監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月12日

倉本 佳光

イーサリアムとソラナは、どちらか一方が常に優れているわけではありません。少額決済やアプリを軽快に使うことを重視するならソラナ(SOL)、資金・開発基盤の厚さや複数のレイヤー2(L2)を含む選択肢を重視するならイーサリアム(ETH)が候補になりやすい、というのが先に押さえたい結論です。

ただし、イーサリアムのメインネットだけとソラナを比べるのか、L2まで含むイーサリアム経済圏と比べるのかによって評価は変わります。また、「ソラナがイーサリアムを超える」という表現も、処理性能、利用量、預かり資産、開発基盤、時価総額のどれを指すかで答えが異なります。

本記事では、両者を同じ評価軸で比較し、利用目的と重視条件から自分に合う方を判断できるように整理します。特定の銘柄の購入を勧めるものではありません。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

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イーサリアムとソラナの比較イメージ

イーサリアムとソラナはどっちがよい?用途別の結論

どちらがよいかは、何に使い、何を重視するかで決まります。速度だけ、時価総額だけといった単一指標では、利用者にとっての使いやすさやネットワーク全体の強さを判断できません。

重視すること 候補になりやすい方 判断理由
低い手数料と一体的な操作 ソラナ 基本的に単一のL1上でアプリや資産を扱いやすい
資金・開発基盤の厚さ イーサリアム経済圏 L1と複数のL2を含む幅広い基盤がある
頻繁な少額取引 ソラナまたはETHのL2 ETHメインネットより低コストで利用しやすい
長い運用実績を重視 イーサリアム スマートコントラクト基盤としての運用期間が長い
チェーンをまたがない分かりやすさ ソラナ L2選択やブリッジを意識する場面が比較的少ない

ここでいう「候補になりやすい」は、値上がりを期待できるという意味ではありません。ネットワークの使いやすさと、SOL・ETHの価格がどう動くかは別の問題です。

比較前に押さえたい「L1」と「L2」

L1(レイヤー1)は取引を最終的に記録する基盤のブロックチェーンです。ソラナは、処理の多くをL1上で完結させる設計を重視しています。

一方、イーサリアムはL1の安全性を土台に、取引をまとめて処理するL2(レイヤー2)を活用して拡張します。そのため、ETHメインネットとSOLだけを比較すると、現在のイーサリアムの利用実態を十分に表せません。

《出典》
Scaling Ethereum|ethereum.org
Solana Documentation|Solana

暗号資産ネットワークの比較イメージ

ソラナとイーサリアムの違いを同じ基準で比較

比較では、理論上の最大値と実際の利用時の数値を混ぜないことが重要です。TPS(1秒間の処理件数)は、何を1件として数えるか、投票トランザクションを含むか、L2を含めるかで値が変わります。

比較軸 イーサリアム ソラナ
拡張方法 L1を土台にL2で処理能力を広げる 高性能なL1で多くの処理を完結させる
手数料 L1は混雑で上がりやすい。L2では低くなりやすい 基本手数料と優先手数料があり、通常は少額に抑えやすい
操作性 L2選択やブリッジが必要になる場合がある 同じL1内で操作を完結しやすい
ネットワーク構成 複数の実行・合意クライアントが利用される AgaveやFiredancerなど複数クライアント化が進む
主な弱点 L2間の資産・流動性・操作の分断 過去の停止履歴と高いバリデータ要件

SOLの仕組み、PoH(Proof of History)、発行枚数などの基礎は、ソラナの特徴と仕組みをまとめた基礎記事で詳しく解説しています。本記事ではETHとの比較に必要な範囲へ絞ります。

速度とファイナリティは分けて考える

画面上で取引が素早く表示されることと、その取引が覆りにくい状態まで確定することは同じではありません。後者はファイナリティと呼ばれます。

ソラナは短いスロット時間と一体型の処理によって、利用者が速さを体感しやすい設計です。イーサリアムでは、L1の確定性を利用しながらL2が先に処理結果を示す構成があるため、L2ごとの方式や資産移動の条件も確認する必要があります。

手数料は「安い・高い」だけで比較しない

イーサリアムL1のガス代は需要によって変動しますが、L2では複数取引をまとめることで利用者負担を下げられます。ソラナでは基本手数料に加え、処理の優先度を上げる優先手数料を設定できます。

少額取引では手数料額だけでなく、L2への移動やブリッジに必要な操作も総コストとして確認しましょう。

《出典》
Gas and fees|ethereum.org
Transaction Fees|Solana

ETHとSOLの利用場面を比較するイメージ

利用場面別に向いているのはどっち?

