ビットコイン週間相場レポート|BTC急落後の行方は?米雇用統計と中東情勢に注目
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコイン(BTC)に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
また、記事内で扱う価格見通しは、将来の価格を保証するものではありません。「当たる/外れる」ではなく、想定レンジと前提条件(何が起きたら強気・弱気に傾くか)を整理する材料として活用してください。
総括・結論
先週の米国株は、FOMC後の急落をMicrosoftとAmazonの好決算による反発が補い、週間では主要3指数がそろって上昇しました。NYダウは537.78ドル高、S&P500は77.74ポイント高、NASDAQ総合指数は398.03ポイント高です。一方、ビットコイン(BTC)は米国株の週間上昇に追随できず、週末にかけて6万2,000ドル台まで急落しました。
結論からいえば、BTCは「急落後の自律反発を試しているものの、まだ下げ止まりを確認できていない局面」です。8月3日の執筆時点では6万3,000ドル台で推移していますが、まず確認したいのは、急落前の水準である6万4,000~6万5,000ドル台を回復し、その水準を維持できるかです。回復できなければ、6万2,000ドル前後や6万ドル近辺を再び試す可能性を残します。
今週最大の経済イベントは、8月7日に発表される7月の米雇用統計です。雇用や賃金が市場予想より強ければ、FRBがインフレ抑制のために9月以降の利上げを検討するとの見方が強まり、米国債利回りとドルの上昇を通じてBTCの上値を抑える可能性があります。反対に、雇用の伸びや賃金上昇が落ち着けば、利上げ警戒が後退し、BTCの反発を支える可能性があります。ただし、弱すぎる雇用統計は景気悪化への不安を招くため、「弱ければ必ずBTCが上がる」とは限りません。
もう一つの重要材料は中東情勢です。トランプ米大統領は湾岸諸国の要請を受け、イランへの新たな大規模攻撃を見送ると表明しました。停戦交渉が進み、原油価格と米国債利回りが低下すれば、株式やBTCには安心材料となり得ます。一方、これまでにも攻撃停止後に戦闘が再開した経緯があるため、発言だけでなく、実際に攻撃が止まるか、ホルムズ海峡を巡る緊張が和らぐかを確認する必要があります。
したがって、今週は「BTCが6万4,000~6万5,000ドル台を回復できるか」「雇用統計後に米国債利回りが上がるか下がるか」「中東情勢の緊張緩和が実際に進むか」の3点が、急落後の方向を判断する手掛かりになります。現時点では反発を先取りするより、価格と金利の反応を確認する段階です。
| 確認項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| 先週のBTC | 6万5,000ドル台から週末に6万2,000ドル台へ急落 |
| 先週の米国株 | FOMC後に急落したものの、大手テック決算で反発し主要3指数は週間上昇 |
| 今週の重要材料 | 8月7日の米雇用統計、中東情勢、クラリティ法案、AMD・SpaceX・Eli Lillyの決算 |
| 基本的な見方 | 6万4,000~6万5,000ドル台を回復するまでは、下げ止まり確認前の局面 |
《出典》
AP通信「How major US stock indexes fared Friday 7/31/2026」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
AP通信「Trump says Gulf leaders’ input weighed heavily in decision to hold off on ordering new Iran strikes」
先週の振り返り
先週は、中東情勢、FOMC、米大手テック企業の決算が相場を大きく動かしました。米国株は週半ばに急落した後、好決算を受けて反発しましたが、BTCは週末に急落し、米国株とは異なる動きになりました。
7月27~28日:原油安で株式市場は底堅く、BTCは6万3,000ドル台へ
7月27日(月)は、米国とイランの攻撃が一時停止し、交渉再開への期待から原油価格が下落しました。米国株はNYダウが0.5%上昇した一方、NASDAQ総合指数は0.2%下落し、指数によって方向が分かれています。AI・半導体株から他業種へ資金を移す動きもみられました。
BTCは6万5,000ドル台から6万3,000ドル台へ下落しました。中東情勢の緊張緩和は本来リスク資産の支えになり得ますが、FOMCを控えた持ち高調整や暗号資産市場固有の売りも重なり、BTCは米国株より弱い動きとなりました。
28日(火)の米国株も、AI関連株の調整が続く一方で、これまで出遅れていた銘柄が買われる展開でした。同日発表された米消費者信頼感指数は、6月の92.2から7月は90.8へ低下しています。BTCはおおむね6万3,000ドル台でもみ合いました。
《出典》
AP通信「Stocks drift on Wall Street and crude oil prices drop as Mideast tensions cool」
AP通信「Wall Street’s flip from AI to less-loved stocks accelerates」
The Conference Board「US Consumer Confidence Edged Down in July」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
7月29日:FOMC後に米国債利回りが上昇し、米国株は急落
29日(水)、FRBは政策金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置きました。ただし、12人の投票メンバーのうち3人が据え置きに反対し、0.25ポイントの利上げを主張しています。インフレ率が目標の2%を上回るなか、委員内で物価上昇への警戒が強いことが示されました。
