トランプ政権の強硬姿勢、石破政権はどう動く?関税交渉の行方
2025.07.04
トランプ大統領、日本に対して関税強化を示唆
7月1日、トランプ大統領は日本との関税交渉について「とても強硬だ」と述べ、米不足を悩みとする日本が米国産の米を輸入しないことや、自動車による対日貿易赤字について不満を示し、「合意ができるか疑わしい。30%か35%か、我々が決める数値に応じて支払ってもらう」と発言をしました。
相互関税と上乗せ税率の停止措置
トランプ政権は4月に相互関税を発動していますが、直後に国ごとの上乗せ税率を90日間停止し、日本には基本部分の10%が現在適用されています。
日米交渉の進展と課題
交渉担当者とこれまでの協議
日本政府は赤澤亮正経済再生担当大臣を米国との交渉担当者として任命し、これまで7回の協議を米国で重ねてきていますが、米国は即効性のある対日貿易赤字削減を求めており、日本が提示している造船や航空分野での日米協力は赤字削減にすぐに結びつかず、日米の話がかみ合わない状況となっています。
そうした中で上乗せ税率の停止期間終了が今月9日に迫り、トランプ大統領はさらに高い税率を示して日本に圧力をかけてきました。

米国と他国の通商交渉の状況
英国・中国・ベトナム・EU・インドとの合意
これまで米国は5月8日に英国との関税交渉合意を発表しており、6月17日にトランプ大統領と英国のスターマー首相は貿易協定の文書に正式に署名しました。
他の国・地域との交渉では中国と緊張緩和に向けて合意しており、7月2日にベトナムとの合意が発表されました。さらにEUは7月1日に閣僚級協議を開催し、期限までの決着に意欲を示しています。また、インドとはほぼ合意に達しており、最終段階とコメントされています。
日米の貿易不均衡と自動車問題
貿易収支の現状
昨年度(2024年度)の貿易統計によると、日本から米国への輸出額は21兆6,483億円で、米国から日本への輸入額は12兆6,434億円でした。貿易収支では9兆48億円の日本の黒字、米国の赤字となっています。この巨額な米国の赤字(日本は黒字)を解消するのは簡単ではありません。
米国車輸入の現実的困難
日本経済新聞の報道によると、この赤字を解消するのに米国車の輸入で考えると、米国車の輸入価格平均が1台933万円で9兆円分を輸入するとして、約96万5,000台になるそうです。2024年度の輸入実績が約1万3,000台ですから72倍に輸入を増やさなくてはなりません。
現在、日本での米国車の新車販売は、無関税にもかかわらず売れていません。新車販売に占める米国車の比率は1%にも満たない状況です。米国車の輸入を増やすのはかなり難しい状況と考えられます。
政治日程と交渉への影響
選挙と譲歩の難しさ
日本では7月3日に参議院選挙が公示され、選挙戦がスタートしました。石破政権としては、選挙を意識して農産物の関税引き下げなどの譲歩はしにくい状況にあり、これまでの交渉スタンスを簡単に変えることは難しいタイミングと思われます。
関税交渉の今後と日本経済の行方
今月9日に期限が迫る中、石破政権とトランプ政権による交渉がどのように展開していくのか、今後の日本経済の浮沈に関わる重要な案件として日本中が注視していくことになります。

為替と資産防衛における暗号資産の可能性
ドル円の変動リスクにどう備えるか
関税交渉の進展次第で、ドル円相場は大きく揺れる可能性があります。合意によってリスクオンの円安に振れるケースもあれば、交渉決裂や追加関税によって円高が進むシナリオも否定できません。為替ヘッジ手段が限られる中、法定通貨と異なる値動きをする資産の一つとして、暗号資産が注目されています。
暗号資産の「非相関性」を活かす戦略
暗号資産の最大の強みは、従来の金融資産(株・債券・通貨)と異なる値動きをする「非相関資産」としての特性です。グローバル経済や金融政策が混迷する中、暗号資産を組み入れることで、全体のポートフォリオのバランスを取りやすくなります。特に、地政学リスクや通商リスクが高まる局面では、法定通貨の価値変動に対する補完的手段となります。
分散投資の中に暗号資産を位置づける
株式や不動産、金(ゴールド)といった資産との分散効果を高めるために、暗号資産をひとつのアセットクラスとして捉えることが有効です。投資の目的やリスク許容度に応じて、全体のうちどの程度を暗号資産に配分するかを検討し、長期的な資産形成を見据えた戦略的配分が望まれます。
ステーブルコインの活用でボラティリティに対応
暗号資産は価格変動が大きいため、短期的な調整局面も想定する必要があります。そのような局面では、米ドルなどと連動したステーブルコインの保有が、資産の一時的な避難先として機能します。また、法定通貨建ての取引を行う際の橋渡しとしても有用であり、リバランスの柔軟性を高める役割も担います。
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暗号資産は技術革新に支えられた市場であり、短期的なボラティリティを超えて、長期的な成長を期待する声も根強くあります。特に、Web3、DeFi(分散型金融)、AI連携型トークン、CBDCとの併存環境など、次世代インフラとの融合が注目されており、将来を見据えた投資判断が重要です。
変化の激しい時代に必要なマインドセット
日米関税交渉のように、政治や外交が市場に与える影響が大きい局面では、「ひとつの前提に依存しない分散思考」が求められます。暗号資産も万能ではありませんが、適切な情報収集と分散投資を前提とすれば、予測困難な経済環境に対する選択肢を広げることができます。