監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部|更新日:2026年8月17日
免責事項(投資助言ではありません)|本記事の読み方
執筆時点(2026年8月17日午前)の日足形成中の分析です。イーサリアム(ETH)に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。過去の値動きは将来を保証しません。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
現在のイーサリアム(ETH/JPY)
現在のイーサリアム(ETH/JPY)は、執筆時点の価格30万円台前半がEMA20・EMA50を上回る一方、EMA100・EMA200を下回る「短期は中立、長期は弱い位置」です。前日比はプラスで、RSIは中立圏、MACDは弱いモメンタムを示しています。
長期トレンド(弱気): 執筆時点の価格はEMA100(30万円台後半)とEMA200(33万円台後半)を下回っています。長期の弱い位置関係から離れたと判断するには、まずEMA100を終値で回復し、その後EMA200へ進めるか確認が必要です。
短期トレンド(中立): 執筆時点の価格はEMA20(30万円前後)、EMA50(29万円台後半)、バンド中央線(29万円台後半)をわずかに上回っています。上値ではEMA100とバンド上限がともに30万円台後半、下値ではEMA50と中央線が観察帯です。
テクニカル分析
EMA(20, 50, 100, 200)|BB(20, SMA, 2σ)|RSI 14(終値)|MACD: 12, 26, 9(終値)|CC: BTCJPY, 14(終値)
初心者が最初に見るべき点は、「価格は短期の平均線を上回ったが、上昇の勢いはまだ強くない」ということです。RSI14は50前後、シグナルは50前後で、50付近の中立圏にあり過熱感は確認できません。
MACDはシグナルを下回り、ヒストグラムもマイナスです。MACDがシグナルを下回るため、価格が短期線を上回っていてもモメンタムは弱さを残しています。
判断の目安: EMA100・バンド上限が重なる30万円台後半を終値で上回れば、短期改善が一段進んだか確認しやすくなります。反対にEMA50・中央線が集まる29万円台後半を下回れば、バンド下限(29万円前後)への接近に注意します。現時点の結論は「短期線上だが、MACDが弱く方向確認が必要」です。
対BTC相関は直近14期間で中程度の正相関です。相関と因果は異なり、この値がETHの上昇または下落を保証するものではありません。相関が今後変化する可能性もあります。
サポートとレジスタンス
下値のメド(サポート): EMA50・バンド中央線が集まる29万円台後半、次にバンド下限の29万円前後です。維持や反発を保証する水準ではありません。
上値のメド(レジスタンス): EMA100・バンド上限が重なる30万円台後半、次にEMA200の33万円台後半です。上昇・下降・レンジのいずれも、これらを終値で上回るか下回るかで確認します。
《出典》TradingView
💡 用語解説:MACD・RSI・EMA20,50,100,200とは? ▼ 開く
■ MACDとは?
Moving Average Convergence Divergence(移動平均収束拡散法)の略で、短期と長期の移動平均線の差を使ってトレンドの勢いや転換点を判断するテクニカル指標です。「MACD線」と「シグナル線」という2本の線の位置関係で売買のタイミングを読み取ります。
- ゴールデンクロス(買いシグナル):MACD線がシグナル線を下から上に突き抜けるタイミング。上昇トレンドへの転換や、買い圧力の強まりを示唆します
- デッドクロス(売りシグナル):MACD線がシグナル線を上から下に突き抜けるタイミング。下降トレンドへの転換や、売り圧力の強まりを示唆します
- ゼロラインとの位置関係:MACD線がゼロより上にあれば上昇トレンド優勢、下にあれば下降トレンド優勢と判断される傾向があります
本記事では「MACD (12, 26, 9)」という設定を使用しています。これは「12日間の短期移動平均」と「26日間の長期移動平均」の差からMACD線を算出し、その9日間の移動平均を「シグナル線」として表示する、最も一般的な設定です。
■ RSIとは?
Relative Strength Index(相対力指数)の略で、一定期間における値上がり幅と値下がり幅の比率から、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を0〜100の数値で示すオシレーター系の指標です。
- RSI 70以上(買われすぎ):短期的に上昇しすぎている可能性があり、反落・調整に警戒が必要な水準とされます
- RSI 30〜70(中立圏):過熱感のない、通常のレンジ内での値動きと判断されます
- RSI 30以下(売られすぎ):短期的に下落しすぎている可能性があり、反発・自律反転に注意が必要な水準とされます
本記事では「RSI (14)」という設定を使用しています。これは直近14期間(日足なら14日間)の値動きをもとに算出する、最も標準的な設定です。なお、強いトレンドが継続する局面ではRSIが70以上・30以下の水準に長時間とどまることもあり、逆張りのシグナルとして単独で使うのではなく、他の指標と併せて確認することが重要です。
■ EMA(20・50・100・200)とは?
