ECB Forum on Central Banking 2023「更なる引締めの可能性 !?」
2023.06.30
更なる利上げを示唆する発言つづく
ポルトガルのシントラでECBフォーラムが開かれ、各国中央銀行のトップが集結しています。そうした中、米欧英日の中央銀行トップによるパネルディスカッションが行われ、米欧英のトップからは更なる引締めの可能性を示唆する発言がありました。
米国FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「政策は抑制的だが十分に抑制的でない可能性がある。抑制的な政策はまだ十分に長い期間行われていないかもしれない。現在の市場の予想より長期間にわたり高金利が維持される。」とし、7月と9月のFOMC(米公開市場委員会)での「連続利上げを排除しない。」と連続利上げの可能性を示唆しました。
パウエル議長の発言に対してイングランド銀行のベイリー総裁、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁も同様の見解を示して、両者とも一層の行動を予想していると述べています。
予想を超えて高止まりするインフレ
英国とEUの5月の物価上昇率(CPI)は前年同月比+8.7%と+6.1%でした。英国は市場予想を上回り非常に高い水準が続いています。またEUは昨年の10%を超えるような状況からは低下をしてきていますが、エネルギー価格の低下が大きく寄与した中、食品などの項目は依然として10%を超えており、今後の天候による影響なども考慮し不透明な状況が続きます。
日本はまだ超低金利に据え置き
一方、日本銀行の植田総裁は、5月の物価上昇率(CPI)が前年同月比3.2%だった事を受け、「すでに物価目標を大きく上回っているが、基調的には2%より少し低いと考えており、現在、政策金利を据え置いている理由となっている。」と述べ、また「物価にある程度確信が持てるようになれば政策変更の十分な理由となる」と語りました。7月27日と28日に開催される日本銀行の金融政策決定会合で新たな物価見通しを示すとされ、注目されます。
続く円安基調
このような各国中央銀行トップによる発言から円相場は、財務省による円買い介入に対する警戒感はあるものの円安傾向が続いています。当面は少しずつ円安レベルへのチャレンジが行われると考えられ、当面は米国を中心とする経済指標の発表に一喜一憂の展開となりそうです。