先週の金融市場および暗号資産市場は予想されたように、4月2日(水)に予定されていたトランプ大統領による相互関税政策の具体的な発表に大きく左右される週となりました。

金融市場の反応と急落の展開

米国金融市場は週初から4月2日の関税政策の発表を控え、警戒感も強く慎重な動きをしていましたが、米国債券市場で関税政策による米国のリセッション懸念とインフレ懸念から利回りが低下したのを受け、またシカゴ購買部協会景気指数(PMI)が前月の45.5や予想の45.0を大きく上回り47.6と予想外の上昇を見せたのを受けて、株式市場は反発しNYダウ平均は417ドル高と上昇しました。

また、3月31日(月)にはマイクロストラテジー社がビットコインを22,048BTC(約2,580億円相当)買い増しし、BTCも一時83,757ドル(約1,225万円)まで上昇しました。翌4月1日(火)は関税政策の発表に向けて手控えられ、株式市場はまちまちの小動きとなり、債券市場は景気減速を懸念してさらに利回りが低下しました。

4月2日は関税政策の発表を控えていましたが、前日に発表されたJOLTS求人件数が756万件と予想の770万件を下回ったことや、ISM製造業景気指数が49.0と3ヶ月ぶりに50を割り、景気後退懸念が強まったことで債券市場での利回りが低下したことから、株式市場は反発しました。

予想を超えた関税政策のインパクト

しかし、金融市場が終了した後に発表された関税政策は、予想を大きく上回る厳しい内容となり時間外取引において株式市場は急落しました。4月3日(木)の金融市場は大荒れとなり、NYダウ平均 -1,679ドル、S&P500 -274、NASDAQ -1,050の大幅な下げを記録しています。

続く4日(金)もこの動きは止まらず、NYダウ平均 -2,231ドル、S&P500 -322、NASDAQ -962を記録しています。債券市場でも米国10年国債利回りが3.99%と4%割れまで大きく低下し、米国景気のリセッション入りを強く意識した展開となっています。3日および4日の動きは株式市場、債券市場に留まらず、商品市場でもそれまで大きく上昇した金価格や原油価格も急落しています。

トレード成績のグラフ

暗号資産市場も株式市場と連動して乱高下

暗号資産市場は、やはり金融市場の動きに左右される週となりました。週初は83,000ドル台(約1,240万円)での落ち着いた動きを見せ、翌4月1日、そして2日も株式市場の上昇につられるようにしっかりした値動きを見せ、関税政策の発表前には88,500ドル(約1,330万円)近辺まで上昇していました。

しかし、発表後は株式市場と同様に急落へ転じ、81,000ドル台(約1,180万円近辺)まで下落しています。4日は84,000ドル台まで反発する場面もありましたが、やはり上値は重く82,900ドル(約1,210万円)近辺で週を終えました。

ETHの値動き

ETHも週前半に堅調な動きを見せ、1,850ドル(約27万円)台から1,920ドル(約28万円)台へ進み、関税発表前には約2,000ドル(29.3万円)近辺まで上昇しましたが、その後大きく下落し、1,790ドル(26.2万円)近辺で週末を迎えています。

XRPの値動き

XRPも同じような展開となり、週初から徐々に下値を切り上げる動きを見せ、関税発表前には2.3ドル(約334円)近辺まで上昇していましたが、その後、2ドル(約286円)近辺まで急落し、2.1ドル(約305円)近辺で週を終えています。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

曜日日本時間経済イベント重要度
4 8 08:50 日本 国際収支(経常収支、貿易収支)2月 ★★★☆☆
4 9 28:00 米国 FOMC(連邦公開市場委員会)議事録 ★★★★☆
4 10 10:30 中国 生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)3月 ★★★☆☆
4 10 21:30 米国 消費者物価指数(CPI)3月 ★★★★☆
4 10 21:30 米国 新規失業保険申請件数3/30-4/5 ★★★☆☆
4 11 21:30 米国 生産者物価指数(PPI)3月 ★★★☆☆
4 11 23:00 米国 ミシガン大学消費者信頼感指数4月 ★★★★☆
横スクロール(フリック)でご確認いただけます>>

今後の市場見通しと下落相場の継続懸念

先週に始まったトランプ関税政策による世界的な株式の下落相場は、今後の企業業績の見通しが固まるまでしばらく続くと考えられますので、今週も株価下落を中心とした弱気な展開が続くと考えられます。以前に述べたように3指数がチャートで調整を示唆していましたが、いよいよ本格的に調整相場、あるいは下落相場入りが確認されてきました。

前回の大きな調整局面では3指数とも10~11ヶ月の調整期間を見ており、今回は年末近くまで調整が続く可能性があると思われます。

また前回の下落を参考にし、またチャートの過去の動きを見ると、NYダウ平均で35,000ドル近辺、S&P500で4,500ポイント、NASDAQで14,500ポイント程度までの調整は一応覚悟しておいた方が良さそうです。今後、政策金利を据え置いている米国金融当局が金融緩和へと動けば条件は変わってきます。また、トランプ大統領が関税政策を中止すれば、簡単ですがそんなことにはならないでしょう。

金価格の動向にも注目

一方、この週末は下落した金価格については、短期的な売却が一巡すれば早めに切り返す可能性が高いと考えています。不透明感が強く続く市場の状況の中で1番の安全資産と考えられますので、注目をしていただきたいと思います。

暗号資産市場への影響と今後の可能性

関税政策は、暗号資産市場にも大きな影響を与えましたが、暗号資産はトランプ大統領の掲げる政策の1つであるだけに、今後の暗号資産に対する政策展開が注目されることになります。この政策が具体化するまでの間、暗号資産は金融市場の動向に影響される展開が続くと思われ、BTCに関しては70,000ドル(約1,025万円)割れ程度までは調整があるかもしれません。

ただ、金価格の動きが落ちついた場合は、ビットコインに対する「デジタル・ゴールド」の意識が高まるかもしれませんので、注意が必要です。

当面は、厳しい環境が続くと考えられますが、投資家の皆さまには市場動向に十分注意していただき、慎重な対応を心がけていただければと思います。

BTC積立企画

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2025.04.15]

ポートフォリオの現在の資産価値
 円

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
 円

利益率
%

積み立て回数
16 回

合計積立金額
1,600,000 円

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %
    横スクロール(フリック)でご確認いただけます>>