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ナガトモヒロキ コラム|クリプト最前線 Crypto Frontiers

ナガトモヒロキ|クリプト最前線  
――Crypto Frontiers

30カ国以上の海外渡航で出会った海外富裕層との交流を深め、独自のネットワークを生かして世界を旅しながらリアルな視点でクリプトの今をリポートする。趣味は写真。トライアスリートとしても世界各国のIRONMAN RACEにチャレンジしている。

最新NFTユースケース|米国×中小企業

最新NFTユースケース|米国×中小企業

iPhone 14がデビューして間もないが、iPodやiPhoneが販売された時の出来事を思い出してほしい。皆さんはどのような動機の元、どのようなタイミングでその新製品を手に取ったか覚えているだろうか。

新たな製品が世に出た際にその製品が市場に普及するためには超えるべきある溝がある。

「キャズム理論」という言葉を聞いたことがある人も多いと思うが、10年ほど前に日本でもちょっとしたブームになり、私もオレンジの表紙の分厚い本を苦労して読んだ記憶がある。

具体的にいうと、キャズム理論の前提となる考え方にイノベーター理論というものがあるのだが、新たな製品の普及の過程を5つのタイプに分類したもので、手に取るタイミングの早い消費者から順番に、

  • イノベーター(革新者、市場全体の2.5%)
  • アーリーアダプター(初期採用者、市場全体の13.5%)
  • アーリーマジョリティ(前期追随者、市場全体の34%)
  • レイトマジョリティ(後期追随者、市場全体の34%)
  • ラガード(遅滞者、市場全体の16%)

と称したものである。

このイノベーター理論におけるイノベーター・アーリーアダプターを「初期市場」、アーリーマジョリティからラガードまでを「メインストリーム市場」とし、これらの間には“キャズム”と呼ばれる大きな溝(市場に製品を普及させる際に超えるべき障害)が存在しており、これを乗り超えることが市場を開拓するうえで重要だとする理論のことだ。

10年前、当時はAKB48がお茶の間を賑わしていた。アイドルのファンでもない人ですら推しが現れる社会現象に、AKB48の下積み時代をキャズム理論と照らし合わせたコメンテーターもいたくらいだ。

冒頭のiPod、iPhoneの事例で見ると、皆さんは発売日に並んで買う人なのか?

または気になるけど誰かが購入した感想をもとに買う人なのか?

はたまたそんな新しいものなんかクソくらえ! と斜に構えて「SONYのMDプレイヤー最高でしょ」と豪語しながらも、周りに浸透してきたタイミングでこっそり乗り換えるタイプなのか。

誰もがいずれかのタイプに分類されるというのは動物占い的な楽しさがある。

因みに私は(イノベータ+アーリーアダプター)÷2だ。ややこしいのでこの先は割愛する。

何故こんな話をするのかというと、新しいものが流行るにはやはり一定の時間と超えるべき溝があるのだ。

暗号資産業界に身を置く我々もその溝に翻弄されているうちの一人である。

そうだ! 今は我慢の時期である。キャズムを越えるのももうすぐだ! 年末には、来年には、半減期には!!!!(心の声…)

そんな目先の日々の出来事に一喜一憂しながらもweb3の未来に希望を見出しひたむきに精進し続ける業界人(クリプトソルジャー達)に幸あれと願いながら本題へ移る。

今やweb3という言葉はなんとなくの広がりは見せていると思うが、NFTもメタバースも具体的な社会実装や活用事例はまだまだ豊富にないのが現状だ。

そんな中でアメリカ、サンディエゴのとある洗車チェーンがNFTを活用して売上と会員数を増やしたというニュースがあった。

要約すると

・17店舗ある洗車屋さんにそれぞれに異なるNFTプレゼントを設定し、利用者に配布。

・たくさん集めた人にグッズやディカウントチケット、レストランや遊園地のチケットなどをプレゼント。

というものだ。

キャンペーン開始から2ヶ月半後の結果は以下の通りである。

・2000のウォレットの接続に1万個のNFTの発行

・会員数は10%増加

・複数店舗の利用者増

このひとつの成功事例は郊外型の店舗を有する地方の中小企業にも活用できると思う。

別にNFTじゃなくてポイントカードでもできるという冷たい意見は辞めていただきたい。

大事なのは、NFTというブロックチェーン技術を活用したマーケティングが中小企業の売上げをアップさせたということだ。

これまでNFTを活用したマーケティングは大手企業が有料でNFTを販売するなど、NFT自体に付加価値をつけるものが多かった。

今回の事例は無料でNFTを配布し、顧客のアクション次第でユーザーにとっての付加価値に変換できる点と、中小企業というのがポイントだ。

これは飲食店やガソリンスタンド、クリーニング、美容室、エステやマッサージサロンなど、様々な場面で活用できると思う。

年会費などを設定して顧客の囲い込みをしている業態には特に相性が良いと思う。

サービスの利用回数でその分をペイできるなら元を取りたいのは不変の消費者心理だと思う。

ここに地域通貨など行政とのコラボレーションなど入れば面白くなる気もする。

例えば行政が普及を進めたい政策のひとつにマイナンバーカードがある。

マイナンバーカードを新規に作ったり、マイナンバーカードに「健康保険証の利用登録」「公金受取口座の登録」をすることによりもらえるポイントにマイナポイントというものがあるが、カードの取得者が条件を満たせばマイナポイント2万円をもらえるというものだ。

これをシンプルにその都市の保有する潜在的TVL(Total value locked:預かり資産)と考えると、人口10万人規模の都市では2万円×10万人で20億円。人口50万人以上の政令指定都市では100億円にもなる。すごい金額だ。

この金額が地方で消費されることを想定すると、地域企業にとって税収としてもベストな形で地産地消の還元を実現できるのではないだろうか。

これから現れるweb3のユースケースに乞うご期待!