Exponential Moving Average(指数平滑移動平均線)の略で、直近の価格に、より高い比重を置いて計算される移動平均線です。単純移動平均線(SMA)よりも直近の値動きへの反応が早いという特徴があります。
- EMA20(短期線):直近20期間の価格をもとに算出。短期的なトレンドの方向や、目先のサポート・レジスタンスの目安として使われます
- EMA50(中期線):直近50期間の価格をもとに算出。数週間〜数ヶ月単位の中期トレンドを確認する際に使われます
- EMA100・EMA200(長期線):より長い期間の価格をもとに算出。中長期の大きなトレンドの方向性や、長期的な下値支持・上値抵抗の目安として使われます
価格が複数のEMAの上に位置している場合は上昇トレンドが優勢、下に位置している場合は下降トレンドが優勢と判断される傾向があります。また、短期線(EMA20)が長期線(EMA50等)を上から下へ抜ける「デッドクロス」や、下から上へ抜ける「ゴールデンクロス」も、トレンド転換のサインとして注目されます。
なお、これらのテクニカル指標はいずれも過去の値動きをもとに算出されるものであり、将来の価格を保証するものではありません。複数の指標やニュース動向と併せて総合的に判断することが重要です。
イーサリアムニュース
イーサリアムの現在地を判断するため、プロトコルセキュリティ、市場アクセス、制度・公共政策の3つに分けて確認します。修正済みの脆弱性、実施予定のETP変更、政府・機関向けの政策資料を区別し、短期価格へ直接結びつけないことが重要です。
Ethereum Foundation、プロトコルコードのAI監査で実在バグを特定
2026年7月9日
Ethereum FoundationのProtocol Securityチームは、Ethereumの合意クライアントが利用するlibp2pのgossipsubで、外部から引き起こせるpanicをAIエージェントによる監査で特定したと報告しました。この問題はCVE-2026-34219として公開され、修正済みです。
公式記事は、候補を実在する脆弱性として扱う前に、到達可能性、再現手順、重複、影響を人が検証する必要があると説明しています。これはセキュリティ検証手法と修正の進展であり、ネットワークに新機能が実装されたことやETH価格の方向性を示すものではありません。
初心者向けにいうと: Ethereumを動かすソフトの弱点をAIで探し、人が本当に危険か確認して修正したという話です。利用者が何か操作する必要はなく、ETHの値上がりを示すニュースでもありません。
Grayscale ETHE、ステーキング報酬の定期分配を予定
2026年7月17日提出
Grayscale Ethereum Staking ETF(ETHE)がSECへ提出したForm 8-Kによると、スポンサーは2026年8月7日前後に信託契約を改定し、ステーキング報酬の純現金収入を原則として少なくとも四半期ごとに株主へ分配する仕組みを導入する予定としていました。ETHEの受益証券はNYSE Arcaに上場しています。
7月17日付の提出書類は将来予定を示す資料であり、8月10日時点で確認した当該一次資料だけでは契約改定の実行を確定できません。分配額も実際の報酬や費用に左右されます。市場アクセスの仕組みに関する変更予定であって、継続的な資金流入やETH価格の上昇を意味するものではありません。
初心者向けにいうと: ETHを直接保有しなくても投資できるETHEで、運用中に得たステーキング報酬を投資家へ定期的に分ける計画が提出されたという話です。今回確認した資料からは実行済みと断定せず、実際の分配額も確定していません。
Ethereum Foundation、政府・機関向けの政策判断ガイドを公開
2026年7月1日
Ethereum FoundationのGlobal Policy Strategyチームは、政府や機関がブロックチェーンの政策・導入を検討する際の非技術者向けガイドを公開しました。Ethereumの仕組みやガバナンス、他の基盤との違い、公共部門や機関での利用例を整理しています。
公式記事は、決済、ID、登記、証明、公共記録などを検討対象として挙げています。ただし、これは規制当局による認定や採用決定ではなく、Ethereum Foundation側が示した評価資料です。政府・機関による実際の採用拡大やETH価格の上昇を保証するものではありません。
初心者向けにいうと: 政府や企業へ「Ethereumはどのような公共システムに使えるか」を説明する案内資料が公開されたという話です。政府がEthereumの採用を決めたという発表ではありません。
この記事でわかること
- 【テクニカル分析】現在のイーサリアム(ETH/JPY)相場
- 【最新ニュース】イーサリアム関連の注目トピック
- 【結論】イーサリアムの今後は?
- 【注目の話題】ステーブルコイン・RWAと伝統金融のWeb3化
- 【AI予測】イーサリアム今後10年の価格予想
- 【現在価格】ETH価格とリアルタイムチャート
- 【おさらい】イーサリアム(ETH)とは
- 【シナリオ予測】2026年以降の3つのシナリオと2030年予想
- 【リスク】イーサリアムの今後にとって意識すべきリスク
- イーサリアムはオワコンか?
- 【ETH運用】イーサリアムは長期運用が基本
- 【税金】知っておきたい税務ルールのポイント
- 【ETFの影響】イーサリアムETFで市場はどう変わった?
- 【FAQ】イーサリアムの今後についてのよくある質問
イーサリアムの今後を決める3つの重要なポイント
イーサリアムの今後を占う上で欠かせない視点は大きく3つあります。一つ目は、イーサリアム本体だけでなくレイヤー2やEVM互換チェーンまで含めた「EVM経済圏」がどれだけ利用者・資金を集め続けられるかです。二つ目は、直近発表された「Lean Ethereum」構想を含むロードマップとアップデートが計画通り進捗するかです。三つ目は、現物ETFへの資金流入や機関投資家・トレジャリー企業の動きが相場をどう左右するかです。以下、それぞれを詳しく見ていきます。
- EVM経済圏の拡大:レイヤー2・EVM互換チェーンを含めた利用者数と資金流入の広がり
- ロードマップの進捗:「Lean Ethereum」構想を含む技術アップデートが計画通り進むか
- ETF・機関資金の動向:現物ETFへの資金流入と機関投資家・トレジャリー企業の動きが相場に与える影響
Point1「EVM経済圏」は拡大し続けられるか
EVM経済圏とは、イーサリアム本体だけでなくArbitrumやBaseなどのレイヤー2、MonadのようにEVMと互換するレイヤー1までもが、同じ「EVM」という処理実行基盤とSolidityという共通のプログラム言語を採用する経済圏のことです。
これにより、ETHやUSDCといった資産をチェーンをまたいで利用しやすくなり、DeFiやNFT、ステーブルコインなどのアプリも相互に連携しやすくなります。
なぜEVM経済圏の拡大がイーサリアムの生命線なのか
イーサリアム単体の技術的優位性以上に、「EVM(Ethereum Virtual Machine)」という共通の実行環境を軸にした経済圏がどれだけ拡大するかが将来性を左右します。ArbitrumやBaseといったレイヤー2、さらにMonadのようなEVM互換L1が増えるほど、開発者・アプリ・流動性がイーサリアム由来の技術標準に依存し続けることになり、ネットワーク効果が価格や需要を下支えする構造になります。
現在地:シェア低下と多極化が同時進行
