今週のビットコイン市場のポイント
2024.10/07 〜 13

先週の米国金融市場の振り返り

先週の米国金融市場は週末10月4日(金)に雇用統計の発表を控えて上値の重い慎重な展開から始まりました。経済指標の発表では、9月30日(月)のシカゴ購買部協会発表が46.6と予想の46.0や前月の46.1を若干上回ったものの、翌日10月1日(火)にISM製造業景気指数9月が45.0と前月から横ばいで6ヶ月連続での50割れとなり、景気減速ムードがただよい株式市場は甘い動きとなりました。ただ同日に発表されたJOLTS求人件数9月が804万件と予想の769.3万件や前月の771.1万件を大きく上回ったことから雇用統計への期待が膨らんでいました。

そして10月2日(水)にADP雇用者数が14.3万人の増加となり、こちらも予想の12万人や前月の10.3万人を上回る増加となり、一段と雇用統計への期待が高まりました。ただ金融市場は静かに10月4日を迎える動きとなり、目立った展開にはなりませんでした。

景気好調の都市のイメージ

10月4日の雇用統計

注目された10月4日(金)の雇用統計は、「ホームラン」とも言える発表で、非農業部門就業者数は25.4万人増加となり6ヶ月ぶりの大幅な増加となりました。これは市場予想の15万人増や前月の15.9万人増を大きく上回りました。また失業率は4.1%で市場予想や前月の4.2%を0.1%下回りました。平均時給は前月比+0.4%と市場予想の+0.3%を上回りましたが前月の+0.5%からは下落しています。

ただ前年同月比では+4.0%で市場予想の+3.8%や前月の+3.9%を上回っています。平均時給の前年同月比が若干の上昇を見せましたが、前月比で0.1%下落した事を評価し、非農業部門就業者数の大幅な増加や失業率の落ち着きから、今回の雇用統計の結果は、「労働市場が急速に冷え込んでいるとの懸念を和らげる可能性が高く」、それを金融当局が歓迎する内容との見方が強まりました。

市場への影響

今回の発表を受けて11月に再度0.5%の利下げを行うとの市場予想は後退し、0.25%の利下げが11月と12月に行われるとの観測が強まっています。唯一の懸念材料は、今回の雇用の牽引役が娯楽・ホスピタリティ・ヘルスケア、そして政府機関によるものであり、製造業では減少が見られた点です。

こうした雇用統計の発表により金融市場はリスクオンのムードが強まり、債券市場では米国10年債利回りが3.97%へ上昇しましたが、株式市場は強く好感しNYダウ平均は341ドル高となり、市場最高値を更新しました。S&P500やNASDAQも上昇し、週を終えています。

専門家が分析するイメージ

専門家のコメント

HSBC銀行のチーフ・マルチ・アセット・ストラテジスト、マックス・ケトナー氏は「今回の発表はリスク資産を巡る当社の非常に強気な姿勢を改めて裏付けるもの」とし、世界中の株式、高利回り債、新興市場債を「積極的なオーバーウェイト」にするよう呼びかけました。

英国ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジ学長のモハメド・エルリアン氏は、「インフレは死んでいないことを気づかせた。米国金融当局は物価上昇との戦いに再度焦点を合わせる必要がある」とコメントしています。

ビットコインと暗号資産市場の振り返り

先週の暗号資産市場は、金融市場同様に重くのしかかる上値圧力を抱えつつのスタートとなりました。9月30日(月)には、この圧力の中でBTCに売りが集中し、65,000ドル台から63,000ドル台へと大きく値を下げました。さらに、10月1日(火)には、イランによるイスラエルへのミサイル発射を受けて、BTCはさらなる下落を見せ、ついに60,000ドル台に突入しました。

