機関投資家によるビットコイン導入の加速

米国を発端として、機関投資家がビットコインをポートフォリオに組み入れる動きが加速している。1月20日のトランプ大統領の就任に伴い、市場はビットコインの戦略備蓄に関する大統領令を期待していた。しかし、就任当日から各種大統領令への署名と公表がされるなか、暗号資産に関連する大統領令は発せられず、数日後の1月23日になり「デジタル金融テクノロジーにおける米国のリーダーシップの強化」と題した大統領令が署名された。

トランプ大統領令の内容と市場の反応

この大統領令も蓋を開けてみれば市場の期待とは裏腹に、デジタル資産市場の規制緩和やCBDCの禁止、「国家デジタル資産備蓄」の創設の検討など、若干慎重な姿勢が垣間見える内容として市場では捉えられた。

期待外れの大統領令とその背景

あくまで個人的な感覚でしかないが、トランプ大統領のさまざまな言動はメディアの報道の仕方も相まって派手にみえるところがある。そんななか、暗号資産に関連する大統領令にどこか慎ましさがあったことで、拍子抜けしたところもあったのではないかとみている。

八木編集長FOCUS

米国のビットコイン準備金と現物ETFの動向

しかしながら、ファンドや大学基金・財団だけではなく、企業までもがビットコインをポートフォリオに組み入れる動きが活発になっている。米国では2月執筆時点で15もの州政府がビットコイン準備金の設立を検討している状況だ。

ユタ州とサウスダコタ州のビットコイン準備金法案

特にユタ州では、ビットコイン準備金を設立するための法案が下院を通過し、現在上院での審議に進んでいる。この法案が成立すれば、ユタ州は米国で初めてビットコイン準備金を設立する州となる可能性がある。加えてサウスダコタ州においても、ビットコイン準備金に関する法案が提出されており、同州は特に短い立法セッションを持つとされているため、早期に承認される可能性が高いともいわれている。真相は定かではないが、州議会の代表者は法案が近々可決される見込みであると述べているともいわれている。

企業によるビットコイン保有とETF資金流入の状況

他方、企業がビットコインを保有する動きは米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)に始まり、国内ではメタプラネットが牽引している。現時点で両社は、ビットコインを売却する予定もないし、購入を永続的に続ける意向であることも公言している。

現物ETFへの資金流入も好調だ。2025年1月13日から2月5日までの期間に、米国のビットコイン現物ETFには合計で44億ドル(約6,700億円)の純流入があった。前年同期の16億ドルと比較すれば、非常に大規模な資金流入があったことがわかると思う。

市場の期待とビットコイン価格のアンバランス

ビットコインの価格は膠着状態を続けているが、市場ではビットコインを集める動きがあるのがなんともアンバランスだ。2025年中に最高値更新はあるのか、あらたなトピックを市場は待ち望んでいるように思える。

米オースティン大学、500万ドル規模のビットコインファンドを設立

[Iolite記事]
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