Web3.0とは何か?曖昧な定義とこれからの可能性

2014年、ギャビン・ウッド氏のブログに書かれたWeb3.0の定義は、依然として曖昧なまま今日に至る。再三に渡って、私個人が認識しているWeb3.0の定義について語ってきてはいるものの、改めて明記するば、「ブロックチェーン・メタバース・あたらしいワールドワイドウェブ」、以上の3つの領域がWeb3.0に内包されるテクノロジーであると考えている。

ブロックチェーンと既存技術のシンギュラリティ

そのなかでも、ブロックチェーンと既存の技術がかけ合わさることによるある種のシンギュラリティが期待をされてきただろうし、私も期待してきた。しかしながら、10年の歳月を経た現在も、これといって大きな特異点には至っていないというのが、大方の見立てだと思う。

web3を構成する分野のイメージ

Web3.0の本命はAIか?

頭を柔らかくして、Web3.0の本命がブロックチェーンではないと仮定したらどうだろう。ワールドワイドウェブはインターネット上で情報を共有するためのシステムのことを指すのが一般的である。細かいところでいえば、インターネットはコンピュータネットワークそのものであり、ワールドワイドウェブはその上で動作する1つのサービスと定義されることが多いようだ。

AIがWeb3.0の未来を形作る可能性

ウェブに限定されるわけではないものの、AIはウェブを介して提供されることも多い。ウェブの一部として利用される技術の1つとみることはできそうだ。言葉遊びのようになってしまったが、つまるところ、AIをWeb3.0の本命として解釈するのはどうだろう。こんなことをいうと、有識者の人に怒られそうだが、今回はコラムとしてお付き合いいただきたい。

八木編集長FOCUS

AIスタートアップ「Sakana AI」が示す未来

2024年9月17日、AIスタートアップの「Sakana AI」がシリーズAで資金調達を行った。資金は、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ、NEC、KDDI、富士通などの大手企業および投資家と名だたる面々が名を連ねた。8月には、シリコンバレーの有力VCであるNew Enterprise Associates(NEA)、Khosla Ventures、Lux Capital、Translink Capital、500 Globalと、NVIDIAからの出資を発表。これらと今回の出資の総額で調達額は300億円規模となった。

AIスタートアップの中でも異彩を放つSakana AI

過去には、宇宙産業のスタートアップ「Astroscale」やバイオテクノロジー企業の「Spiber」も同規模の資金調達を行った事例はあるものの、かなりの期待がSakana AIに向いていることがうかがい知れる。同社は、2023年にデビッド・ハ氏とリオン・ジョーンズ氏によって東京で設立されたAIスタートアップで、進化的アルゴリズムや自然に基づくアプローチを取り入れ、効率的で持続可能なAIモデルを開発しているという。

進化するAI技術「AIコンステレーション」と「モデルマージ」

もう少し具体的にあげれば、複数の小型AIを連携させる「AIコンステレーション」や、異なるAIモデルを統合する「モデルマージ」技術を活用している。

「Sakana AI」を率いる注目の人物たち

デビッド・ハ氏は以前、Google Brainに所属し、同チームでAIの進化的アプローチや複雑系に関する研究を主導。リオン・ジョーンズ氏は、トランスフォーマー(Transformer)というAIモデルの基盤となる技術を提案したAI領域では有名な論文「Attention is All You Need」の共同著者として知られている。皆さんが触れる機会の多いであろう「ChatGPT」の“T”はこのトランスフォーマーからきている。これから彼らが生み出すあたらしいAIの形は注視していきたい。

【NEWS】Google出身研究者が設立の日本発「Sakana AI」が200億円調達へ 創業1年でユニコーンに

[Iolite記事]
【NEWS】Google出身研究者が設立の日本発「Sakana AI」が200億円調達へ 創業1年でユニコーンに