ソニーフィナンシャルグループのステーブルコイン戦略|円建て実証から米ドル建て構想まで
監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月16日
ソニー銀行が2024年に公表したのは、日本円連動型ステーブルコインの発行に向けた実証実験の検討です。個人が利用できるステーブルコインの発行開始ではありません。
その後、ソニーフィナンシャルグループ(ソニーFG)は、国内ではJPYC株式会社とのサービス連携を検討し、米国では関係当局の承認などを前提に2027年の米ドル建てステーブルコイン発行開始を予定しています。いずれも通貨・地域・段階が異なるため、「ソニー銀行の円建てコインがそのまま開始する」とは判断できません。
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ソニー銀行のステーブルコインは現在どうなっている?
結論からいうと、ソニー銀行が2024年4月に公表したのは、ステーブルコイン発行に向けた実証実験の検討開始です。公式の開示で、国内の個人が購入・送金・決済に使える円建てステーブルコインの提供開始は確認できません。
そのため、ソニー銀行の口座を持っているだけでステーブルコインを利用できるわけではありません。サービスが実用化される場合も、発行体、利用可能な国・地域、対象顧客、利用規約、手数料などを確認する必要があります。
2024年の発表は「発行開始」ではなく実証実験の検討
実証実験は、技術や運用、法規制への対応を検討する段階です。発行済みであること、交換所で売買できること、送金・決済に使えることを意味しません。検討段階と利用開始を分けて読むことが、金融サービスの発表を判断する基本になります。
ステーブルコインの種類や価値を安定させる仕組みそのものは、ステーブルコインの種類と仕組みで確認できます。
《出典》
ステーブルコインの発行に向けて実証実験の検討を開始|ソニー銀行
電子決済手段(ステーブルコイン)の発行者|金融庁
ソニーFGのステーブルコイン戦略
現在のソニーFGの動きは、2024年の円建て実証検討だけでなく、デジタル証券、NFT、アプリ、国内外の決済・資金循環を含むデジタルアセット戦略として公表されています。ただし、個々の取り組みは同じ商品ではありません。
| 領域 | 公表されている方向性 | 確認時の注意 |
|---|---|---|
| 国内 | JPYC株式会社とのサービス連携を検討 | ソニー銀行が円建てコインを発行開始したこととは別 |
| 米国 | 米ドル建てステーブルコインを2027年に発行開始予定 | 関係当局の承認などが前提 |
| web3事業 | BlockBloom、Sony Bank CONNECT、デジタル証券・NFT | 機能と利用条件はサービスごとに異なる |
米国では米ドル建ての事業化を予定
ソニーFGは、米国の信託子会社を設立したうえで、2027年に米ドル建てステーブルコインの発行開始を予定すると説明しています。用途として、ソニーグループのエンタテインメントと連携した決済・資金循環の基盤を掲げています。
一方で、同社は米国の規制やライセンス要件、事業者の採用や利用状況によって、計画が変更・遅延・中止となる可能性も開示しています。予定日だけで利用可能と判断しないことが大切です。
米ドル建てステーブルコインの例と国内での扱いは、USDCの国内での位置付けと注意点も参考になります。
国内ではJPYCとの連携を検討
ソニー銀行は2026年3月2日、国内でのステーブルコインを活用したサービス連携に向け、JPYC株式会社と戦略的業務提携に関する基本合意書(MOU)を締結したと公表しました。これは連携に向けた合意であり、ソニー銀行がJPYCを発行することや、口座保有者が直ちに利用できることを示すものではありません。
円建てのデジタルマネーは、発行体、償還の仕組み、取り扱う仲介者、実際の利用先まで確認して初めて比較できます。
《出典》
ステーブルコインを活用したサービス連携に向けて、JPYC株式会社と戦略的業務提携に関する基本合意書(MOU)を締結|ソニー銀行
BlockBloomとSony Bank CONNECTは何を担うのか
ソニーFGは、2025年10月にweb3関連事業子会社BlockBloomを事業開始しました。資料では、デジタルアイテム、デジタル証券などを活用した企画・支援を掲げています。またSony Bank CONNECTは、デジタルアセット基盤の構成要素として示されています。
アプリやウォレットという言葉だけで、暗号資産を保管・送付できると決めつけることはできません。利用する前には、ウォレットと取引所の役割の違い、対応資産、秘密鍵の管理方法、手数料を確認しましょう。
日本の金融機関で進むステーブルコイン活用
日本では、法定通貨の価値と連動し、額面での償還を約するデジタルマネー類似型のステーブルコインは、資金決済法上の「電子決済手段」として整理されています。暗号資産と同じ言葉で語られがちでも、発行・償還・仲介に関する制度上の位置付けは一律ではありません。
金融機関の取り組みを読む際は、発行するのか、発行済みの電子決済手段を仲介するのか、決済サービスへ接続するのか、デジタル証券のような別の仕組みを扱うのかを分けて見る必要があります。
《出典》
電子決済手段等への制度的対応|金融庁
技術の採用とサービス提供は別の判断が必要
ブロックチェーンを利用する計画があっても、利用者保護、本人確認、マネー・ローンダリング対策、発行・償還の管理、障害時の対応などを満たさなければ、広く使える金融サービスにはなりません。
金融庁の資料では、銀行によるパーミッションレス型ブロックチェーンを用いたステーブルコインへの関与について、健全かつ適切な業務運営との両立を慎重に検討する必要があるとされています。「ブロックチェーンを使う」ことと「誰でも利用できる決済手段になる」ことは別です。
NFTやデジタル証券との違いも確認する
NFTは、作品、会員権、チケットなどを表現するために使われることがあるデジタルデータで、通常は価格の安定や決済を目的とするステーブルコインとは役割が異なります。デジタル証券も、有価証券を電子的に取り扱う仕組みであり、決済用のデジタルマネーとは区別が必要です。
用語の違いは、NFTと暗号資産の関係も参照しながら確認すると整理しやすくなります。
ステーブルコインを利用する前に確認したい4つのポイント
新しいサービスの発表を見たときは、期待だけでなく、実際に利用できる条件を順番に確認しましょう。
- 発行体と裏付け:誰が発行し、どのような仕組みで価値・償還を支えるのか
- 通貨と利用地域:円建てかドル建てか、日本居住者が対象か
- 利用可能な機能:購入、送金、決済、保管のどこまでできるのか
- 制度・費用・リスク:許認可、本人確認、手数料、障害時や不正利用時の対応
ソニーFGの事例では、国内のJPYC連携、米国のドル建て構想、デジタルアセット基盤を同じサービスとして扱わず、上の4点をそれぞれ確認することが重要です。
価格が安定していても、運用リスクがなくなるわけではない
ステーブルコインは価格変動を抑える設計を目指すものですが、発行体・保管先・スマートコントラクト・取引先・規制などのリスクがなくなるわけではありません。特にレンディングなどで利回りを得る場合は、価格以外のリスクも確認が必要です。
投資・運用を検討する場合は、ステーブルコイン運用の仕組みとリスクを確認してから判断してください。
ソニーFGとステーブルコインのFAQ
ソニー銀行はステーブルコインを発行していますか?
