ビットコイン上昇の行方と市場の見立て

今の市場では、ビットコインが上昇トレンドを維持しながら、120,000ドルを超えていく可能性が高いというのが大方の見方だ。ただ、暗号資産市場がバブルの後半に入ると、いつもの流れでビットコインからアルトコインへ資金が移る展開も十分考えられる。これは過去の市場サイクルでも繰り返されてきたパターンで、今回もその通りに進むだろうという声が多い。

歴史の教訓と市場のバブル

私はトレーダーでもアナリストでもない。だが、アメリカの作家マーク・トウェインが言った「歴史は繰り返さないが、韻を踏む(History doesn’t repeat itself, but it rhymes.)」って言葉は、市場と向き合うとき、メディアとして常に頭の片隅に置いている。

ビットコインからアルトコインへの資金移動

ビットコインの価格上昇に続き、暗号資産市場ではアルトコインへの関心が高まるのが通例だが、4年前の好況期には、イーサリアム(ETH)を購入するだけで安心感があった。しかし現在、イーサリアムは低調な動きを見せる一方で、ゲンスラー委員長の退任を受けて規制緩和への期待感が広がり、これまで規制の影響を大きく受けていたソラナ(SOL)、リップル(XRP)、そしてアバランチ(AVAX)といった銘柄が軒並み高騰している。このような状況下では、どの銘柄に投資すべきか、選択肢が広がる一方で投資判断の難易度も高まっている。

ニッチな通貨に目を向けて、推奨後に急騰すれば鬼の首をとったかのように実績として何年も擦る人間と、反対に推奨した暗号資産が崩壊してデジタルタトゥーとしてネットで擦られる人間を何人もみてきたが、一定のリスクをとってまでニッチなアルトコインに目を向けたくなるのはそれだけリターンがあるということだろう。

私は臆病な性格だからか、取捨選択をしないと情報を追い切れないからか、期待と不安が交錯するような草コインにはあまり興味がわかないため、メジャーになりつつある銘柄に絞って情報収集することが多い。

八木編集長FOCUS

スイ(SUI)とアプトス(APT)の違い

そんな視点でみていると活発な動きをしているのがMeta(旧Facebook)のDiemプロジェクトに関与した開発者たちが手がけたレイヤー1ブロックチェーンプロジェクトであり、両者ともにMoveプログラミング言語を使用しているスイ(SUI)とアプトス(APT)だ。

スイ(SUI)の執筆時点の価格は3.44ドルで時価総額ランキング18位につけており、一方のアプトス(APT)は12.74ドルで時価総額ランキング24位となっている。私自身も正直なところ機能や性能の違いがよくわからないので、これを機におさらいしたいと思う。念の為お伝えしておくが、この2銘柄を推しているわけではないことはご理解いただきたい。

スイ(SUI)

スイ(SUI)の特徴と用途

スイ(SUI)は、Mysten Labsによって開発されており、Move言語をさらに改良した「Sui Move」を採用している。これにより、オブジェクト中心のモデルを実現し、デジタルデータを現実世界に近い形で直感的に扱うことが可能となっている。各トランザクションが独立したオブジェクトに対して行われトランザクションの並列処理を容易にしている。ユースケースとしてはゲームやNFTの分野において、ユーザーが高速かつ低コストでトランザクションを行えることを目的としている。

アプトス(APT)

アプトス(APT)の特徴と用途

一方、アプトス(APT)は、Diemの元幹部2人が率いるAptos Labsによって開発されている。AptosもMove言語を使用しており、高速でスケーラブルなスマートコントラクトプラットフォームを目指している。加えて、独自の「ブロックSTM(Software Transactional Memory)」という技術を採用し、並列処理を効率化している。アプトス(APT)はトランザクション処理の安定性やセキュリティ面でも優れた設計にしているため、DeFiや分散型アプリケーション(dApps)の領域で特性を発揮しやすいようだ。

まとめ

これらのプロジェクトは、Diemプロジェクトの技術を継承しつつ、それぞれ独自の特徴を持っている。特に、Move言語の採用により、スマートコントラクトの安全性と効率性が向上しており、エンジニアコミュニティからも注目されている。

このように元々はルーツが同じ暗号資産でも目的と設計には技術者達のある種の信念が反映されているように思える。一方で、個人で暗号資産を購入する方々がさらに深くこれらの銘柄について調べることは少ないだろう。

これは極論ではあるが、暗号資産の技術的な側面に惚れて、ほとんどの人々が「売る」行為をせず、需要が上がり続ければ価格は維持か上昇を続ける。裏腹に市場は乱高下を繰り返しているということは、良くも悪くもマネーゲームのツールとして使われている側面が拭えない。再三になるが、「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」という言葉を皆さんも頭の片隅に追いておいてもらえると嬉しい。

2024年アルトコイン今後の展望

[Iolite記事]
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