トランプ新政策でインフレ懸念高まる!FOMC議事録が示す金融政策の未来
2025.01.10
12月FOMC議事録の公表とその背景
12月に開催された米国金融当局によるFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が1月8日に公表されました。この会合では9月から3会合連続で政策金利の引き下げが決定し、0.25%の利下げが行われました。
トランプ新政策によるインフレ懸念
今回の会合では、11月の大統領選挙で当選したトランプ氏による新たな政策である関税引き上げや移民政策などを含めてインフレ率の高止まりに対して警戒を強める内容となっています。
会合の議論では、トランプ新大統領の公約としてあげている政策について焦点があたり、参加者から「最近の予想を上回るインフレ率や、公約として出されている関税に関する貿易や移民の政策の潜在的な影響を考慮すると、インフレ目標を達成に向けたプロセスは予想よりも長期化する可能性がある」との指摘が出されました。
これらの新政策は、国内経済の一部セクターに短期的な刺激を与える一方で、中長期的にはコスト構造の変化を引き起こし、経済の過熱や価格の上昇圧力につながる可能性があるとされています。こうした背景から、インフレ率が目標範囲を超えるリスクへの警戒感が高まり、金融政策の運用に一層の慎重さが求められる状況となっています。
特に、トランプ新大統領の政策が市場の予測を大きく超える形で実行された場合、経済全体に与える波及効果は一層顕著になると見られています。政策の影響がどの程度の期間で現れるかについては未確定な部分も多いですが、こうした不確実性が金融政策の長期的な展望に大きな影響を与える可能性が高いと参加者たちは認識しています。
![会議室と様々な検討データ](https://bitlending.jp/wp-content/uploads/2025/01/dhuidhjsoa.jpg)
政策金利の見通しと金融市場の反応
参加者の多くから直近の米国経済において個人消費や労働市場が力強さを保っていることにより「これからの数四半期にわたる金融政策の決定には慎重なアプローチが必要であることを裏付けるいろいろな要因がある」との意見が出され、今後の政策金利の引き下げについては、時間をかけて検討する点で一致しています。
また参加者はインフレ率が想定通り目標に向かって鈍化し、完全雇用に近い状態を維持できているという条件のもとで「(経済成長率を減速させない)中立な水準まで時間をかけて政策金利を段階的に下げることが適切になるだろう」としています。参加者は利下げのペースを緩めるべき水準にすでに達しているか、近いところまで来ているという認識で一致し、政策金利が経済成長率を減速させない中立な水準まで「かなり近づいている」とみる参加者も数名いました。
市場データと政策の今後
パウエル議長は12月の会合後の記者会見で、今後は「新しい局面に入った」と9月から3会合連続で実施した利下げのペースをゆっくりにする考えを示していました。
12月のこの会合では、9月に政策金利の0.5%引き下げを決定した時とは考え方が大きく変化しており、会合後に公表されたFOMC参加者による経済見通しでは、2025年の利下げ回数が中央値で2回と減少しています。
今回の議事録公表を受けて金融市場では、2025年の政策金利引き下げ回数を1回あるいは引き下げは終わったとの予想も出てきています。
今後の注目ポイント
これは今週発表されたISM非製造業景況指数が54.1と前回の52.1から2.0上昇し、予想の53.5をも上回り、またJOLTS求人件数11月が809万8,000件と前月の774万4,000件や予想の774万件を上回ったことから、サービス業などの状況が堅調で労働市場の状況も改善し、インフレは依然として根強いと判断され、今後の利下げ見通しが後退したと考えられます。
すでに米国金融市場では、今年前半の政策金利引き下げを織り込まない状況になってきています。
今月20日に新大統領の就任式を迎えることになりますが、新たな政策によるインフレへの影響により米国の金融政策がどのような展開になっていくのか注目されます。
![ビットコインとそれを称える手](https://bitlending.jp/wp-content/uploads/2025/01/hfuihsfjops.jpg)
個人消費と労働市場の堅調さがビットコイン・暗号資産に与える影響
米国の個人消費や労働市場の堅調さが示す経済の強さは、インフレ圧力を高める要因として注目されています。一方で、ビットコインをはじめとする暗号資産市場では、このような環境が新たな動きにつながる可能性があります。
インフレが高止まりする局面では、価値の保存手段としてのビットコインの需要が増加することが見込まれます。特に、法定通貨の購買力が低下する懸念が広がる中で、ビットコインが「デジタルゴールド」としての地位をさらに確立する可能性があります。また、労働市場の改善や消費の増加が続くことで、リスク資産としての暗号資産への資金流入が増えるという見方もあります。
さらに、トランプ政権が暗号資産に対してどのような政策を打ち出すかも市場にとって重要なポイントです。大統領選挙期間中にトランプ氏が示唆した規制緩和やブロックチェーン技術への積極的な姿勢が具体化するならば、暗号資産市場は大きな追い風を受けることになるでしょう。一方で、もし関税引き上げや移民政策の影響で経済の不透明感が増せば、リスクヘッジとしての暗号資産の魅力がさらに高まる可能性もあります。
今後のトランプ政権がどのような政策を進めるのか、特に暗号資産への取り組みがどうなるかは注目に値します。こうした中、ビットコインや暗号資産は、経済環境の変化に敏感に反応しつつ、投資家の多様なニーズを満たす資産クラスとして、その役割をさらに広げていくことが期待されています。2024年以降の暗号資産市場の行方は、経済の強さと新たな政策のバランスの中で、新たな展開を迎えることでしょう。