DeFi市場のTVL(総ロック資産)シェアではイーサリアムが依然50%台を維持し首位を保っていますが、2025年頃の6割超から低下傾向にあります。レイヤー2エコシステムはArbitrum・Baseを中心に拡大を続け、EVM互換の新興L1「Monad」は2025年後半にメインネットをローンチし、UniswapなどイーサリアムのDEXがノーコードで移植されるなど、EVM経済圏そのものが多層化・多極化しつつあります。
追い風となる期待シナリオ
レイヤー2の普及とガス代低下によって、日常決済レベルの利用が広がる余地があります。加えて、RWA(現実資産のトークン化)やステーブルコインの決済基盤としてイーサリアムが選ばれ続ければ、価格変動とは独立した「実需インフラ」としての評価が定着していく可能性があります。
機関投資家が見ているのは「インフラとしてのイーサリアム」
機関投資家は、イーサリアムを単なる投機対象ではなく「EVM経済圏という基盤インフラへの投資」と位置付ける傾向が強まっています。ETH現物ETFや、BitMine・SharpLinkのような上場「ETHトレジャリー企業」による大量保有が象徴的で、供給量の1割超がETFとトレジャリー企業に集約されつつあります。ステーキング利回りを組み込んだ長期保有戦略も、機関側の主要な投資テーゼの一つになっています。
《出典》
Ethereum Virtual Machine (EVM)|ethereum.org
Smart contract composability|ethereum.org
見過ごせないリスク:価値の「希薄化」
これまでEVM経済圏の拡大とETH価格の上昇は、セットで語られることが多くありました。しかし、この前提は二つの方向から崩れつつあります。
一つは、ArbitrumやBaseなどのレイヤー2です。レイヤー2は取引データをイーサリアム本体に記録する形で手数料を払っていますが、Fusakaなどのアップデートでその手数料自体が下がり続けており、レイヤー2の利用が増えてもETH側が取り込める価値は限定的になっています。
もう一つは、Monadのように「EVMと互換性がありながら処理速度が超高速・手数料が安く・セキュリティも高い」レイヤー1の台頭です。こうしたチェーンがシェアを広げると、開発者やユーザーはイーサリアム本体やレイヤー2を経由せずそちら側に流れてしまいます。
その結果、アプリの数やユーザー数、取引量といった経済圏そのものは拡大を続けているにもかかわらず、ETHの需要や手数料収入は増えずに価格が伸び悩むという「経済圏の成長とETHの価値が分離するリスク」が生じます。これが、EVM経済圏の拡大を評価する際に見落としてはならない論点です。
《出典》
Intro to Ethereum Layer 2: benefits and uses|ethereum.org
Introduction|Monad Documentation
この「希薄化」リスクについては、ページ内の別セクションでさらに深掘りしています。そのほかに意識しておきたいリスクもあわせてまとめていますので、ぜひご覧ください。▶ イーサリアムの今後にとって意識すべきリスクを見る
TIPS: レイヤー2とは?わかりやすく
レイヤー2は独自のチェーンで取引の計算や処理を高速で行います。その結果となる膨大な取引データを1つに圧縮した上で、レイヤー2とレイヤー1間で最終的に整合性が検証され、正しい記録であるという合意のもと、イーサリアムに公式記録として格納されます。
レイヤー2は、独自のチェーンで計算処理を超高速化し、ユーザーが安い手数料でアプリをストレスなく快適に使える環境を実現する一方で、そこで行われたすべての取引の整合性や正しさはイーサリアムが証明する構造になっています。
EVM互換のレイヤー1とは
これに対し、AvalancheやMonadなどのEVM互換のレイヤー1は、イーサリアムと同じ動作環境(OS)を採用することで、開発者がアプリをコード変更なしで展開できる互換性を備えています。これにより、規格を共有する「EVM経済圏」全体の規模拡大に貢献する一方で、処理の実行と検証の両方を自前で行うイーサリアム本体の競合チェーンとなります。
つまりEVM互換L1は、EVM経済圏の裾野を広げる仲間であると同時に、イーサリアム本体から利用者と手数料収入を奪い得る競合でもある——という二面性を持っています。この二面性が、前述の「価値の希薄化」リスクの出発点になります。
《出典》
Intro to Ethereum Layer 2: benefits and uses|ethereum.org
Scaling Ethereum|ethereum.org
Point2 ロードマップとアップデート──「Lean Ethereum」が示す長期構想
イーサリアムは、PoWからPoSへの移行をはじめとする連続的なアップデートにより、常に進化を続けるプロダクトです。これらのロードマップは、イーサリアムにとって単なる技術的な機能拡張ではなく、「エネルギー効率を高め、セキュリティとスケーラビリティを極限まで追求した世界規格の経済基盤(Lean Ethereum)」へと到達するための成長戦略そのものです。
The Merge以来最大の刷新、「Lean Ethereum」構想とは
2026年7月、ヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアムの技術基盤を根本から刷新する「Lean Ethereum」構想を発表しました。The Merge(2022年)以来最大規模の再構築と位置付けられ、3〜4年かけて7回の連続したハードフォークを通じてプロトコルの主要層をほぼ全て置き換える計画です。
量子コンピュータ耐性を持つ暗号方式への移行、STARK証明によるネイティブな検証、プライバシーを「後付けではなく第一級の設計目標」とする点が柱になっています。既存アプリへの影響を最小限にしながら進める長期プロジェクトであり、実現すれば技術的な優位性・持続可能性の両面でイーサリアムの評価を左右する重要な変数になります。
《出典》
L1 Strawmap — Ethereum Draft Roadmap|EF Protocol
Ethereum roadmap|ethereum.org
[懸念事項]デフレ・ストーリーの崩壊による投資家心理の落ち込み
ロードマップの進展には副作用もあります。L2の手数料引き下げに伴ってイーサリアム本体のガス代も過去最低水準まで低下し、その結果ETHの供給は「穏やかなインフレ」局面に転じました(供給成長率は年率0.2〜0.5%程度)。EIP-1559導入後に長期保有派を支えてきた「使われるほど希少になる」というデフレ・ストーリーが後退しつつある点は、Glamsterdam以降のロードマップを評価するうえで最も重要な論点です。仕組みの詳細は下の解説をご覧ください。
「使われるほど希少になる」というデフレ・ストーリーの崩壊
イーサリアムには、取引ごとにガス代の一部を焼却(バーン)する「EIP-1559」という仕組みがあります。かつてはネットワークの混雑からガス代が高騰していたため「新規発行量 < バーン量」という状態が維持されていました。ネットワークが使われるほどETHの流通量が減少し、希少価値が高まるというこの強力な構図(デフレ・ストーリー)は、長期的な値上がりを期待する投資家の心理を大きく後押ししていました。
しかし、Dencun(2024年3月)以降のアップデートにより、その前提が変化しています。レイヤー2のガス代が大幅に下がったことに伴い、イーサリアム本体のガス代も過去最低水準まで低下しました。これはユーザーにとって好材料である反面、取引ごとのバーン量が激減したことを意味します。
