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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

日本化進む? 中国

日本化進む? 中国

 米国のシティグループのアナリスト・チームが中国経済の日本化に警鐘をならすレポートを発表しています。

 日本と中国はインフラ投資と輸出の奨励により力強い成長を遂げました。日本の高度成長は戦後の復興に始まり、中国は2001年のWTO(世界貿易機関)への加盟後に始まっています。

 日本は1980年代に米国を追い抜くかとの成長を遂げていましたが、1990年代に山のように積み上がった不良債権の処理を誤り、経済が回復出来る見通しを潰しました。

 1997年には北海道拓殖銀行や山一証券の破綻があり、2000年代に入ると一流地方銀行の足利銀行が破綻し、大手銀行であるりそな銀行へ公的資金注入をし国有化を行いました。

 こうしたポスト不動産バブル時代の日本と現在の中国が「驚くほど似ている」とシティグループのアナリスト・チームがレポートし、中国の銀行システムの潜在的なリスクに警鐘を鳴らしています。

日本の不動産・株式バブルは、当局が内需拡大を促すために緩和政策を導入した後に最も膨らみました。借り入れが急激に拡大し、流動性が株式と不動産につぎ込まれ、企業にとって金融投機が実際の企業経営よりも儲かるところまで行きました。そして中国も実体経済と金融システムの乖離を許しています。

シティグループの推計によると、中国不動産市場の規模は2020年までに65兆ドルに達し、米国と欧州連合(EU)、日本のそれの合計をも上回りました。2021年には中国の銀行システムの資産総額の41%が不動産関連の融資とクレジット(信用)で占められています。

 日中両国の不動産バブルに向かう過程は、国に課された融資制限やその他の制約を迂回するために発展した巨大なシャドーバンキング(影の銀行)市場の存在によって加速されました。

 シティグループはさらに両国の米国との関係についても指摘しています。

日本の貿易黒字が大きく膨らみ、米国との全面的な貿易戦争となりました。米国の最近の法制定やその他の措置が先端技術に対する外国企業のアクセスを制限しようとしたところに類似点があるとしています。

 ゾンビ企業の債務が困窮した金融機関のバランスシートに巣くい、企業と家計は長期的なデレバレッジ(債務の圧縮)フェーズに入り、低金利が維持されました。

 これは中国の特色ある日本化だとシティグループのアナリスト・チームは結論づけています。そして投資家が注意すべきリスクは銀行システムに潜むものだとしています。