9月に入り、ドル円相場は140円台へ突入しました。これは1998年以来24年ぶりの水準です。今回は米国でのジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長による講演がきっかけとなりました。

今週ECBの0.5%もしくは0.75%の利上げが想定されており、日本は主要国で唯一のマイナス金利国となると見られています。インフレ抑制に動く米欧は金融引き締めへ動いており、米国との金利差は約3%となっています。金利の高いドルが買われ、金融緩和を継続し超低金利の円は引き続き売られやすい状況が続いています。

 日本銀行はもともとインフレ率が米欧に比べて低い中で国内経済を冷やすことになりかねない利上げには否定的です。

外国為替の決定要因のひとつとして貿易収支がありますが、日本の7月の貿易収支は1兆4,367億円の赤字で12ヶ月連続の赤字となりました。エネルギーや食品の価格上昇により輸入金額が増加しているのが要因です。

このように拡大する海外との金利差や貿易収支の赤字などをポイントに今後も円安が続くと見られています。今年急速に強まった円安の動きはどこまで進むのでしょうか?

現在、国内のエコノミストからは145円程度までの円安についてコメントが見られます。

 

 ここで改めていままでのドル円の動きを年足チャートで見てみましょう。

1971年~2022年 ドル円チャート(年足)

ドル円の1年間の振れ幅(安値と高値)

安値高値振れ幅
2022年144.52円113.48円31.04円
1998年147.64円113.81円33.83円
1990年160.35円124.05円36.30円
1989年151.35円123.80円27.55円
1987年159.20円121.85円37.35円
1986年203.30円152.55円50.75円
1985年263.65円199.80円63.85円

年間の振れ幅を見ると今年はすでに31.04円も動いています。過去を見ると大きく動いている年はそんなにありません。今年ここまで振れているのは、今後の大きな変動を示唆している可能性もあり注意が必要と考えています。

 チャートでは長期の移動平均線(13年、26年)を入れていますが、まもなくクロスをするイメージになっており、長期の円安を想定することが出来そうです。

今は全くの想像でしかありませんが、プラザ合意後の猛烈な円高の逆を行く円安も頭の片隅に持っていても良いのかもしれません。