その結果、現在では新規発行量がバーン量を上回る「穏やかなインフレ」局面に転じています。整理すると、「L2が普及するほどL1のガス代が下がり、ガス代が下がるほどバーンが減り、バーンが減るほどETHは希少でなくなる」という連鎖です。これはネットワークの失敗ではなく、L2へのスケーリングという戦略が構造的に生んだ副作用である点が重要です。したがって今後は、Glamsterdam以降のロードマップでL1自体の取引需要をどこまで取り戻せるかが評価の分かれ目になります。
これまでの歩み:The MergeからGlamsterdamへ
イーサリアムの進化を語る上で欠かせないのが、The Merge(2022年9月)です。プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへの移行により消費電力を99.95%削減し、イーサリアムという仕組みそのものの土台を作り替えました。
次の大きな転換点はDencun(2024年3月)です。レイヤー2の手数料を大幅に下げたことでEVM経済圏全体の利用が一気に広がり、イーサリアムは「本体で処理する」仕組みから「レイヤー2に処理を委ね、本体は土台に徹する」仕組みへと役割を変えていきました。ただしこの手数料低下は、後述するETHの供給インフレという新たな課題も生んでいます。
そして2026年後半に予定されているGlamsterdamでは、これまでレイヤー2に譲ってきた役割から一転、レイヤー1自体の処理能力向上に焦点が移る見込みです。土台を作り替え、レイヤー2に処理を委ね、再び本体を強化する——イーサリアムはこの3段階で進化してきたと言えます。
| アップデート名 | 実施時期 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| The Merge | 2022年9月 | PoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行。消費電力を約99.95%削減 |
| Shapella | 2023年4月 | バリデーターのステーキング引き出しを解禁 |
| Dencun | 2024年3月 | EIP-4844(プロトダンクシャーディング)でレイヤー2の手数料を大幅削減 |
| Pectra | 2025年5月 | EIP-7702によるスマートウォレット機能、1バリデーターの最大有効残高を32 ETHから2,048 ETHへ引き上げ |
| Fusaka | 2025年12月 | PeerDAS導入、デフォルトガスリミットを60Mへ引き上げ |
| Glamsterdam | 2026年後半(予定) | PBS(プロポーザー・ビルダー分離)導入によるレイヤー1スケーリング |
| Lean Ethereum | 2026年〜(3〜4年計画) | 量子耐性・STARK証明・プライバシーを軸にした次世代への全面再構築構想 |
The Mergeまでのあゆみ(2015年〜2022年)
▼ 開く
上表はThe Merge以降の主要アップデートを抜粋したものです。ここでは、イーサリアムが2015年のローンチからPoS移行(The Merge)に至るまでの歩みを時系列で整理します。
| 時期 | 出来事 | 概要 |
|---|---|---|
| 2015年 7月30日 |
Frontier (メインネット公開) |
ヴィタリック・ブテリン氏らイーサリアム財団により、2014年のプレセールを経てジェネシスブロックが生成され、メインネットが公開された。当初は開発者向けの実証段階という位置づけだった。 |
| 2016年 3月14日 |
Homestead (ブロック高1,150,000) |
最初の安定版アップグレード。以降、企業・個人によるDApps開発が本格化した。 |
| 2016年 6月17日 |
The DAO事件 | 投資ファンド「The DAO」のスマートコントラクトの脆弱性を突かれ、約360万ETHが不正に引き出された(当時の報道では約6,000万ドル相当)。 |
| 2016年 7月20日 |
ハードフォーク (ブロック高1,920,000) |
The DAO事件の被害を無効化するハードフォークを実施。この変更を受け入れた現在のイーサリアム(ETH)と、変更を拒否し旧チェーンを維持するイーサリアムクラシック(ETC)に分岐した。 |
| 2017年 10月16日 |
Byzantium (ブロック高4,370,000) |
大型アップデート「Metropolis」の前半。スマートコントラクト作成の簡易化やプライバシー保護機能の強化が図られた。 |
| 2019年 2月28日 |
Constantinople (ブロック高7,280,000) |
「Metropolis」の後半フェーズ。ガス代の最適化やPoS移行に向けた準備的な変更が導入された。 |
| 2020年 12月1日 |
Beacon Chain始動 | PoS移行の第一段階として、コンセンサス層となるBeacon Chainが稼働開始。既存のPoWチェーンと並走する形でスタートした。 |
| 2021年 8月5日 |
London (EIP-1559導入、ブロック高12,965,000) |
取引手数料の一部をバーン(焼却)する仕組みを導入。ネットワーク利用が活発な局面でETHがデフレ的になり得る設計上の根拠となった。 |
| 2022年 9月15日 |
The Merge | 既存のPoWチェーンとBeacon Chainが統合され、PoSへ完全移行。消費電力を約99.95%削減した。 |
※The DAO事件の被害額はETH価格の変動が大きいため報道により幅があります(本表はCoinDeskの当時の報道を参考値として記載)。2022年9月(The Merge)以降の詳細は上表「これまでの歩み:The MergeからGlamsterdamへ」を参照してください。
Point3 ETF資金流入と相場──「機関マネー時代」の値動きを読む
ビットコインとの連動性:「ハイベータ版BTC」という顔
イーサリアムは依然としてビットコインとの価格相関が高く、独立した値動きをする資産というより「ハイベータ版ビットコイン」として振る舞う傾向があると指摘されています。
「ベータが高い」とは値動きの振れ幅が大きいという意味で、ビットコインが上がるときはそれ以上に上昇し、下がるときはそれ以上に大きく下落しやすい、という非対称な関係を指します。そのためETH単独のファンダメンタルズ(アップデートの進捗やETF資金流入)だけでなく、ビットコイン・米金利・マクロ経済動向に連動する場面が引き続き多くなっています。
マクロ的視点:暗号資産は「金融商品」になりつつある
前述のとおりETFとトレジャリー企業による保有が拡大した結果、ETHは「暗号資産」から「機関投資家が保有する金融商品」へと性格を変えつつあります。保有者の中心が個人から機関へ移るということは、価格を動かす要因も個人の期待から機関の資金配分ルールへ移るということです。
この構造変化により、株式市場と同様にFRBの金融政策・長期金利・リスク資産全体への資金フローの影響を強く受けやすくなっている点は、今後を考える上でのマクロ的な前提として押さえておく必要があります。
短期的な価格変動は外部要因(金利、ETF資金フロー、大口の利確)に左右されやすい一方、中長期的にはEVM経済圏の実需拡大・ロードマップの進捗・機関保有の定着度合いが本質的な価値を決めていく、という整理ができそうです。
《出典》
