達成感や満足感を得るために行っていた行動が報酬を受けた結果、「報酬を受けること」そのものが目的になり、結果として本来の内的な動機、モチベーションが失われてしまうことを説明する社会心理学の実験がある。

「内発的動機づけ」に精通した研究者エドワード・L・デシ氏と、社会心理学の理論家、マーク・R・レッパー氏の実験で、学生を2つのグループに分けてパズルを解いてもらった。一方のグループにはパズルが解けるたびに報酬を与えるが、もう一方のグループには報酬は与えない。一見すると報酬をもらえたグループがパズルを続けるように思えるが、実際には報酬を与えられたグループは与えられなかったグループに比べてパズルに触れる時間が少なくなったという。

報酬を与えられたグループは次第に「パズルは報酬を得るための手段に過ぎない」と感じるようになり、モチベーションが低下したのではないかと結論付けられている。この実験でみられた効果は「アンダーマイニング効果」と名付けられた。

八木編集長FOCUS

4月20日頃に予定されているビットコインの半減期に先んじて、4日、ビットコインキャッシュ(BCH)が2度目となる半減期を迎えた。これにより、ビットコインキャッシュのマイニング報酬は6.25BCHから3.125BCHに減少した。

ビットコインキャッシュは、ビットコインのブロックチェーンネットワークが成長し、取引の数が増加するにつれて、ネットワークが処理できる取引の量や速度に制限が生じる問題、いわゆるスケーラビリティ問題を解決する方法を巡ってコミュニティ内で意見が分かれた結果、ビットコインからハードフォーク(分岐)する形で誕生した暗号資産だ。

3月20日頃には50,000円程度であった価格も、半減期への期待から4月1日にかけて100,000円を突破。一時86,000円まで押し目を作ったものの、4月5日の執筆時点では再び100,000円を超えている。半減期前の価格の乱高下はよくあることで、真相は定かではないが、想定されていた報酬の切り替わるブロック生成の遅延に市場が反応したのではないかともいわれているようだ。

 ビットコインキャッシュの価格動向からみても、ビットコインの半減期はポジティブな影響を与える可能性が高い。

一方で、半減期直前の価格の乱高下には注意が必要であり、加えて過去の半減期を振り返れば上昇幅が徐々に縮小していることから、半減期を境に長く緩やかに上昇していく可能性が高いのではないかと予想される。先述した「アンダーマイニング効果」がビットコインのマイナーにあてはまるかどうかよりも、市場は再びくるバブル相場の材料探しに躍起になっているように思う。

ビットコインキャッシュ、2度目となる半減期が完了

[Iolite記事]
ビットコインキャッシュ、2度目となる半減期が完了 里見 晃