「ビットコインは売らない」日本発の爆速成長企業・メタプラネットの全貌
2025.04.11
注目集まるメタプラネットとは
最近何かと話題のメタプラネット(Metaplanet)は、Iolite(アイオライト)の人気記事の常連にもなりつつある。それだけ世間の注目度が高いということだろう。
同社は日本の企業であり、主にビットコインへの投資とホテル運営を行っている会社で、現在はビットコインに焦点を当てたメディアも運営している。1999年に創業し、2004年には東京証券取引所スタンダード市場に上場した。
ビットコイン戦略による急成長
長らく事業は低迷していたものの、2024年4月にビットコインへの投資戦略を発表し、継続的なビットコインの購入を行い始めてから状況は大きく変わった。株式併合や株式分割を行っているため、株価よりも時価総額でみると明確かつ顕著に成長が伺えるが、2022年に300億円ほどだった時価総額は、ビットコインを購入し始めた2024年に2,000億円を超えるなど、7倍近い成長を遂げている。
継続するビットコイン購入と世界トップ10の保有量
CEOのサイモン・ゲロヴィッチさんがIoliteのインタビューで「ビットコインを売却する意図は一切ない」と語っている通り、メタプラネットは現在も継続的なビットコインの購入を繰り返しており、その保有量は世界トップ10に名を連ねるまでになった。

収益化の方法とは?
しかし、どのように収益化しているのか。私も当初は勉強不足なこともあり、理解が及んでいなかった。注目度が高い企業だからこそ改めて整理するが、同社をおすすめするということではなく、投資判断を行う上での材料の1つとしてみてもらえれば幸いだ。
むしろビットコインは、ボラティリティの高さやハッキングに晒されるリスクなどから、現在の金融市場においてリスク資産という認識が広がっていると考えている。これに加えて、ビットコインを保有する企業そのものに対するさまざまなリスクが、投資に対してニ重にかかる点は理解しておく必要があると思う。
メタプラネットの主な収益源
メタプラネットの売上は主に以下の3つの事業から得られている。1つはビットコイン購入による評価益。2つ目が、ホテル事業による売上で、2024年12月期の決算では、ホテル事業から3.7億円の売上を計上した。そして3つ目がプットオプションの売却だ。
プットオプションの重要性
正直なところ、メタプラネットはビットコインを購入する前は赤字が続いていたため、今後のカギを握る要素として注目すべきはホテル事業ではなく、プットオプションの売却だと考える。もちろん、ビットコインの価格が上がれば、評価益も追随するだろう。
プットオプションとは何か
プットオプションの売却とは、特定の価格(行使価格)で原資産を売却する権利を他者に提供する金融契約のことだ。
プレミアム収入とリスクのバランス
売却者は、オプションを売ることでプレミアム(手数料)を受け取る。もちろん、オプションが行使された場合、原資産を行使価格でわたさなければならないリスクはあるが、オプションが行使されなかった場合、受け取ったプレミアムは利益となる。そしてこの利益もビットコインの購入に充てているようだ。
現金担保付きプットオプションの仕組み
特徴的なのは、現金担保付きプットオプションの利用だ。メタプラネットは、現金担保を用意した上でプットオプションを売却している。この方法により、オプションが行使された場合でも、必要な資金を確保しつつビットコインを取得することが可能だ。
たとえば、行使価格が70,000ドルのプットオプションを売却した場合、ビットコインの市場価格が行使価格を下回った際には、ビットコインをその価格で購入する義務があるといった具合だ。
メタプラネットのビットコイン投資戦略において、プットオプションの行使があった場合でもビットコインを購入することができるという判断は、長期的な価格上昇を見越したものということだろう。
経営陣と戦略的パートナー
メタプラネットの経営陣は外資系の金融大手出身メンバーがいるように、金融に関する豊富な知識と経験を有している。そして直近では、戦略的アドバイザーとして、エリック・トランプ氏を迎え入れた。同氏はトランプ大統領の息子で、不動産や金融分野の事業運営などに関する知見を持っている人物だ。
次なる局面にどう備えるか
彼らのビットコイン戦略は、次に起こるであろう”Crypto Winter”において、どのような展望をみせるのだろうか。

[Iolite記事]
ビットコインは世界で最も価値ある存在に メタプラネットが描く投資戦略 サイモン・ゲロヴィッチ インタビュー