ソニー銀行は2024年に発行に向けた実証実験の検討開始を公表しましたが、国内の個人が利用できる円建てステーブルコインを発行・提供していることは、この記事で参照した公式開示から確認できません。
ソニー銀行の口座があればステーブルコインを使えますか?
口座を持っているだけで利用できるとはいえません。サービスが提供される場合も、対象者、利用地域、本人確認、対応アプリ、利用規約を公式情報で確認してください。
2024年に検討された円建てステーブルコインは中止されたのですか?
この記事で参照した公式情報では、中止を示す発表は確認できません。ただし、2024年の発表は実証実験の検討であり、発行開始が確定していたわけではありません。
2024年の円建て構想と米ドル建て構想は同じものですか?
同じものと断定できません。前者はソニー銀行が公表した発行に向けた実証実験の検討であり、後者は米国での信託子会社を前提とした米ドル建ての事業化計画です。通貨、地域、段階が異なります。
ソニーFGの米ドル建てステーブルコインはいつ始まりますか?
ソニーFGは2027年の発行開始を予定しています。ただし、関係当局の承認などが前提であり、予定日は確定した提供開始日を意味しません。
米ドル建てステーブルコインは日本の利用者も使えますか?
日本居住者が利用できるかは、この記事で参照した計画資料だけでは確定できません。正式なサービス発表時に、対象地域、提供主体、国内での取扱いを確認する必要があります。
ソニーFGとJPYCはどのような関係ですか?
ソニー銀行は2026年3月2日、国内でステーブルコインを活用したサービス連携に向け、JPYC株式会社と戦略的業務提携に関する基本合意書(MOU)を締結したと公表しています。これは連携に向けた合意であり、ソニー銀行がJPYCを発行するという意味ではありません。
JPYCとソニー銀行の円建てステーブルコインは同じですか?
同じではありません。JPYCとの取り組みはサービス連携に向けた合意であり、ソニー銀行が2024年に検討を公表した円建てステーブルコインの発行計画とは、公式情報上は別に説明されています。
BlockBloomはステーブルコインを発行する会社ですか?
BlockBloomは、ソニーFGがweb3関連事業のために開始した子会社です。公表資料では、デジタルアイテムやデジタル証券などを活用した企画・支援を掲げています。発行体かどうかは、個別サービスの正式発表で確認してください。
Sony Bank CONNECTは暗号資産ウォレットですか?
Sony Bank CONNECTはソニーFGの資料でデジタルアセット基盤の構成要素として示されています。実際に利用できる保管・送付・決済機能や対応資産は、アプリの公式案内と利用規約で確認する必要があります。
ステーブルコインは銀行預金と同じですか?
同じではありません。発行体、法的な仕組み、保護の枠組み、償還方法が異なるため、銀行預金と同じ感覚で扱わないことが大切です。
ステーブルコインは暗号資産と何が違いますか?
法定通貨の価値との連動や額面での償還を約する設計のものは、国内では電子決済手段として整理される場合があります。一方、暗号資産として扱われるものもあり、名称だけでは法的な位置付けを判断できません。
日本の銀行は自由にステーブルコインを発行できますか?
発行・償還・仲介には制度上の枠組みがあり、技術的に発行可能であることだけでは十分ではありません。利用者保護、マネー・ローンダリング対策、ネットワークの特性などを踏まえた検討が必要です。
ステーブルコインなら価格変動リスクはありませんか?
価格の安定を目指す仕組みであっても、発行体、準備資産、保管先、取引先、規制、システム障害などのリスクは残ります。価格変動だけを見て安全と判断しないでください。
ステーブルコインをレンディングで運用してもよいですか?
運用では、発行体リスクに加えて、貸出先やサービス提供者の信用リスク、途中で引き出せないリスク、手数料などを確認する必要があります。利回りだけで判断せず、仕組みと条件を理解してから検討してください。
まとめ
ソニー銀行が2024年に公表した円建てステーブルコインは、発行に向けた実証実験の検討です。現時点で、個人が利用できるソニー銀行発行の円建てステーブルコインが開始しているとは確認できません。
ソニーFGは国内でJPYCとの連携を検討し、米国では当局承認などを前提に米ドル建てステーブルコインを2027年に発行開始する計画を示しています。発表、実証実験、連携合意、正式提供を同じ段階として扱わないことで、サービスの現在地を正しく確認できます。