今月の終わりに、かれこれ5年以上住んだ水天宮前から引越しをすることになった。今まで長くお世話になった方々は、不思議と暦を気にする方、神事を重んじる方が多く、私も例外なく大安、仏滅を含む「六曜(ろくよう)」をみて大切な人と会う日を決めたりしている。

 方角を占う風水が、一定程度の科学的な根拠を含んでいることは、どこかで目にして腹落ちしたことがあった。たとえば家の方角でいえば、北東は鬼門とされ水回りの配置は良くないといわれるが、日当たりの悪いとされる北東に水回りが設計されていると、細菌は繁殖しやすい環境となり、住んでいる人間の健康を害する可能性が高まるというものだった。全てに科学的な根拠があるかどうかは不明だが、先人の教えは理にかなっていることも多い。

 引越しをきっかけに「六曜(ろくよう)」の歴史に興味を持ち調べてみた。どうやら六曜は、中国で生まれたとされているようだ。一説には、三国志で有名な蜀の軍師、諸葛亮孔明が考案し、軍略を決めていたともいわれている。「孔明六曜星」と呼ばれることがあるのも、ここに由来しているものだろう。

 明治時代に入ると暦注は迷信であるとして、政府が記載を禁止したようだが、六曜だけは迷信ではないとされ、記載され続けてきた歴史があるようだ。

 個人的には「おまじない」のようなものだとそこまで深くは考えていないが、先人に敬意を払うような習慣は心地が良いものだ。

先人に敬意を払える品位

Iolite八木編集長FOCUS

10日、全銀ネット(全国銀行資金決済ネットワーク)に不具合が生じ、一部の金融機関で振り込みが遅れ、およそ500万件以上の取引に影響が及んだ。詳細な原因は未だわかっていないようだが、全銀ネットの中継コンピュータ(Relay Computer)の特定のプログラムに問題があったとされている。

 システム障害によって、「金銭的債務を負っている場合における、振込送金不可の場合の遅延損害金発生」、「利益が見込める取引の不成立などの機会損失」、「損失を限定的にできる処理の遅延による損害」等、さまざま問題が起こってしまった可能性があることは事実。

これを機に、X(旧Twitter)ではブロックチェーンやステーブルコイン等を活用して、現在の全銀ネットの仕組みを根本から解決しようと、ある種の熱を帯びたようなPostが散見された。

確かに、公正取引委員会も全銀ネットの閉鎖的な体制には問題があるのではないかと指摘しており、適切な市場競争が行われる環境整備は、イノベーションの促進と顧客の利便性を高めるために重要だと感じる。しかし、1,973年の全銀ネット発足から約50年間わたって、1日あたり14億円ともいわれている取引を処理してきた実績には目を背けて、重箱の隅をつつくように次世代のテクノロジーが今ある問題全てを解決できると煽るのは品位を疑う。

 Iolite(アイオライト)創刊より、Web2.0とWeb3.0の間はグラデーションになっており、完全に分断されることはないと伝え続けている。完全に現実世界と切り離されたユートピアを啓蒙することは、客観的にみれば現実逃避をしているようにもみえなくはない。  先人が積み重ねた知見や技術を悪とするのではなく、上手く融和することに人生を賭けている事業家がWeb3.0領域にいることを知っているからこそ、Web2.0と分断するような言動は気をつけたい。

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[Iolite記事]
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