Order Granting Accelerated Approval of Proposed Rule Changes to List and Trade Shares of Ether-Based Exchange-Traded Products|U.S. SEC
iShares Ethereum Trust ETF|BlackRock
Monetary Policy, Digital Assets, and DeFi Activity|arXiv
【注目の話題】ステーブルコインとRWAを駆使した伝統金融のWeb3化
現在、EVM経済圏の拡大という文脈において、最も市場の注目と巨額のリアルマネーを集めているムーブメントが、ステーブルコインとRWA(現実資産トークン化:Real World Assets)を駆使した「伝統金融(TradFi)のWeb3化」です。
これは単なる技術的な実験ではなく、ブラックロックやJPモルガンといったウォール街の金融大手が、既存の金融インフラを効率化し、コストを劇的に削減するためにパブリックチェーン、とりわけ共通OSであるEVM環境へ資産を本格的に移行させている実務的なレジーム転換です。
《出典》
BlackRock Launches Its First Tokenized Fund, BUIDL, on the Ethereum Network|Securitize
Kinexys: Enterprise Bank-Led Blockchain Solutions|J.P. Morgan
24時間動く国際決済インフラとなる「ステーブルコイン」
既存の法定通貨ネットワークは、銀行の営業時間や国際送金システム(SWIFT)の制約により、着金までに数日を要し、高い仲介手数料が発生することが課題でした。米ドルの価値をトークン化したステーブルコイン(USDCやUSDTなど)は、この課題を解消する次世代の決済インフラとして機能しています。24時間365日、世界中のどこへでも数秒、数円で即時決済が完了する特性から、決済大手のPayPalやVisa、StripeなどがEVM経済圏を中心としたパブリックチェーンの決済網を急速に統合しています。
《出典》
Visa Expands Stablecoin Settlement Capabilities to Merchant Acquirers|Visa
Stablecoin payments|Stripe Docs
PayPal Launches U.S. Dollar Stablecoin|PayPal Newsroom
RWA(現実資産トークン化)が資産移転を効率化する可能性
RWAとは、米国債、不動産、ゴールドなどの現実資産に関する権利を、ブロックチェーン上のトークンとして表現する仕組みです。金融商品の取引では、清算・決済や名義管理などに複数の機関が関わります。RWAでは、対応する当事者間の記録更新や一部の移転処理を迅速化できる可能性があります。ただし、発行体、カストディアン、移転代理人、本人確認、譲渡制限などの仲介・法的手続きがなくなるとは限りません。ブラックロックの米国債等を裏付け資産とするトークン化ファンド「BUIDL」がイーサリアム上で発行されたことは、伝統的な金融資産をオンチェーンで管理・移転する実例の一つです。
《出典》
SEC Finalizes Rules to Reduce Risks in Clearance and Settlement|SEC.gov
BlackRock Launches Its First Tokenized Fund, BUIDL, on the Ethereum Network|Securitize
RWA.xyz | BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund | BUIDL|RWA.xyz
金融のレゴブロックが生む「利回り付きデジタルドル」の衝撃
ステーブルコインとRWAがEVMという共通規格の上で融合したことにより、これまでにないシナジーが生まれています。従来の金利が付かないステーブルコインに代わり、裏付け資産である米国債の金利をスマートコントラクトによって保有者へ自動分配する「利回り付きステーブルコイン(USDYなど)」が台頭。伝統金融の巨額の余剰資金が、最も安全な利回りを求めてEVM経済圏へとなだれ込む強力なインセンティブが完成しました。
《出典》
USDY Basics|Ondo Finance
RWA.xyz | Ondo U.S. Dollar Yield | USDY|RWA.xyz
インフラの選択:イーサリアム陣営(L1+L2) vs Solana(単一L1)
伝統金融のWeb3化が進む中で、機関投資家は「勝者総取り」ではなく、トランザクションの性質によってイーサリアム陣営とSolanaを明確に使い分ける「棲み分け」を始めています。
| 項目 | イーサリアム陣営(L1+L2) | Solana(単一L1) |
|---|---|---|
| 主な用途 | 機関投資家の大口決済・高額なRWA | 消費者向けのリテール決済・高頻度取引 |
| 最大の強み | 過去に一度も停止していない絶対的な安全性 | 単一チェーン設計による低コストと高速性 |
| 課題 | L2乱立による流動性の分断(複雑なUX) | 自前で検証を行うための独自のセキュリティ体制 |
イーサリアム陣営の優位性と堀(モート)
数兆円規模の資産を載せる機関投資家が最も重視するのは、スピードではなく「ネットワークが決して停止しない」というイーサリアムL1の信頼性です。さらに、RWAを担保に別のL2やDeFiでステーブルコインを借り入れるといった「金融の相互運用性(レゴブロック)」の資本効率が、すでにEVM経済圏に圧倒的なアドバンテージとして構築されているため、大口資産の受け皿として強固な優位性を保っています。
Solanaの猛追と決済領域での強み
一方で、消費者向けのステーブルコイン決済や日常的な高頻度トランザクションにおいては、Solanaがシェアを拡大しています。VisaがUSDC決済網に、Stripeが仮想通貨決済の復帰先にSolanaを選んだように、ユーザーが「どのL2に資産があるか」を意識せずに済む単一チェーンならではのシームレスなUI/UXが、決済プロバイダーから高く評価されています。
今後の市場における評価は、イーサリアム陣営が分業(L1+L2)によって解決しようとする「安全性と快適性の両立」に対し、Solanaや、あるいは新興のEVM互換L1であるMonadなどが「単一の設計」でそれを超えられるかどうかにかかっています。
《出典》
Intro to Ethereum Layer 2: benefits and uses|ethereum.org
Visa Expands Stablecoin Settlement Capabilities to Merchant Acquirers|Visa
RWA.xyz | Networks|RWA.xyz
TIPS|ステーブルコイン・RWAは「どのチェーンが受け皿になるか」も重要
ステーブルコインやRWAの拡大は、イーサリアムにとって追い風になり得ます。ただし、そこで重要なのは「市場そのものが伸びるか」だけではなく、「その需要をどのプラットフォームが取り込むか」です。
現状では、イーサリアムはステーブルコイン全体の最大基盤であり、RWAでも中心的なポジションを保っています。とくに制度圏に近い資産やDeFiとの接続を重視するお金は、依然としてイーサリアム系に集まりやすい構図です。一方で、送金や取引の回転を重視する領域ではTron、低コストとユーザー拡大を取りにいく文脈ではSolanaなど、他チェーンの存在感も強まっています。
