物流・運送業界が直面している「2024年問題」の話
2023.12.13
普段穏やかな僧侶が仏事のために走り回るほど、12月の世間は慌ただしい様相だ。「師走」とは言い得て妙である。弊誌も年内の発行を無事に終え、一区切りした雰囲気ではあるが、年末年始は休暇の企業も多いため、雑誌の制作進行において、外部の関係者にご協力いただく企画等が完全にフリーズする。普段よりも早いスケジュールで構成を行い、取材等を進めるため、私たちIolite(アイオライト)編集部にとっても、1年のなかで最も詰まったスケジュールになりがちだ。
物流業界が直面する「2024年問題」とは?
おそらく、ほかの業種においても同様のことがいえる。師走も多忙を極める物流業界では、「2024年問題」が話題になった。
働き方改革関連法に伴い労働基準法が改正され、時間外労働は月45時間、年間360時間までと規定された。既に大企業から中小企業まで2020年4月から施行されていたが、物流・運送業界は、事業や業務の特性上例外的に、年間960時間の上限制限が適用される。
この規定は、2024年3月末まで猶予となっているため、同年4月から実際に適用され、グレーなゾーンであった、時間外労働への制限が明確化されることによって、今までのような物流・運送が叶わなくなるのではないか、と懸念される。これが2024年問題である。
流通には人手不足や燃料高騰などの問題もリスクファクターとして存在する。もちろん次世代のテクノロジーには、これらの課題の解決を期待されるだろう。現時点で個人的に考えられる解決方法は3つ。
“運び方”の変更によって一定程度のコスト削減も見込めるようだ。一度に大量のモノを運べる船は、コンテナという1つの共通規格があることも相まって、運送時の時間はかかるもののコストが削減できる。飛行機でいえばより早く、鉄道でいえばより安定して、車でいえばより高頻度に、といったように運ぶモノに合わせて運ぶ方法を選択し、効率良く流通させることができる。このようなモーダルシフトという切り口での解決が1つの方法だ。
2つ目が自動運転やドローンなど、あたらしいテクノロジーを活用した、全くあたらしい流通経路を確保するということ。実際に官民一体で実証実験は数々進められており、昨年の年末にGMOグループ主催で行われたWeb3.0系のインベントでは、セッションのなかで、渋谷区の区長にドローンに関する実証実験をさせてほしいと直談判していた経営者の方も目にしたくらい、部分的な実現はそう遠い未来の話でもなさそうだ。
最後は、NFTを活用して権利確定までモノを動かす必要がない仕組みの導入。以前にもメルマガを通して、「モノと権利のマケプレアプリ」である「チケミー(TicketMe)」を立ち上げた宮下さんの話はさせていただいたため、ここでは割愛させてもらう。しかし、NFTを活用することで、権利を確定するまでモノを動かす必要がないという点では、現在懸念されている流通における課題を解決できる可能性はあるかもしれない。
[Iolite記事]
NFTを活用した「流通革命」 株式会社チケミー チケ男