ネットワークの性能は、実際に行いたい操作へ結び付けて考えると判断しやすくなります。利用頻度が高く、一つのチェーン内で操作したい場合はSOLが候補になりやすく、複数L2を含む厚い経済圏を使いたい場合はETHが候補になりやすいと整理できます。

送金・決済・頻繁な取引

少額送金や頻繁なアプリ操作では、低い手数料と待ち時間の短さが重要です。この場面ではソラナの一体的なUXに利点があります。

ただし、ETHでも利用するL2やサービスによって手数料を抑えられます。「ETHは常に高い」と決めつけず、送付先がどのネットワークへ対応しているかまで確認してください。異なるネットワークへ誤送金すると、資産を取り戻せない場合があります。

DeFi・NFT・アプリ利用

ソラナは一つのL1上で資産とアプリを行き来しやすい点が強みです。イーサリアム経済圏はアプリ、資金、開発ツールの選択肢が広い一方、どのL2に資産があるかを意識する場面があります。

アプリ数や取引回数だけで優劣を決めず、監査状況、スマートコントラクトの権限、ブリッジの有無、必要なウォレット操作まで確認することが大切です。

開発基盤や長期的なネットワーク実績

イーサリアムは複数クライアント、EVM向けツール、L2を含む広い開発基盤を持ちます。ソラナは高性能な実行環境を生かしたアプリ開発と、Agave以外のバリデータクライアント整備を進めています。

「開発者が多いから価格が上がる」「処理が速いから普及する」とは限りません。継続的な開発、障害対応、利用者と資金の定着を組み合わせて評価します。

《出典》
Nodes and clients|ethereum.org
Validators|Solana

ソラナがイーサリアムを超える条件の比較イメージ

ソラナはイーサリアムを超える?5つの指標で検証

「超える」の意味を定義しない限り、YESともNOとも答えられません。ソラナが取引回数で上回る局面があっても、それだけでイーサリアムの資金規模、開発基盤、時価総額まで超えたことにはならないためです。

現時点では、SOLが操作性や高頻度利用で優位になりやすい一方、ETH経済圏は資金・開発・セキュリティ基盤の厚さで優位になりやすく、全面的に置き換えたとは判断できません。

「超える」の指標 見るべき内容 判定時の注意点
処理性能 処理件数、混雑時の成功率、確定時間 理論値と実測値、L1とL2を混ぜない
利用量 利用者、取引、継続利用 ボットや投票取引を含む集計条件を確認する
経済圏 TVL、ステーブルコイン、流動性 ETHではL2を含むか明示する
開発・安全性 クライアント、障害対応、ツール、監査 件数だけで品質を決めない
資産評価 時価総額、流動性、市場アクセス 短期価格とネットワーク性能を混同しない

取引回数で上回っても「完全に超えた」とはいえない

低手数料のチェーンでは、小額取引や自動処理を多く実行しやすくなります。そのため、生の取引件数だけを比べると、経済価値や実利用を過大評価することがあります。

比較する場合は、重複を除いた利用者、手数料を払って継続する需要、ステーブルコインやDeFi資金、ネットワークが得る手数料など、複数の指標を確認します。

時価総額の逆転は価格予想とは分ける

SOLがETHの時価総額を超える条件を考える場合、両銘柄の価格だけでなく供給量の変化も必要です。現在価格に単純な倍率を掛けた数字は、ETH側の価格や両者の供給量が変わらないという強い仮定に依存します。

本記事では将来価格を提示せず、比較の判定条件までを扱います。SOL単独の材料、リスク、価格シナリオはソラナの今後と将来性を扱う記事で確認できます。

ETH単独の見通しや価格シナリオについては、イーサリアムの今後と注目材料を扱う記事へ分けています。

イーサリアムとソラナのリスク比較イメージ

ソラナとイーサリアムのリスクの違い

両者はともにPoSを基盤とするスマートコントラクト・プラットフォームですが、弱点の現れ方は異なります。SOLだけが危険、ETHなら安全という関係ではありません。

ソラナで確認したいリスク

  • 停止履歴:過去にネットワーク停止が発生しており、改善後も稼働状況を継続確認する必要がある
  • バリデータ要件:高性能なハードウェアや運用体制が求められ、参加コストと分散性の関係が論点になる
  • クライアント構成:複数クライアント化が進んでいるが、実際の採用比率と安定運用を確認する必要がある
  • 供給構造:新規発行とステーキング報酬を含むため、保有量だけでなく供給の変化を見る必要がある

イーサリアムで確認したいリスク

  • L2の分断:資産や流動性が複数L2へ分かれ、利用者がネットワークを選ぶ必要がある
  • ブリッジ:資産移動に追加のスマートコントラクトや待ち時間が関わる場合がある
  • 操作の複雑さ:ガス代を支払う資産、接続先、出金経路を理解する必要がある
  • L2固有の前提:シーケンサー、証明方式、出金条件などがL2ごとに異なる

《出典》
Layer 2|ethereum.org
Incident History|Solana Status

両者に共通するリスク

ネットワークが正常でも、利用したアプリの脆弱性、秘密鍵の流出、詐欺トークン、誤送金によって損失が発生することがあります。また、SOLとETHはいずれも価格変動が大きく、技術的な進歩が価格上昇を保証するものではありません。

ブロックチェーンの最新アップデートを示すイメージ

最新アップデートで比較はどう変わる?