つまり今後は、「ステーブルコインやRWAが伸びる=ETHに自動で追い風」とは限りません。イーサリアムが強いのは、資産規模・流動性・制度適合性・DeFi接続の厚みです。逆に他チェーンは、コスト・速度・使いやすさでシェアを奪う余地があります。
将来を見るうえでは、価値の大きい資産はどこに置かれるか、日常的な送金や決済はどこで回るか、RWAがDeFiとつながる場所はどこかを分けて考えるのが大切です。資産の保管や清算の中心としてイーサリアムが残るなら、競争が激しくなってもETHの役割は保ちやすいです。一方で、実需の伸びが他チェーンに流れるなら、テーマの拡大ほどにはETH価格へ波及しない可能性もあります。
こちらの記事も参考にしてください
《出典》
Stablecoins by Chain – Market Cap & Supply|DefiLlama
Multichain USDC | Experience the power of Multichain USDC|Circle
RWA.xyz | Networks|RWA.xyz
10年後ETHはいくら?今後10年のAI予測
結論:AI予測は、将来価格を当てるための答えではなく、複数モデルの前提差を確認するための補助線です。
以下では、PricePrediction.net、DigitalCoinPrice、Coin Price Forecastの現在確認できる掲載値を、同じ基準で整理しています。数値は出典ごとに採用項目が異なるため、横断比較では「水準差」「前年比の方向」「保守的なシナリオ」を中心に確認してください。
3つのAI予測モデルが示す見通し
年度別AI予測の比較と前年比の変化
下の表では、PricePrediction.netは各年12月のAvg Price、DigitalCoinPriceは12月Average Price、CoinPriceForecastはYear-Endを並べています。算出基準が違うため、価格の高低だけでなく、どのモデルがどの時期に強気・慎重へ傾くかを確認してください。
※左右にスクロールしてご覧いただけます。
| 年 | PricePrediction (12月Avg Price) |
DigitalCoinPrice (12月Average) |
Coin Price Forecast (Year-End) |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 予想価格 | 前年比 | 予想価格 | 前年比 | 予想価格 | 前年比 | |
| 2026 | $6,731.38 | 基準年 | $2,879.61 | 基準年 | $1,993 | 基準年 |
| 2027 | $3,259.02 | -52% (下落) |
$2,706.95 | -6% (下落) |
$2,489 | +25% (上昇) |
| 2028 | $7,577.65 | +133% (上昇) |
$2,682.37 | -1% (下落) |
$2,855 | +15% (上昇) |
| 2029 | $15,473 | +104% (上昇) |
$2,033.40 | -24% (下落) |
$2,801 | -2% (下落) |
| 2030 | $8,625.35 | -44% (下落) |
$2,755.62 | +36% (上昇) |
$3,284 | +17% (上昇) |
| 2031 | $10,790 | +25% (上昇) |
$3,869.82 | +40% (上昇) |
$3,829 | +17% (上昇) |
| 2032 | $17,425 | +61% (上昇) |
$4,081.84 | +5% (上昇) |
$4,283 | +12% (上昇) |
| 2033 | $26,281 | +51% (上昇) |
$4,090.94 | ±0% | $4,275 | ±0% |
| 2034 | $18,671 | -29% (下落) |
— | — | $4,754 | +11% (上昇) |
| 2035 | $23,954 | +28% (上昇) |
— | — | $4,756 | ±0% |
※PricePredictionは12月Avg Price、DigitalCoinPriceは12月Average Price、CoinPriceForecastはYear-Endを使用しています。
※前年比は前年の同サイト予想値から再計算。すべてドル建て表示。
※データ確認日は各社欄を参照。CoinPriceForecastのサイト表示更新は出典ごとに異なります。将来価格を保証するものではありません。
この表から何を読み取るべきか
長期ほどPricePredictionの強気度が大きくなる
PricePredictionは2030年に$8,625、2035年に$23,954を示しており、他2社より大きく上振れた長期シナリオです。上昇余地の参考にはなりますが、保守的な資金計画ではそのまま中心シナリオに置かない方がリスクを抑えやすくなります。
DigitalCoinPriceは確認可能な2033年までの中期比較に使う
DigitalCoinPriceは、確認可能な2033年までを比較対象とし、2033年12月のAverage Priceは$4,090.94です。2034年以降は今回の確認対象から外しています。
保守的な下振れ耐性はCoinPriceForecastで見る
Coin Price Forecastの2035年末予想は$4,756です。3社の中で相対的に低い水準になりやすいため、下振れ耐性や慎重シナリオを考える際の比較軸として使いやすい値です。
数字は「当てにいく」より「前提差を見る」ために使う
同じETHでも、採用するモデルによって10年後の水準は大きく変わります。価格の絶対値だけを読むのではなく、強気・中庸・保守の幅を確認し、自分の判断がどの前提に依存しているかを点検することが重要です。
AI予測を使うなら3つの視点
- 採用項目の確認:年間平均、12月平均、年央予想、年末予想が混ざっていないか確認する
- 下振れ耐性チェック:最も保守的な予測値でも継続できる資金配分かを確認する
- 定期点検:出典値は変動するため、掲載前に取得日時と証跡を確認する
《出典》
Ethereum (ETH) 価格予想 2026-2050|PricePrediction
Ethereum (ETH) Price Prediction 2026-2030|DigitalCoinPrice
Ethereum Price Prediction 2026-2035|Coin Price Forecast
イーサリアム現在価格
[ETH / USD] 2,089.82 ドル
[ETH / JPY] 331,152 円
2026/08/20 02:51更新
Data by CoinGecko
おさらい:イーサリアム(ETH)とは
ここまで現在価格とチャートを確認してきましたが、「今後」を考える前提として、イーサリアムがどのような仕組みの通貨・プラットフォームなのかを一度整理しておきます。
イーサリアム(ETH)の基本
「イーサリアム」とは本来、分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクトを動かすためのブロックチェーン基盤(プラットフォーム)の名称です。このネットワーク上で使われる基軸通貨が「イーサ(Ether、ティッカー:ETH)」ですが、日本では通貨自体も慣習的に「イーサリアム」と呼ばれることが多く、本記事でもその表記に合わせています。
ビットコインが「価値の保存・送金」に特化した設計であるのに対し、イーサリアムは「プログラムを実行できる基盤」として設計されている点が最大の違いです。
スマートコントラクトとは
スマートコントラクトとは、あらかじめ定めた契約条件をプログラムとして記述し、条件が満たされると仲介者なしに自動で実行される仕組みです。よく「自動販売機」に例えられ、代金(取引条件)を投入すれば、売り手を介さずに商品(実行結果)が受け取れる、という関係に近いものです。
イーサリアムはこの仕組みをブロックチェーン上に実装した最初期のプラットフォームであり、記録の改ざんや取引の不正を防ぎながらプログラムを実行できる点が評価され、DeFi(分散型金融)やNFT、ステーブルコインなど数多くのアプリケーション(DApps)の基盤として使われています。
ETH(イーサ)は何に使われる通貨か
ETHは主に、①イーサリアム上で取引やスマートコントラクトを実行する際の手数料(ガス代)の支払い、②ネットワークの合意形成(PoS)に参加するステーキングの担保資産、③DeFiやNFTなど各種アプリ内での価値のやり取り、という3つの役割を担っています。
つまりETHは、単なる投機対象としてだけでなく、イーサリアムという経済圏を動かすための「実需を伴う燃料」としての性質を持つ点が、他の暗号資産と比較した際の特徴です。本記事で扱う価格シナリオやリスクも、この実需(ネットワーク利用)の増減と密接に関わっています。
《出典》
Gas and fees|ethereum.org
Ethereum staking: How does it work?|ethereum.org
DApps・NFT・DeFiのプラットフォームとして
イーサリアム上では、中央管理者を介さずに動く分散型アプリケーション(DApps)が数多く構築されています。代表的な領域がDeFi(分散型金融)で、貸し借りや交換をスマートコントラクトが自動処理します。また、ERC-721という規格により、唯一無二のデジタル資産であるNFT(非代替性トークン)も標準化された形で発行できます。
本記事の「EVM経済圏」という考え方は、こうしたDApps・DeFi・NFTがイーサリアムという共通基盤(EVM)の上で組み合わさり、拡大し続けていることを指しています。次のセクション以降では、この経済圏が今後どう推移するかを、シナリオ・ニュース・リスクの3つの視点から見ていきます。
《出典》
Introduction to dapps|ethereum.org
Non-fungible tokens (NFT)|ethereum.org
イーサリアム今後の見通し|2026年以降の3つのシナリオと2030年予想
結論:将来価格を断定することはできません。現実的なのは「強気・中立・慎重」の3シナリオで、どの条件が揃っているかを確認することです。あわせて、大手金融機関による2030年のイーサリアム価格予想も根拠とともに整理します。
現物ETFへの資金流入が拡大し、レイヤー2チェーンへの手数料流出(バリューの吸い上げ)が緩和され、実質的なETHバーン(供給減少)が回復するようであれば、需給面の追い風が強まります。ステーキングや現実資産(RWA)のトークン化拡大が伴えば、約3,000〜5,000ドルのレンジを意識する上昇トレンドが継続する可能性があります。
ETFやRWA拡大が一定の支えになる一方、L2への手数料流出やビットコインとの資金争奪、マクロの逆風も残り、上昇と調整を繰り返しながら推移しやすくなります。2026年に入り一時1,800ドルを割り込む場面もあり、当面はこの水準を挟んだレンジ推移が想定されます。
マクロ環境の悪化や信用不安でリスクオフが強まり、ETFからの流出が続く、レイヤー2チェーンへの価値流出でETHがインフレ的になる、他のスマートコントラクト基盤との競争が激化するといった状況では、約1,000〜1,800ドルまで下方向を意識する展開も想定されます。
※左右にスクロールしてご覧いただけます。
| シナリオ | 前提(条件) | 価格レンジの目安 | 主な確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 強気 | ETF流入が続き、L2手数料流出が緩和し、RWA・ステーキング需要が追い風になる | 約3,000〜5,000ドル | ETF純流入の継続、L2手数料流出の緩和、RWA拡大、株式市場の安定 |
| 中立 | 好材料はあるが、L2競合やマクロ逆風も残り、強弱が拮抗する | 約1,800〜3,000ドル | 上昇材料の継続性、ETH/BTC比率、マクロの落ち着き |
| 慎重 | マクロ悪化や信用不安でリスクオフが強まり、L2への価値流出も重くなる | 約1,000〜1,800ドル | ETF流出継続、L2への価値流出、競合チェーン台頭、サポート割れ |
シナリオの読み方:重要なのは「どれが当たるか」を競うことではありません。いま起きていることが、どのシナリオの条件に近いかを定期的に点検することが重要です。価格レンジはあくまで目安であり、数字より前提条件の充足度を優先してください。
《出典》
Ethereum ETF Flow (US$m)|Farside Investors
Ethereum Price History: Download ETH Historical Data|CoinGecko
Chain Revenue | Ethereum Ecosystem|growthepie
EIP-1559: Fee market change for ETH 1.0 chain|Ethereum Improvement Proposals
ultra sound money|ultrasound.money
Ethereum staking: How does it work?|ethereum.org
RWA.xyz | Analytics on Tokenized Real-World Assets|RWA.xyz
イーサリアム2030年の価格予想|大手金融機関2社の見通し
「イーサリアムは2030年にいくらになるか」——世界の大手金融機関はそれぞれ独自のモデルで予測を公表しています。各社の予想価格・根拠・前提条件を整理することで、上記3シナリオとの対応関係が見えてきます。価格目標を「答え」として受け取るのではなく、「どの条件が揃えばその価格に近づくか」を読み解く補助線として活用してください。
1
Standard Chartered:
RWA(現実資産)浸透モデル
分析のロジック
トークン化された現実資産(RWA:国債・不動産・コモディティ等)市場でイーサリアムが約62%のシェアを持つ点に着目し、このRWA市場が2028年までに50倍の2兆ドル規模へ拡大するとの前提でネットワーク価値を試算しています。
重視するポイント
2026年を「イーサリアムの年」と位置づけ、ビットコインに対してイーサリアムが相対的にアウトパフォームするとの見方を示しています。ETH/BTC比率が2021年の高値水準へ回帰する展開を中心シナリオとしています。
直近の動向(2026年)
2026年1月に2030年目標を4万ドルへ引き上げた一方、2026年2月には市場全体の急落を受けて2026年末目標を7,500ドルから4,000ドルへ下方修正し、短期的には1,400ドル近辺まで調整する可能性があるとしました。2030年目標の4万ドルは据え置いています。
