ビットコインの急激な普及と共に、仮想通貨(暗号資産)市場には新たな種類のコインが次々と登場しています。

その中でもひときわ目立つのが、ミームコインと呼ばれるコインです。とくにユニークな成り立ちを持つ「Bitcoin Cats(ビットコインキャッツ)」と「Bitcoin Dogs(ビットコインドック)」は、名前だけでなくそのコンセプトやコミュニティの独自性でも注目を集めています。

今回は、両コインについて、どのようなコインなのかを中心にみていきましょう。

さまざまなミームコイン

Bitcoin Cats(ビットコインキャッツ)も Bitcoin Dogs(ビットコインドッグス)もあるミームコイン

ミームコインという言葉があります。実際に仮想通貨を取り扱っていると最近よく耳にするようになった言葉で、今回紹介するBitcoin Catsもその一つです。しかし、ミームという言葉と、それを仮想通貨にしたミームコインという言葉をイメージするのは難しい方も多くいます。ここでは、Bitcoin Catsについて解説する前に、そもそもミームコインとはどのようなものかについて解説しましょう。  

そもそもミームコインとは?

ミームコインとは、簡単に言えばネットで流行っているキャラクターをモチーフにしたコインを言います。

ネットの用語で近年よく目にするミームに由来するコインです。なおミームとはネット上で人気を博しているフレーズやキャラクター、画像などを言います。

具体例を挙げましょう。画像では「5000兆円欲しい」(絵師のケー・スワベさんのXのメッセージから)、「スプーのえかきうた」(2006年、はいださんがNHK教育番組「おかあさんといっしょ」で描いた絵)などです。ほかにも工事用ヘルメットを被った猫が「ヨシ!」と指差呼称をしている仕事猫(しごとねこ)も日本では有名なミームといえるでしょう。このほか言葉(だが断る)もミームとして知られています。

このようなミームは日本だけでなく海外でも多くのものがあり、今回紹介するBitcoin Catsも猫のミームをモチーフにしています。  

ミームコインの特徴とは?

ミームコインは、特徴としてコミュニティの影響を受けている、価格変動が激しい、発行枚数制限を持たないことや上限が限りなく高いことが挙げられます。

まずコミュニティの影響を受けているのがミームコインの特徴です。もともとネットで流行したモチーフを仮想通貨にしているため、そのモチーフを支持するネットのコミュニティがミームコインも支持しているケースがほとんどです。ソーシャルメディアのほかにもオンラインのフォーラムで活発にそれぞれのミームコインについてコミュニケーションがとられ、改良や意思決定が行われています。

さらにインフルエンサーや著名な人物がXなどで言及することによって一気に人気を集めるといったケースも少なくありません。最も有名な事例に犬のミーム、ドージをモチーフにしたドージコインをイーロン・マスクがXで話題にしたことで一気にそのコミュニティが巨大化したことが挙げられます。

次に価格変動が激しいのもミームコインの特徴です。ミームコインは短期間で一気にコミュニティが購入や売却を行うため、もともと法定通貨に比べて価格変動の激しい仮想通貨にあって、特に価格変動の激しい通貨です。このような性質から投機目的で短期投資されてしまうケースも珍しくありません。

最後が発行枚数制限です。一般的な仮想通貨は発行枚数制限を厳しく制限し、価値を維持しています。例えば、ビットコインは当初から発行枚数を2100万枚に設定し制限を加えているのが特徴です。しかし、ミームコインは発行上限を設けていなかったり、1,000兆枚など天文学的な数字を設定していたりします。これによって多くのユーザーが膨大なドージコインを保有しているケースも珍しくありません。

このように従来の仮想通貨とはやや性格の異なる仮想通貨がミームコインといえるでしょう。

ビットコインキャッツのスクリーンショット

引用元:https://www.bitcoincats.world/

ミームコインのBitcoin Cats(ビットコインキャッツ)を紹介

ミームコインについて解説したところで、今回紹介するBitcoin Catsについて解説します。Bitcoin Catsはビットコインと同じ規格であるBRC20規格によって発行されているミームコインの1種です。ネイティブトークンと呼ばれるブロックチェーン上の単位はCATでBitcoin Cats(CAT)と表記されることもあります。

ここではBitcoin Catsの特徴や動向、その人気について解説しましょう。

Bitcoin Cats(ビットコインキャッツ)の特徴とはどんなものか?

Bitcoin Catsの特徴は、ゲームプロジェクト、ビットコインL2、NFTコミュニティの3つです。

まず、Bitcoin Catsのブロックチェーンを活用したブロックチェーンゲームを展開しています。もちろんキャラクターは猫ばかりで、まさに猫ミームの世界そのものです。

次にビットコインL2とはビットコインのLayer2(レイヤー2)ネットワークのことを指します。このレイヤー2とはもともとのブロックチェーン(この場合はビットコインのブロックチェーン)の上に追加のブロックチェーンを設置して、そこでブロックチェーンの処理を行うものです。これによってもともとのブロックチェーンで問題になっているスケーラビリティ問題を解決し、迅速で安価な料金(ガス代)による通貨の送金を実現します。

さらにBitcoin Catsのブロックチェーンはビットコイン上のブロックチェーンを利用しつつEVM(イーサリアム仮想マシン)と互換性を持っているのが特徴です。つまりビットコインベースであるもののイーサリアムとの互換性も持っているという万能なブロックチェーンとなっています。これがBitcoin Cats最大の特徴といえるでしょう。

最後のBitcoin Cats NFTは10,000点のピクセル化された猫のアート作品をビットコインのブロックチェーンにNFTやトークンなどの資産を記録する機能であるOrdinals(序数)に収納しているのが特徴です。すでに0.015BTC(約15万円)で4,000個が販売され、推定で6億円の資金を集めたとされています。

このようにBitcoin Catsは単にミームを使っている話題性だけでなく機能面でも特徴を持ったコインといえるでしょう。

BakerySwap

Photo by shutterstock.com

現在の動向を一挙に解説

Bitcoin Catsは2023年12月に分散型取引プラットフォームとして知られているBakerySwapで販売を行い、実に総額1億600万ドル(約240億円)を調達しています。

これによって十分な資金力を背景に開発を加速させました。bakeryswap取引所に上場した直後は1米ドルだったものが15倍以上に価値を上昇させています。さらに供給量も100億枚という驚異的なものだったにもかかわらず購入が止まらない状況でした。

このような経緯だったものの、近年はプロジェクトの開発が滞っているなど実現性が薄れてきており、上場最高値を記録した2024年3月をピークに下落傾向があります。

Bitcoin Cats(ビットコインキャッツ)人気が上昇中?

Bitcoin Catsはコミュニティ活動が盛んです。これはアメリカなど現地だけの人気ではありません。

実際日本でも2023年にBitcoin Cats IN JAPANと呼ばれるイベントが開催されており、イベント会場ではクレーンゲーム複数が設置されるなどコミュニティ活動が活発に行われました。マイナーなコインでこのようなコミュニティ活動が行われることはほとんどなく、Bitcoin Catsが日本でも注目を浴び、人気もあることがわかる事例です。

ビットコインドックスのスクリーンショット

引用元:https://bitcoindogs.club/ja

猫もいれば犬(ドック)もいる Bitcoin Dogs(ビットコインドッグス)

Bitcoin Catsのようなミームコインは多くあります。その中でもBitcoin Catsと正反対の意味を持つBitcoin Dogsも存在します。ここではどのようなコインなのか、その内容を解説しましょう。

Bitcoin Dogs(ビットコインドッグス)を紹介

Bitcoin Dogsも実はBitcoin CatsBitcoin Cats同様にビットコインのブロックチェーン上で動くレイヤー2のトークンです。機能もBitcoin Catsに似ており、NFT、ゲームなども展開するミームコインとして知られています。

ただ、世界初の取り組みとしてビットコインのネットワーク上で上場を果たすという取り組みを行いました。つまり、従来の法定通貨による資金調達ではなくビットコインによる資金調達を行ったのです。

こういったユニークな試みを行うのもミームコインの特徴といえるでしょう。

それぞれのミームコインを購入する

Bitcoin CatsもBitcoin Dogsも国内の取引所では販売されていません。しかし、ネットを利用して購入することは可能です。ここでは購入の方法について解説しましょう。

Bitcoin Cats(ビットコインキャッツ)の気になる購入方法は?

Bitcoin Dogsは、国内取引所で購入できません。方法としては、Bitgetと呼ばれる分散型プラットフォームのアカウントを作成して本人確認を完了させ、クレジットカードで購入します。

法定通貨が使えるので便利です。また、Bitget Convertと呼ばれる取引所を使ってテザーなどの仮想通貨で購入する方法もあります。

Bitcoin Dogs(ビットコインドッグス)は買い方が特殊?

Bitcoin Dogsは海外のメジャーな取引所にも上場していません。分散型プラットフォームと呼ばれる個人間取引が行われている場所で購入する必要があります。しかもすべてのプラットフォームで購入できるのではなく、Magic Edenと呼ばれるところで購入します。

同プラットフォームで提供しているMagicEden Walletを利用し、法定通貨ではなくビットコインでBitcoin Dogsを購入する形をとるのが特徴です。

メリットとデメリット

ミームコインを手に入れるメリットやデメリット

最後にBitcoin DogsやBitcoin Catsといったミームコインを手に入れるメリットやデメリットを解説しましょう。

ミームコインのメリット

ミームコインのメリットは価格の急上昇やコミュニティの楽しさが挙げられます。投資先としてみた場合、ほとんど価値のないミームコインがいきなり高額になることも珍しくありません。これによって一気に利益を挙げられる可能性がメリットです。

また、コミュニティ活動も活発なのでリアルイベントやオフ会、ネット上のお祭り騒ぎに参加できるのも魅力です。

気になるデメリットも解説

デメリットも少なくありません。それは詐欺コインも多くある、一気に下落するリスクがあるといった点です。ミームコインはジョークで作っているケースもあります。そのためシステムが稚拙であったり、ブロックチェーンとしてでたらめだったりといったことが珍しくありません。そのうえ詐欺案件で使われてしまうケースも見られます。このような危険さもはらんでいるのがデメリットです。

また、著名人が発言をして一気に価値を落とすこともあるので、失っても良いくらいのつもりで購入することも求められます。

理解したうえでBitcoin Cats(ビットコインキャッツ)の購入を

Bitcoin Catsのようなミームコインは、一気に価値が高まる期待がある反面、下落するリスクも大きなコインです。ゲームやコミュニティなどで楽しむといったこともできますが、投資対象として考えた場合、ハイリスクなものであることを理解しておくことが重要です。

ビットコインキャッツの画像

引用元:https://coinpost.jp/?p=520331

まとめ

ミームコインは、ネット上の人気キャラや話題をモチーフにしたエンターテイメント性のある仮想通貨です。

今回は、その中でも有名なBitcoin Catsを中心に解説しました。コミュニティなど楽しみがある反面、投資先として考えた場合はリスクもあるので、もし購入する場合は注意して入手するようにしましょう。