今週のビットコイン市場のポイント
2024.11/4 〜 10

先週の米国金融市場の振り返り

先週はJOLTS求人件数、ADP雇用統計そして米国雇用統計の発表と米国の雇用に関する経済指標が相次いだほか、ケースシラー住宅価格指数、CB(コンファレンスボード)消費者信頼感指数そして個人消費支出価格指数(PCE)と経済指標の発表が目白押しの週となりました。

ビットコインマーケットのイメージ

そのような中で先週の暗号資産は、週初こそ堅調さをみせたものの週末にかけて徐々に上値が重くなるような展開となりました。28日(月)は前週の動きを引き継いだような下値のしっかりとした動きを見せ、また株式市場ではマイニング株上昇につられてBTCは1,040万円近辺から1,070万円前後へ進みました。

ドルベースでは68,000ドル前後から69,900ドル前後への動きとなりました。29日(火)もその動きを引き継ぎ、BTCはさらに1,100万円台前半へ上昇し円ベースでの最高値を更新する場面がありました。ドルでは72,000ドル台後半の動きとなりました。

ただ31日(木)になるとPCEコア価格指数の上昇などから上値が重くなり、予測市場のポリマーケットで大統領選挙のトランプ前大統領の勝率が低下したことなどにより1,060万円前後まで大きく下落しました。翌11月1(金)は小幅な動きとなり、BTCが1,070万円前後、ETHが38万円台前半、XRPが77円台半ばで週を終えています。

米国金融市場では、経済指標の発表結果を見ながらの展開となりました。28日は目立った発表もなかったことから株式市場は堅調な展開に終始しました。29日になるとJOLTS求人件数が744.3万人と発表され、市場予想の800万人を大きく下まわり、3年8カ月ぶりの低水準となりました。

しかし、一方でコンファレンスボード(CB)消費者信頼感指数は108.7で前月から9.5%上昇し、市場予想の99.5を大きく上回りました。CBのチーフエコノミストであるダナ・ピーターソン氏は「雇用が現在十分にあるかどうかの見方は、今まで低調であったが、持ち直したと見られ、労働市場の改善が反映された可能性がある」と述べています。

ニューヨークの街の様子

これらの結果に対して金融市場の反応は鈍く大きな動きにはなりませんでした。翌30日にADP雇用統計が23.3万人増と予想の11万人や前月の15.9万人増を大幅に上回り、雇用の堅調さを示しました。また米国の第3四半期GDPは前期比年率+2.8%で予想の3.0%を下回りましたが、全体として堅調さを示す内容となりました。

金融市場は11月1日の雇用統計への注目を高め、この日は静かな一日となっています。翌31日は個人消費支出価格(PCE)指数が発表され、コア価格指数が+0.3%と前月の+0.2%を上回り、市場予想と一致しましたが、依然として高止まりと判断され、株式市場はハイテク株を中心に大きく下落しています。(NYダウ平均378ドル安、S&P500 108ポイント安、NASDAQ512ポイント安)

今週の最大の注目材料であった雇用統計では、非農業就業者数が1.2万人増と大幅な鈍化となり、市場予想の10~11万人増や前月の22.3万人増を大きく下回りました。失業率は4.1%で前月比横ばいだったものの平均時給が市場予想の+0.3%を上回る+0.4%(前月比)となりました。

この発表については大型ハリケーンや大規模ストライキの影響が大きいと判断され、株式市場は反発し週を終えています。ただ債券市場では平均時給の上昇をインフレ懸念として嫌気され、米国10年国債利回りが4.38%と前日から0.1%も上昇しています。

合衆国大統領選挙

今週注目の経済イベント

今週も経済指標の発表はありますが、何といっても米国大統領選挙が最大の注目イベントであり、この結果次第で金融各市場が大きく影響を受けることになります。

現在、予測市場での大統領選挙は依然としてトランプ前大統領が勝率でリードしていますが、各世論調査の結果では拮抗しており、大接戦の様相を呈しています。

トランプ氏とクリントン氏が争った2016年は投票日翌日の午前2時半ごろに勝者が判明しました。これと同じペースなら日本時間11月6日午後4時半頃に判明しますが、今回は接戦が伝えられており、2020年と同じように結果が判明するのに数日かかると予想されています。