技術比較では、発表された構想とメインネットで利用できる機能を分ける必要があります。2026年8月12日時点で、実装済み、段階的な導入中、今後の予定を区別して評価します。

ネットワーク 更新 2026年8月12日時点の扱い
Ethereum Fusaka 2025年12月3日に実装済み
Ethereum Glamsterdam 2026年後半予定。実装済みとは扱わない
Solana 100M CU Blocks 2026年7月29日にメインネット反映
Solana Agave 4.2 導入・機能有効化が段階的に進む
Solana Alpenglow 今後のリリースでの有効化予定

《出典》
Ethereum Roadmap|ethereum.org
Solana Upgrades|Solana Foundation

イーサリアム:L2だけでなくL1の改善も進む

Fusakaでは、L2が利用するデータ可用性の改善などが実装されました。次のGlamsterdamでは、ブロック処理やL1の拡張に関する変更が予定されています。

したがって、「イーサリアムはL1を変えず、L2だけに任せる」という理解は正確ではありません。ただし、Glamsterdamは予定段階であり、実装時期や最終仕様が変わる可能性があります。

《出典》
Fusaka|ethereum.org
Glamsterdam|ethereum.org

ソラナ:処理容量と確定速度、クライアント多様化を進める

ソラナではブロックあたりの計算容量拡大に加え、Agaveの更新、Firedancerの開発、Alpenglowによる合意形成の変更が進められています。これらは処理能力だけでなく、クライアント依存やファイナリティの課題に関係します。

ただし、コードが公開されたこと、テスト環境で動いたこと、メインネットで有効化されたこと、バリデータに広く採用されたことは別段階です。今後の比較では、有効化日と採用状況まで確認します。

《出典》
Solana Upgrades|Solana Foundation
Firedancer Documentation|Firedancer

自分に合う方を選ぶチェックリスト

最後に、投資対象としての期待だけでなく、実際の用途と管理負担から確認します。「どちらが上がりそうか」だけではなく、「どの前提を評価し、どのリスクを管理できるか」まで言葉にすることが重要です。

  • 送金、決済、DeFi、NFTなど、何に使うか決まっているか
  • ETHのL2選択やブリッジ操作を理解できるか
  • SOLの停止履歴やバリデータ構成を継続確認できるか
  • 速度、手数料、資金規模、分散性のどれを優先するか
  • ネットワークの成長と暗号資産価格を分けて考えられるか
  • 特定チェーンやアプリへ資産を集中させすぎていないか

判断が変わる条件を決めておく

ソラナを評価する場合は、ネットワーク稼働、複数クライアントの採用、利用者と資金の継続性を確認します。イーサリアムを評価する場合は、L2の手数料、相互運用性、分散化、L1アップグレードの進捗を確認します。

保有後の運用方法を検討する場合も、利回りだけで判断せず、返還条件、事業者リスク、途中解約、税務上の扱いを確認してください。仕組みと確認項目は暗号資産レンディングのリスクと比較ポイントで解説しています。

結論:用途の相性と資産評価は分けて考える

一体的なUXと高頻度利用ではSOL、L1とL2を含む資金・開発基盤ではETH経済圏が候補になりやすいという違いがあります。しかし、この技術的な相性だけで投資判断は完結しません。

「ソラナがイーサリアムを超えるか」は、取引回数だけでなく、継続利用、資金、開発、安全性、時価総額を分けて追う必要があります。全面的な勝者を決めるより、自分が重視する指標と、その判定が変わる条件を明確にする方が実用的です。

ソラナとイーサリアム比較のよくある質問

最後に、両者を比較するときに混同しやすい点を整理します。

ソラナはイーサリアムを完全に置き換えますか?

現時点で、完全に置き換えたとはいえません。SOLは低コストで一体的な操作に強みがあり、ETH経済圏は資金・開発・セキュリティ基盤の厚さに強みがあります。異なる用途を担いながら併存する可能性もあります。

ETHのL2を含めてもSOLの方が速いですか?

一律には答えられません。表示上の速さ、最終確定までの時間、出金待ち時間など、何を測るかで結果が変わります。比較時はETHメインネット、各L2、SOLを分け、同じ操作と確定条件で確認してください。

初心者にはソラナとイーサリアムのどちらが使いやすいですか?

チェーンをまたがずアプリを使う場面では、ソラナの方が操作を理解しやすい場合があります。一方、利用したいサービスがETHや特定L2にあるなら、そのネットワークを選ぶ必要があります。手数料だけでなく、対応ウォレットと送付先ネットワークを確認しましょう。

SOLとETHは両方保有した方がよいですか?

一律に両方の保有を勧めることはできません。投資目的、資金、価格変動への耐性、利用予定が人によって異なるためです。両方を検討する場合も、同じ暗号資産市場の影響を受ける点を踏まえ、分散効果を過大評価しないことが重要です。