策決定会合を控え、慎重な展開が予想されています。市場参加者は両国の政策決定が今後の経済動向にどのような影響を及ぼすかを見極めようとしており、大規模なポジション調整や急激な値動きは控えられる傾向が見られます。

米国では、FOMCにおいてさらなる0.25%の利下げが実施される可能性が高いと予想されており、この政策が成長を支える一方で、インフレ目標に対する金融当局の柔軟性を示すものとして市場に好意的に受け止められる可能性があります。一方、日本では日銀の金融政策決定会合において、利上げの可能性が取り沙汰されており、円相場や円建て資産に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

暗号資産市場においても、このような日米の金融政策が投資家心理に影響を与えることは避けられません。特にドル円相場の変動は、ビットコインやイーサリアムなどの主要暗号資産の円建て価格に直接的な影響を及ぼすため、為替市場の動向には十分な注意が必要です。また、日米の金融政策が株式市場に与える影響も重要です。ハイテク株の上昇や市場全体の好調さが続く場合、リスク選好が高まり暗号資産市場にもポジティブな波及効果が期待されます。

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.12.11]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %