NOT A HOTEL DAOは10月31日から、国内暗号資産(仮想通貨)取引所のGMOコインで「NOT A HOTEL COIN(NAC)」のIEO申し込みを開始。親会社のNOT A HOTELは、2022年にNFTとRWA(現実世界資産)を融合させたあたらしい仕組みを開発し、国内で7.6億円の売上を達成。販売後数分で即完するというNFTを活用したプロジェクトのなかでも、特出した成果をあげたプロジェクトだ。

NOT A HOTELが初見の方に簡単に説明すると、NFTを介して一棟丸ごとまたはシェア購入することができるほか、宿泊施設の客室を特定の日付で利用できたりすることができる権利をNFTとして販売し、購入者はその客室の利用権をデジタル上で持つことができる。もちろん、他者に貸し出したり、売却することも可能だ。

八木編集長FOCUS

特定の日付で利用することができる権利が付与されているNFTは、「NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT」という名称でリリースされ、リリース段階ではランダムに宿泊日が刻印されるが、セカンダリーでは日付が刻印されたNFTを購入できるため、パートナーとの記念日など特別な日が刻まれたNFTをセカンダリーマーケットで購入して、宿泊先が決まってから旅のプランを考えるなど、あたらしい体験に付加価値が見出されている。

個人的な感覚では現時点、国内でNFTを活用した唯一の成功事例だと思っている。同プロジェクトが多くのユーザーに受け入れられた要因は主に2つある。

プロジェクト成功の要因

NOT A HOTELプロジェクトが多くのユーザーに受け入れられた要因は、以下の2点です。

  • 二次流通の容易さ: セカンダリーマーケットでの再販が可能で、購入時よりも高値で取引できる要素が残っていることが購入動機の1つとなっています。
  • 柔軟で先進的なサービス: スマートコントラクトの利用により、NFTを起点に新しい特典やサービスが提供され、先進的なブランドイメージを確立しています。

その他にもさまざまな要因が絡み、リリース直後に即完売するプロジェクトになったと考えられます。

ほかにもさまざまな要素が絡まって、リリース後数分間で即完売するプロジェクトになったことは承知だが、先述した2つの要素は大きいと思う。

NOT A HOTEL COIN(NAC)があらたな成功事例を創るか注目

国内事業者のNFTを活用したプロジェクトが芳しくないのと同様に、日本国内のIEOにおいても良い雰囲気のIEOは目立って現れてこない。

現在の日本国内のIEOにおいては、法規制により海外投資家の参加が制限されているため、投資家層が限定的になることが要因で市場の規模が限られる。このような状況下では、トークンの需要があがりにくく価格が上昇しにくいという状態に陥りやすい。価格の上昇がイコール良いプロジェクトであるとも言い難い部分もあるが、プロジェクトの盛り上がりは、ユーザーにとって悪いものでもないことは事実だろう。

プロジェクトの成熟度が不足している状態でのIEOも受け入れられない要因の1つであると考えられるが、その点NOT A HOTEL DAOについては、実績とプロジェクトの成熟度が高いと考えている。

今回のIEOを通して流通するNACという暗号資産は、レンディングすることで宿泊権を獲得することができるほか、宿泊時の付帯費用や物件管理費の支払いや限定特典も用意するとされている。NFTを活用したプロジェクトとして成功事例を作ったチームが、DAO(Decentralized Autonomous Organization)を活用してあらたな成功事例を創出することは、業界にとって非常に意義のあることだと思うので、応援の気持ちを込めて注視したいトピックだ。

NOT A HOTEL COIN(NAC)、IEO申し込み開始 現物資産で日本初

[Iolite記事]
NOT A HOTEL COIN(NAC)、IEO申し込み開始 現物資産で日本初

IEO(Initial Exchange Offering)とは?

IEO(Initial Exchange Offering)は、暗号資産(仮想通貨)プロジェクトが資金調達を行う際、暗号資産取引所を介してトークンを販売する方法の一つです。IEOは、従来のICO(Initial Coin Offering)とは異なり、プロジェクトが取引所の支援を受けるため、投資家にとってより信頼性が高いとされています。IEOの仕組みや特徴について詳しく説明します。

IEOの仕組み

取引所の選定

プロジェクトチームは、IEOの実施をサポートしてくれる暗号資産取引所と提携します。取引所側は、プロジェクトの審査を行い、信頼性や将来性を評価してIEOのサポートを決定します。

KYC/AML(顧客確認・マネーロンダリング防止)

取引所は、IEO参加者に対してKYC(Know Your Customer)とAML(Anti-Money Laundering)といった本人確認を行います。これにより、匿名性が高い暗号資産取引においても、取引の透明性と法的な遵守を確保します。

トークン販売と資金調達

取引所は、指定された期間中にプロジェクトのトークンを販売します。IEO参加者は、取引所のプラットフォームを通じて、IEO対象トークンを購入できます。一般的に、IEO参加者は取引所が指定する暗号資産(ビットコインやイーサリアムなど)でトークンを購入します。

上場と取引開始

IEO終了後、取引所は速やかにトークンを上場します。これにより、IEO参加者は購入したトークンをすぐに売買できるようになります。取引所で即座に取引可能なため、流動性が高まり、取引が活発化する可能性があります。

IEOのメリット

投資家にとっての信頼性

取引所がプロジェクトを審査し、サポートすることで、詐欺プロジェクトのリスクが低くなります。ICOに比べ、IEOは信頼性が高く、多くの投資家にとって安心感があります。

迅速な上場

IEOで購入されたトークンは取引所で即座に取引できるため、流動性が高くなり、価格形成が迅速に行われます。これにより、投資家は早期に利益を得る可能性が高まります。

取引所のサポート

プロジェクトは取引所のリソースを活用できるため、マーケティングや技術支援を受けながら、スムーズにトークンの発行と上場を実施できます。

IEOのデメリットとリスク

取引所依存

プロジェクトは取引所の審査を通過しなければIEOを実施できないため、取引所の基準や方針に依存します。また、取引所の評判やセキュリティもIEOの成功に影響します。

法規制と地域制限

各国の法規制によって、特定の地域ではIEOの参加が制限されることがあります。特に海外の投資家が参加できない場合、資金調達の規模が小さくなる可能性があります。

プロジェクトの成功依存

IEOは取引所の審査があるため、信頼性は比較的高いものの、必ずしもプロジェクトが成功する保証はありません。市場の反応やプロジェクトの実行力によっては、トークンの価値が期待通りにならないリスクがあります。

IEOと他の資金調達手法との違い

ICO(Initial Coin Offering)との違い

ICOはプロジェクトが直接投資家にトークンを販売する方法ですが、取引所のサポートは受けません。そのため、詐欺リスクが高い一方で、取引所の審査を受けないためプロジェクトの自由度が高いです。

STO(Security Token Offering)との違い

STOは、証券として規制されたトークンを発行する方法です。STOは証券法の遵守が必要で、投資家保護が強化されていますが、規制が厳しい分、手続きやコストがかかります。

IEOは、信頼性の向上と流動性の確保を目的に設計された新しい資金調達手法であり、取引所のサポートを受けながら迅速にトークンを流通させることができるため、ICOやSTOと比較して多くの利点があります。