発表後は、将来の金利上昇や高金利の長期化を警戒して米国債利回りが上昇しました。AI・半導体関連株の下落と原油高も重なり、NYダウは1,153.18ドル安、S&P500は112.63ポイント安、NASDAQ総合指数は433.97ポイント安となりました。
BTCは株式市場ほど大きく動かず、6万3,000ドル台を中心にもみ合いました。FOMC直後に下げが限定的だったからといって、金利上昇の影響を受けないとは限りません。米国債利回りの上昇が続けば、後からBTCの重しになる可能性があります。
《出典》
米連邦準備制度理事会「Federal Reserve issues FOMC statement」
AP通信「How major US stock indexes fared Wednesday 7/29/2026」
7月30~31日:MicrosoftとAmazonが米国株を押し上げる一方、BTCは急落
30日(木)は、Microsoftの決算が好感され、米国株は前日の急落から大きく反発しました。NYダウは613.92ドル高、S&P500は1.7%高、NASDAQ総合指数は2.8%高です。AI向けの大規模投資が収益につながっているとの見方が、投資家心理の改善につながりました。BTCも一時6万5,000ドル近辺まで戻しました。
31日(金)は、Amazonが市場予想を上回る利益を発表したことから15.3%上昇し、主要株価指数を押し上げました。一方、Appleは今後の売上高見通しが市場予想に届かず7.4%下落しています。米国株全体ではS&P500が0.7%、NYダウが0.5%、NASDAQ総合指数が1%上昇しました。
しかし、BTCは米国株の上昇に追随できず、6万5,000ドル台から6万3,000ドルを割り込み、週末には6万2,000ドル台まで下落しました。米国株が上昇しているのにBTCが下落したことは、暗号資産市場の買い需要が弱い可能性を示します。ただし、特定の一つの材料だけで急落を説明することはできないため、今週は米国株との連動が戻るかも確認が必要です。
《出典》
AP通信「How major US stock indexes fared Thursday 7/30/2026」
AP通信「US stocks rise to finish a wild July as Amazon soars」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
PCE物価指数は前年比3.7%、前月比では0.1%低下
30日に発表された6月のPCE物価指数は、前年同月比で3.7%上昇し、FRBの2%目標を上回りました。一方、前月比では0.1%低下しています。食品とエネルギーを除くコアPCE物価指数は、前年同月比3.3%、前月比0.1%上昇でした。
「前年比3.7%」は物価水準が1年前より高いことを示し、「前月比マイナス0.1%」は6月単月ではわずかに低下したことを示します。インフレが解消したとはいえませんが、直近の物価上昇が一方向に加速しているわけでもありません。そのため、市場は今後の雇用・賃金と原油価格をあわせて判断する必要があります。
テクニカル分析は別ページへ移行しました
さらに専門的なチャート分析をお届けするため、本記事でのテクニカル分析パートを切り離し、別ページにて掲載することといたしました。
最新のビットコイン(BTC)テクニカル分析や詳細な価格予測は、以下のリンクよりご確認いただけます。
今週の経済イベント
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 08 | 03 | 月 | 22:45 | 米国 | 製造業PMI(購買担当者景気指数)7月 | ★★★☆☆ |
| 08 | 03 | 月 | 23:00 | 米国 | ISM製造業景気指数7月 | ★★★★★ |
| 08 | 04 | 火 | 21:30 | 米国 | 貿易収支6月 | ★★★★☆ |
| 08 | 04 | 火 | 23:00 | 米国 | 耐久財受注6月 | ★★★★☆ |
| 08 | 04 | 火 | 23:00 | 米国 | JOLTS求人件数6月 | ★★★★☆ |
| 08 | 05 | 水 | 18:00 | ユーロ圏 | 生産者物価指数(PPI)6月 | ★★★☆☆ |
| 08 | 05 | 水 | 21:15 | 米国 | ADP雇用者数7月 | ★★★★☆ |
| 08 | 05 | 水 | 22:45 | 米国 | サービス業PMI7月 | ★★★☆☆ |
| 08 | 05 | 水 | 23:00 | 米国 | ISM非製造業景気指数7月 | ★★★★★ |
| 08 | 06 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数7/26-8/1 | ★★★★☆ |
| 08 | 07 | 金 | 21:30 | 米国 | 雇用統計(非農業部門就業者数、失業率、平均時給7月) | ★★★★★ |
注目のイベント解説
今週は、7日の米雇用統計と中東情勢がBTCの方向を考えるうえで重要です。加えて、クラリティ法案の上院手続きと、AI・半導体関連企業を含む決算発表も市場心理を動かす可能性があります。
8月7日:米雇用統計
米労働省労働統計局は、8月7日午前8時30分(米東部時間)に7月の雇用統計を発表します。日本時間では同日夜の発表です。雇用者数、失業率、平均時給は、景気とインフレの両方を判断する材料となります。
初心者が注意したいのは、雇用統計の数字だけでBTCの方向を決めつけないことです。重要なのは、発表後に米国債利回りとドル、NASDAQ、BTCが実際にどう反応するかです。
雇用統計後に確認したい反応
- 雇用・賃金が強く、米国債利回りも上昇:利上げ警戒が強まり、BTCの上値を抑える可能性
- 雇用・賃金が緩やかに鈍化し、米国債利回りが低下:金利面ではBTCの反発を支える可能性
- 雇用が大幅に悪化し、株式も下落:景気不安からBTCにも売りが広がる可能性
中東情勢:攻撃見送りが実際の停戦につながるか
トランプ大統領は、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦からの要請を受け、イランへの新たな攻撃を見送ると表明しました。交渉が進み、原油の輸送不安が和らげば、インフレ警戒と米国債利回りの上昇を抑える可能性があります。
ただし、攻撃見送りの表明は停戦合意そのものではありません。これまで一時的な攻撃停止後に戦闘が再開したこともあるため、原油価格だけでなく、実際の攻撃の有無とホルムズ海峡の輸送状況を確認する必要があります。
中東情勢で確認したい3点
- 米国とイラン双方の攻撃停止が継続するか
- 停戦や航行再開に向けた具体的な合意が示されるか
- 原油価格と米国債利回りが低下するか
《出典》
AP通信「Trump says Gulf leaders’ input weighed heavily in decision to hold off on ordering new Iran strikes」
AP通信「Oil prices drop after Trump orders US forces to hold off on new strikes against Iran」
クラリティ法案:休会前に上院の手続きが進むか
米国の暗号資産市場構造を明確にするクラリティ法案について、上院では夏季休会前に手続き上の採決を行う可能性が示されています。審議を進めるには、共和党だけでなく民主党からも支持を得て、60票を確保できるかが重要です。
採決日程や超党派合意が具体化すれば、米国での規制の不透明さが小さくなるとの期待からBTCの支えになる可能性があります。一方、休会前に進展しなくても、BTCの仕組みや供給量が変わるわけではありません。短期的な期待の後退と、長期的な価値への影響は分けて考える必要があります。
《出典》
Axios「Axios Hill Leaders, July 29, 2026」
シンシア・ルミス上院議員公式サイト「Lummis Releases Updated Clarity Act Text」
8月4~5日:AMD・SpaceX・Eli Lillyの決算
企業決算では、AMDとSpaceXが8月4日、Eli Lillyが8月5日に決算を発表する予定です。AMDとSpaceXはAI関連投資への評価、Eli Lillyは大型医薬品の成長や業績見通しを通じて、株式市場全体の投資家心理に影響する可能性があります。
BTCはこれらの企業業績から直接利益を得る資産ではありません。ただし、決算後にAI・半導体株が大きく動けば、投資家がリスクを取る姿勢の変化を通じて、BTCにも値動きが波及する場合があります。
| 米国時間 | 企業 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| 8月4日 | AMD | データセンター・AI向け半導体の成長と今後の見通し |
| 8月4日 | SpaceX | Starlinkなどの事業成長、設備投資、収益性 |
| 8月5日 | Eli Lilly | 主要医薬品の売上高、供給状況、通期見通し |
《出典》
AMD Investor Relations「IR Calendar」
SpaceX Investor Relations「SpaceX to Post Second Quarter 2026 Results」
Eli Lilly Investor Relations「Lilly confirms date for second-quarter 2026 results」
今週の見通しの総括
今週のBTCは、6万2,000ドル前後で下げ止まり、6万4,000~6万5,000ドル台を回復できるかを確認する週です。8月3日の執筆時点では6万3,000ドル台で推移しており、現在の判定は「急落後の反発を試しているが、下げ止まりは未確認」です。
上方向へ動く条件は、中東情勢の緊張が和らいで原油価格と米国債利回りが低下すること、雇用統計がインフレ再加速を示さないこと、BTCが6万4,000~6万5,000ドル台を回復して維持することです。クラリティ法案の採決日程や超党派合意が具体化すれば、BTC独自の支援材料になる可能性もあります。
下方向へ動く条件は、雇用・賃金の強さや原油高によって利上げ警戒が強まること、中東で攻撃が再開すること、BTCが6万2,000ドル前後を明確に割り込むことです。その場合は、節目となる6万ドル近辺で買いが入るかを確認する必要があります。
今週確認したい3つの条件
- BTCが6万4,000~6万5,000ドル台を回復し、その水準を維持できるか
- 米雇用統計後に米国債利回りとドルが上昇するか、低下するか
- 中東情勢の緊張緩和が原油価格の低下と実際の攻撃停止につながるか
良い材料が出ても6万4,000ドル台を回復できない場合は、BTC固有の需要が弱い可能性があります。反対に、金利上昇や中東情勢の悪化があっても6万2,000ドル前後を維持できれば、同水準で買い需要があると判断しやすくなります。
今週は見出しだけで方向を決めるのではなく、材料が出た後の「BTCの価格」「米国債利回り」「NASDAQ」「原油価格」を分けて確認することが重要です。急落直後は値動きが大きくなりやすいため、反発を確認する前の飛びつきや、下落中の決めつけを避ける必要があります。
《出典》
米労働省労働統計局「Schedule of Selected Releases 2026」
AP通信「Trump says Gulf leaders’ input weighed heavily」
Axios「Axios Hill Leaders, July 29, 2026」