VanEck、暗号資産経済に特化したETF「NODE」を上場へ

資産運用大手VanEckは、暗号資産関連ビジネスに特化したあたらしいETF「Onchain Economy ETF(以下、NODE)」を5月14日に上場予定だ。同社は、ソラナやBNB関連ETFの申請でも先駆けており、暗号資産関連ETFの開発で先行している。

NODEは、暗号資産取引所やビットコインマイニング企業、データセンターなど130超の企業から30〜60銘柄を選定し、デジタル資産経済の成長に投資するETFとなっている。このNODEというティッカーシンボルは、分散型ネットワークの重要な構成要素であり、トランザクションの保存、検証、コンセンサスの維持に寄与するブロックチェーンの「ノード」から取れてたものだと推測でき、ブロックチェーンネイティブな投資家層へのアピールが感じられる。

幅広い分野への投資とその戦略

投資対象は取引所やマイナーだけでなく、エネルギーインフラ、半導体、金融、ゲーム、資産運用会社など多岐にわたり、最大25%まで暗号資産ETFなどの商品にも配分可能。純資産の80%以上をデジタルトランスフォーメーション企業および関連商品に投資する方針のようだ。

昨今の暗号資産をポートフォリオに組み入れて、企業価値があがる潮流は暗号資産のリスクのみならず、暗号資産保有企業のリスクも内包することになるため、個人的には懐疑的にみている部分もある。しかし、エネルギーインフラや半導体、金融関連事業者も投資対象となる点では、Web3.0領域、ひいては次世代のテクノロジーにベットできるという部分において評価できる。

八木編集長FOCUS

ブロックチェーン体験の新たなかたち──大阪・関西万博「null²」

とはいえ、「このブロックチェーンの性能が、あのブロックチェーンよりも優れている」といった同領域内での技術的な議論は、一般の読者にとっては依然としてハードルが高いものである。直近1年間で約180万件を超える新規口座開設数を記録し、暗号資産業界において突出した成果をあげているメルコインのように、技術そのものを前面に出すのではなく、あくまでなめらかなユーザー体験を主軸とするアプローチが、現在の主流となりつつある。

むしろ、ブロックチェーン技術の革新性に過度な期待が寄せられたがゆえに、技術の進展とサービス利用の現実が乖離し、議論や開発が独り歩きしてしまった面もあるのかもしれない。

体験重視の「null²」パビリオンとミラードボディ

そうしたなか、2025年4月13日より開幕した大阪・関西万博は、革新的な技術や思想が交差する国際的な舞台として大きな注目を集めている。そのなかでもとりわけ話題を呼んでいるのが、シグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」である。

本パビリオンは、メディアアーティスト・落合陽一氏がプロデューサーを務め、「有史以来行われてこなかった鏡の再発明」をテーマに、デジタルとフィジカルの融合を試みる空間として設計されている。デジタルと現実の境界を曖昧にし、あらたな体験価値を創出する試みとして、連日長蛇の列ができるほどの高い人気を博している。

このパビリオンで発行されるのが「ミラードボディ(Mirrored Body)」と呼ばれるID基盤である。来場者自身の3Dモデルとブロックチェーン上のNFTを紐付けることで、個人データを蓄積し、リアルに成長していく“デジタル分身”を形成する。

ミラードボディは、譲渡不可能なトークンである「SBT(Soulbound Token)」として発行される仕組みとなっており、個人に帰属する情報資産として、あらたな可能性を提示している。

大阪万博始まるの新聞記事風のイラスト

「なめらかな体験」が技術を引き立てる時代へ

万博に足を運ぶ来場者は、知的好奇心や情報感度の高い層であることが予想されるが、それでも技術的なすごさを一方的に解説するブースより、フィジカルな没入体験として提供するパビリオン型の設計に、技術と体験の融合の理想形があるような気がする。

裏側にある技術は表に出すのではなく、体験を通じて自然に認識される構造が、次世代型サービスのあり方なのだろう。

なお、2025年4月16日・17日に開催された「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」には、「null²」と関わりの深い企業であるSustainable Pavilion 2025も出展しており、同社の事業責任者による登壇も行われた。

今後、主流となっていくであろう「なめらかなユーザー体験」の裏側に潜む技術的価値の一端を、こうした先進的なプロジェクトを通じて垣間見ていただきたい。

次世代技術が切り拓く時代の本質を見極める「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」イベントレポート

[Iolite記事]
次世代技術が切り拓く時代の本質を見極める「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」イベントレポート