イランのイスラエルミサイル攻撃のイメージ

しかし、60,000ドル付近では買い支えが入り、10月2日(水)から3日(木)にかけては底堅い値動きで推移し、10月4日(金)の米国雇用統計の発表を待つ展開となりました。注目の雇用統計が発表された10月4日(金)には、米国株式市場と同様にBTCにも上昇の勢いが戻り、最終的に920万円台で週を締めくくりました。

一方で、ETHやXRPはBTCの上昇に連動することができませんでした。ETHは35万円台半ば、XRPは78円台半ばで週を終える結果となりました。その背景として考えられるのは、まずETHに関しては、直近のネットワークアップデートやガス代問題への懸念が残っていること、そしてDeFi市場の停滞感が影響している可能性があります。XRPについては、SECとの法的問題が引き続き市場に重くのしかかっており、投資家心理にネガティブな影響を与えていると考えられます。このような要因が、BTCが強さを見せる中でETHやXRPが同様の上昇を示せなかった理由として挙げられます。

今週の注目すべき経済指標

今週は先週からのリスクオンのムードが継続していくのか注目されるところです。9日(水)にはFOMC議事録の公表が予定されており、続いて10日(木)に米国消費者物価指数(CPI)、11日(金)には米国生産者物価指数(PPI)の発表があります。このため、先週の雇用統計発表以降、懸念として浮上しているインフレ動向を確認する重要な週となりそうです。

一方で、週初には日本の国際収支発表が予定されており、これにより、雇用統計発表以降の円安に触れた為替相場にどのような影響が出るのかも注目されます。

ビットコインの上昇のイメージ

今週の暗号資産市場の見通し

先週の暗号資産市場では、BTCが60,000ドルという心理的な節目をしっかりと守り、底堅い展開を維持しました。この水準は投資家にとって重要なサポートラインとして機能しており、先週末には米国の雇用統計発表を受け、米国株式市場がリスクオンムードに転じたことに伴い、BTCも同様に上値を追う動きを見せました。これにより、BTCは投資家に安心感を与える一方、さらなる上昇期待を抱かせる展開となっています。

今週の市場では、先週の強い流れを引き継ぎ、週初から堅調な値動きが続く可能性が高いと考えられます。特に、米国の雇用統計が予想を大幅に上回る結果となったことで、労働市場の強さが再確認され、これが暗号資産市場にもポジティブな影響を与えそうです。ただし、今週はFOMC議事録の発表や、米国消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)といった重要な経済指標が控えており、これらが市場全体にどう影響を与えるかが注目されています。特に、インフレ動向に関連するデータは、米国金融政策の今後の方向性に大きな影響を与えるため、投資家はその結果に神経を尖らせることになるでしょう。

リップルとイーサリアムとビットコインのイメージ

また、暗号資産市場においては、BTCだけでなくETHやXRPといった主要アルトコインの動向にも注目が集まっています。先週はBTCの上昇に連動できなかったETHやXRPですが、今週の市場環境次第では、これらのアルトコインにも追い風が吹く可能性があります。特に、ETHはネットワークアップデートやDeFi市場の活性化が期待されており、XRPはSECとの法的問題が進展すれば、さらなる上昇余地があると見られています。

総じて、今週の暗号資産市場は、先週の強気の流れを引き継ぎつつも、金融市場で浮上する新たな懸念材料や経済指標の発表によって、一時的な変動が予想されます。投資家にとっては、リスク管理を徹底しつつも、新たな機会を見極める重要な1週間となるでしょう。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
10 08 08:50 日本 国際収支(経常収支、貿易収支)8月 ★★★☆☆
10 08 21:30 米国 貿易収支8月 ★★★★☆
10 09 27:00 米国 FOMC議事録 ★★★★☆
10 10 08:50 日本 国内企業物価9月 ★★☆☆☆
10 11 21:30 米国 生産者物価指数(PPI)9月 ★★★☆☆
10 11 23:00 米国 ミシガン大学消費者信頼感指数10月 ★★★★☆

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.10.15]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
14

合計積立金額
1,400,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1369 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.7164 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %