長友宏樹のクリプト最前線
急速に注目を集める新たなトレンド「Web3」。次世代型インターネットであるWeb3の仕組みを活用して「メタバース」、「NFT」や「DAO」といった、新しいムーブメントが次々と登場しています。Web3によってもたらされる人類のネクストライフスタイルとは?その最前線を追います。

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「TOKEN2049」

アジア最大のデジタルアセットイベント

10月1日にシンガポールから帰国した。とてもエキサイティングな滞在を終え、現地でお世話になった方々には感謝しかない。

今回のカンファレンスで印象的だった事はなにもバイナンスが出席してなかった事ではない。現在のベアマーケットについて取引所もVCもあまり悲観していないという事だ。

今年はコロナによるインフレ、ロシア・ウクライナ問題、さらにコストプッシュ型のインフレ。現在進行形で進んでいる問題だけではなく、テラ・ルナショック、セルシウス、スリーアローズショック。米国経済もそうだ。CPI発表の度にドキをムネムネさせながらTwitterにかじりついていたあの時間が今やもう懐かしく感じてしまうが、とにかく今年はこれだけ未曾有の状況が重なったのだ。

株式市場が落ち込んでいる時こそ資産の退避先としての付加価値からクリプト市場が盛り上がるべきだが、デジタルゴールドとしての性質を失っている現在の状況に、「Bitcoin is DEAD」というジャンク債級の扱いを至る所で受け、ビットコインさんもさぞかし悲しい思いをしていることだろう。

毎年1月に機関投資家やアナリストがビットコインの年末プライスを予想するのだが、皆さんは今年の観測を覚えているだろうか。本年度末の予想のほとんどは10万ドルをゆうに超えていた。唯一のクリプトウィンター発言をしていたと言っても過言ではないのがUBSだ。為替についてもそうである。今年の年末頃には1ドル119円ほどだろうと発言していた某大手金融機関は冷や汗だらだらだろう。彼らを責める訳ではない。それだけ先の事は誰にもわからないという事だ。

我々は歴史から学ぶしかないのだが、いずれ冬は終わり春が来る。市場に希望を抱くのであれば目先の状況はもはやエンタメとして、長い目線で期待を込めるほうが精神衛生上良い。「織り込み済み」とは疲れた心を癒す魔法の言葉かもしれない。

今回の滞在中、様々な方との交流で感じたのは、ゲーム業界の盛り上がりである。私は全くゲームに縁の無い人生を送ってきた。ゲームよりドッジボールで最後まで戦う事に悦を感じる直球派だったので、もちろん大人になってからもゲームに触れる機会は皆無だ。マリオカートをやらせると身体ごと揺れる不器用なタイプである。

そんな身分不相応な私がゲーム特化型ブロックチェーンであるOasysさんのイベントに参加させていただいたのだがとても驚いた。すでに公式でも発表はされているが、伝統的なゲーム会社(SEGA)が保有するIPライセンスを活用してブロックチェーンゲームを制作するというプロジェクトだ。昨今の大規模資金調達のニュースを見ても、各企業のストロングポイントを出し合って新たなトレンドを再構築する体制がゲーム業界では一足先に進んでいると感じた。ある意味分散化していて、web3らしさを感じる。

ブロックチェーンゲーム業界はアクシーインフィニティなどの事例でも分かるがアジアでの盛り上がりが凄まじい。日本からシンガポールに拠点を移している企業も多く、彼らはアジアのマーケットを虎視眈々と狙っている。ブロックチェーンゲーム業界が日本のIP活用のユースケースを生み出すのも時間の問題かもしれない。現在の相場状況とは裏腹にそれだけの盛り上がり、勢いを感じた。

web3スタートアップが大企業と提携する事例について旬な情報としては、ASTARを展開するStake Technologiesの渡辺氏がGMOや電通など、誰もが知る大手企業とweb3の事業体でパートナーシップを結んだことも衝撃的だった。

この流れを見るに、いくら大手企業と言えども、web3ベンチャーの力を借りなければweb3分野に参入出来ないのだろう。だが、これは海外に比べてクリプトの普及が遅れている日本に残された独自戦略だと私は思う。

開発コストをイチからかけるのではなく、リソースを持っている事業体とのジョイントで横展開していく。今後この流れは行政分野でも民間でもスタンダードになっていくと思われる。

TOKEN2049で印象的な対談があった。大手取引所であるFTX、OKX、Bybit、Deribitの代表者の話の中で、彼らはパイの奪い合いをするつもりはなく、業界が盛り上がる為には力を合わせる必要があるという発言だ。(生の声を聞いた私の解釈である事を予め付け加えておく)

ちなみに大谷翔平選手を広告塔に起用しているFTXはグローバルで900万人もユーザーがいる。対して日本は国内取引所30数社合わせて300万人弱。よく比較される対象として証券口座が挙がるが、ネット証券含め国内の口座開設数は3000万ほど。このポテンシャルをどう捉えるか。

先日バイナンスが日本へ進出する可能性について報道が出たが、これも業界が盛り上がる為には喜ばしい事である。過去の規制当局とのわだかまりを解消して正面からドアをノックする姿勢には見習うべき部分もあると思う。

世界最大のメディアのひとつであるForbesにも多額の出資を行うバイナンスが日本に来れば間違いなく業界は盛り上がるだろう。しかし、ここで海外勢に着火されるのではなく、先のASTARの事例のように、すでに顧客を持っている伝統的な大企業がweb3分野へ進出する事で国内マーケットの着火剤の役割を果たしてくれれば尚良いと私は思う。それだけ企業にとってもデジタル化やブロックチェーンを活用する恩恵は大きいのだから。 次回のTOKEN2049は11月にロンドンで開催される。ステーブルコインやCBDCの話について個人的に興味があるので引き続き情報を追いたい。

1988年、宮崎県生まれ。横浜市立大学在学中の2011年に起業。大手通信キャリアを主なクライアントとして人材派遣会社を設立し事業を展開。30カ国以上の海外渡航で出会った海外富裕層との交流が暗号資産に触れるきっかけとなる。現在はWeb3時代の資産形成プラットフォーム「BitLending」に従事。月刊暗号資産「Crypto Journey」で自身の連載を持ち、クリプトエバンジェリストとして暗号資産の啓蒙活動も行なっている。

長友 宏樹
Hiroki Nagatomo
株式会社J-CAM
ウェルスマネジメント事業部 部長

1988年、宮崎県生まれ。横浜市立大学在学中の2011年に起業。大手通信キャリアを主なクライアントとして人材派遣会社を設立し事業を展開。30カ国以上の海外渡航で出会った海外富裕層との交流が暗号資産に触れるきっかけとなる。現在はWeb3時代の資産形成プラットフォーム「BitLending」に従事。月刊暗号資産「Crypto Journey」で自身の連載を持ち、クリプトエバンジェリストとして暗号資産の啓蒙活動も行なっている。

長友 宏樹
Hiroki Nagatomo
株式会社J-CAM
ウェルスマネジメント事業部 部長