一方で11月6日~7日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利が決定されます。先週発表された経済指標の結果は、その評価を考えるに非常に難しい内容であったと思われますが、雇用に関する内容は、米国労働市場が数年前の過熱した状況から減速を続けていることを示していると考えられ、またパウエルFRB議長が雇用を問題点として取り上げて利下げを行ったことを踏まえれば、今回は0.25%の利下げとなる公算が強いと考えられます。

ビットコインとチャートのイラスト

ビットコイン・暗号資産マーケットの今週の見通し

今週のビットコイン市場は、もちろん米国大統領選挙とFOMC(連邦公開市場委員会)の動向が大きな影響を及ぼすと見られています。特に、大統領選挙の結果次第ではリスクオン・オフの流れが変化し、ビットコインを含む暗号資産市場のボラティリティが高まる可能性があります。

加えて、FOMCで予想される0.25%の利下げが市場にどのように受け止められるかも注目ポイントです。金融緩和の兆しが強まれば、ビットコインを含むリスク資産への資金流入が期待される一方、利下げが「経済の弱含み」を示唆すると見られた場合には、資金の流出が進む可能性もあるため注意が必要です。

トレードのポイント

  • 米国大統領選のタイミングを見極める

    大統領選の結果が判明するタイミングに注目。結果が予想と異なる場合、ビットコインの価格が急変動する可能性があるため、短期トレードにおいては動向をリアルタイムでチェックし、柔軟にポジションを調整することが求められます。特にトランプ氏が当選した場合、規制緩和への期待から一時的に暗号資産市場が押し上げられる可能性も考えられます。

  • FOMCの利下げ発表に注目

    FRBが利下げを決定した場合、リスク資産への資金流入が見込まれ、ビットコインに対してもポジティブに作用する可能性があります。しかし、利下げの背景に経済の下振れ懸念がある場合には、相場の押し下げ要因となる可能性があるため、FOMC後の価格推移に特に注意が必要です。

  • サポートラインとレジスタンスラインの確認

    テクニカル的には、現在のビットコイン価格のサポートラインとして1,050万円、レジスタンスラインとして1,100万円が意識されています。これらのラインを超えた動きが見られた場合、トレンドの転換点となる可能性があるため、トレーダーはポジションを調整する際の基準とすると良いでしょう。

  • 重要指標発表後の急な動きに注意

    雇用統計やFOMC発表後は、市場が想定していなかったシナリオに基づく動きが発生することがあるため、急変に備えたリスク管理が重要です。特に発表直後の高ボラティリティを利用した短期トレード戦略を活用する場合、過去の重要指標発表時の価格変動パターンも参考にしましょう。

今週は、大統領選挙、FOMC、経済指標の発表と、市場の変動要因が多く、また、今後の米国の経済動向を決定すると思われる重要な週であり、どのような結果が出ても、金融市場ならびに暗号資産市場は何らかの反応を示すものと考えられ、投資家のみなさまにつきましては、迅速な情報収集と市場の動向に十分に注意をはらっていただき柔軟に対応いただくことが求められるでしょう。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
11 04 18:00 欧州 ユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数)10月 ★★☆☆☆
11 04 24:00 米国 製造業受注、耐久財受注9月 ★★★★☆
11 05 終日 米国 合衆国大統領選挙 投票日 ★★★★★
11 05 22:30 米国 貿易収支9月 ★★★★☆
11 05 24:00 米国 ISM製造業景気指数10月 ★★★★★
11 06 23:45 米国 非製造業PMI 10月 ★★★☆☆
11 07 28:00 米国 FOMC(連邦公開市場委員会) ★★★★★
11 08 24:00 米国 ミシガン大学消費者信頼感指数11月 ★★★★☆

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.12.10]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %