DeepSeekショックがもたらした市場の変化

1月末、中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」のアプリケーションが米国のアプリストアにおいて無料ダウンロードランキングの首位を獲得し、AI市場の勢力図に大きな変化をもたらした。

この影響を受け、「NVIDIA(エヌビディア)」の株価は一時17%急落。さらに、影響は暗号資産市場にも波及し、リスクオフの動きが加速した。

ビットコインは105,000ドル(約1,640万円)から97,600ドル(約1,510万円)付近まで7%近く下落。一時は100,000ドルの回復を試みたものの、再度97,000ドル近辺まで下落し、7日執筆時点でもほぼ同水準にとどまっている。

半減期アノマリーを考慮すれば、3〜4月にかけて再び上昇する可能性はあるが、現時点では材料不足の市場環境が不気味な静寂を醸し出している。

また、市場が期待していた米国におけるビットコインを含む暗号資産の戦略的備蓄は、トランプ政権誕生直後に実現することはなく、若干の失望感が漂っている。

この状況に加えて、「DeepSeekショック」や貿易戦争への懸念がリスクオフの動きを加速させ、結果的に上値の重いレンジ相場を形成している。

八木編集長FOCUS

2025年は3つの視点で市場を注視したい

2025年の暗号資産市場がどうなるのか、関心を持つ投資家は多いだろう。そこで、2025年に注目すべき3つの要素を整理したい。

ビットコインの戦略的備蓄の実現と市場への影響

1つ目はビットコインを含む暗号資産の米国における戦略的備蓄。市場参加者の多くが関心を寄せるテーマであり、すでに情報が出尽くしているため詳細は割愛するが、戦略的備蓄の実施までには時間がかかるという認識が広がるなかで、ポジティブなサプライズが出るかどうかは常に注視すべきだと考えている。

現物ETF承認の動向

2つ目は現物ETF承認の動向。XRPやSOL、そのほか米国拠点のアルトコインの現物ETFが認められ始めれば、トランプ政権の新体制本格始動に対して、市場の楽観ムードが高まる可能性がある。

特に、イーサリアムのステーキング報酬が毎日の取引終了時にETFの持分に加算され、現物ETFを通じてステーキング報酬を間接的に受け取る仕組みが承認されれば、機関投資家にとって大きなメリットとなり、資金流入の増加が期待される。

DeFiの発展とミームコインの影響

3つ目は、ミームコインとAIエージェントの活用事例の増加によって、DeFi分野が加速度的に発展する可能性だ。

市場の流動性が高まり、長短金利差の拡大を背景にステーブルコインの発行動機も強まった際には、需要と供給が共に増加し、市場規模のさらなる拡大が見込まれる。

2025年の市場動向を見極めるために

本記事では、2025年のどの時期にどのような出来事が起こるかを推察しながら、暗号資産市場の全体像を把握するための手がかりを提供している。2025年の市場動向を見極めるためにも、ぜひ参考にしてほしい。

「2025年暗号資産トレンド予測」 1年間の動きを各月ごとに先読み!

[Iolite記事]
「2025年暗号資産トレンド予測」 1年間の動きを各月ごとに先読み!