出典:Standard Chartered predicts ether will outperform bitcoin, hit $40,000 by 2030|CoinDesk(2026年1月12日) → 出典:Standard Chartered sees ether to $1,400 before recovery|CoinDesk(2026年2月12日) →
2
VanEck:
フリーキャッシュフロー倍率モデル
分析のロジック
2024年6月のレポートでは、イーサリアムが2030年に生み出すフリーキャッシュフローを660億ドルと予測し、33倍の評価倍率を適用してベースケース22,000ドル(弱気360ドル/強気154,000ドル)と算出しました。
重視するポイント
レイヤー2チェーンの拡大がメインネット(レイヤー1)の手数料収入をどれだけ奪うかを重要な変数としています。
2024年10月の下方修正
Dencunアップグレード以降、レイヤー2チェーンがメインネットへの決済コストをほぼ無料化し、レイヤー1側の手数料収入・ETHバーン量が急減。これによりETHが実質的にインフレ的な資産になったとして、2024年10月にベースケースを22,000ドルから約7,300ドルへ67%下方修正しました。
3シナリオとの対応
VanEckの現行ベースケース(約7,300ドル)は上記「強気シナリオ」の延長線上、弱気ケース(360ドル)は「慎重シナリオ」よりもさらに下方の想定に位置します。
出典:ETH 2030 Price Target and Optimal Portfolio Allocations|VanEck公式(2024年6月) → 出典:Ethereum’s Future Value in Question as VanEck Slashes 2030 Price Target to $7,300|Yahoo Finance(2024年10月) →| 機関名 | 強気予想(上限) | 中立予想(メイン) | 弱気予想(下限) | 主な根拠 |
|---|---|---|---|---|
| Standard Chartered | ― | 40,000ドル | ― | RWAトークン化シェア浸透モデル |
| VanEck | 154,000ドル ※1 | 約7,300ドル ※2 | 360ドル ※1 | フリーキャッシュフロー倍率モデル(2024年5月28日公表、基本ケースのみ同年10月改定) |
※1 強気・弱気ケースは2024年5月28日公表の当初モデルの値です。
※2 基本ケースのみ2024年10月17日に22,000ドルから約7,300ドルへ改定されたもので、強気・弱気とは算定時点が異なります。
※上記の予想価格はすべて各機関が公表したレポートに基づく参考情報です。将来の価格を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
《出典》
Standard Chartered predicts ether will outperform bitcoin, hit $40,000 by 2030|CoinDesk(2026年1月12日)
Standard Chartered sees bitcoin sliding to $50,000, ether to $1,400 before recovery|CoinDesk(2026年2月12日)
ETH 2030 Price Target and Optimal Portfolio Allocations|VanEck
Ethereum’s Future Value in Question as VanEck Slashes 2030 Price Target to $7,300|Yahoo Finance
イーサリアムの今後にとって意識すべきリスク
ここまでイーサリアムの強気材料を中心に見てきましたが、今後を判断するうえでは相場の裏側で進行している構造的なリスクも押さえておく必要があります。特に、レイヤー2(L2)の拡大がイーサリアム本体(L1)の経済にどう影響しているかは、2025年後半以降、専門家の間で議論が活発化しているテーマです。
レイヤー2への活動流出とL1手数料収入の急減
ArbitrumやOptimism、Baseといったレイヤー2は、取引手数料を大幅に下げることでイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決してきました。しかしその裏側で、取引活動そのものがL1からL2へ流出し、L1の手数料収入が急減するという「L1の過疎化」とも呼べる現象が進んでいます。
実際、大手L2の一つであるBaseは9,400万ドルを超える利益を上げている一方、その中からイーサリアム本体に還元されるblob手数料(L2がメインネットにデータを保存する際に支払う手数料)はわずか490万ドルにとどまっています。イーサリアム本体の日次手数料収入は、かつて3,000万ドルを超えていた時期から現在は50万ドル前後まで落ち込み、2026年第1四半期には、オンチェーン収益(ブロックチェーン上で生まれる手数料収入)でソラナ・トロン・BNBチェーンに次ぐ4位まで後退する場面もありました。
ガス代の低下基調とETH供給の「インフレ転換」リスク
EIP-1559によるバーンの仕組みと、それが機能しなくなった経緯は「デフレ・ストーリーの崩壊」で解説したとおりです。ここではリスクとして見たときの論点を整理します。
2026年に入ってからは、ネットワーク活動の低迷とバーン量の減少が重なり、ETHの純発行量がプラスに転じる「インフレ転換」が実際に観測される局面がありました。これが単なる一時的な数字以上の意味を持つのは、「ウルトラサウンドマネー(使われるほど希少になる通貨)」という投資テーゼそのものが成立しなくなるためです。価格が下がったという話ではなく、ETHを長期保有する理由づけの一本が外れた、という種類のリスクとして捉える必要があります。
《出典》
Ethereumがインフレに転じ、支持者はETH投資における「vibe変化」を指摘|Cryptopolitan
【2026年最新】イーサリアムはオワコン?実態と「価格が上がらない」理由を解説|CoinChoice
権威ある研究機関・企業による警告
この構造変化は、大手金融機関やベンチャーキャピタルからも指摘されています。
- スタンダードチャータード銀行:同行のデジタル資産調査責任者ジェフ・ケンドリック氏は2026年、それまで7,500ドルとしていたETHの2026年末価格目標を47%引き下げ、4,000ドルへ下方修正しました。長期の2030年目標(4万ドル)自体は据え置いているものの、短期的な見通しを大幅に下方修正した点は、大手金融機関がイーサリアムの足元の収益構造の弱さを重く見ていることを示しています。
- Castle Island Ventures(Nic Carter氏):著名なベンチャーキャピタリストのニック・カーター氏は、L2がイーサリアムのベースレイヤーに十分な収益を還元しないままユーザーと収益を奪っていると警告し、あわせてイーサリアムコミュニティが新規トークン発行を容認しすぎている点を「ETHは自らのトークンの雪崩に埋もれた」と表現して批判しています。同氏はL1手数料収入が半年間で99%近く急落した局面があったことも指摘しました。
《出典》
スタンダードチャータード、イーサリアム目標を47%引き下げ|BeInCrypto Japan
イーサリアム、レイヤー2とトークンのインフレで投資魅力が低下とベンチャーキャピタリストが指摘|SBI VCトレード
その他に意識しておきたいリスク
- L2の断片化・シーケンサー中央集権化:L2BEATの集計では活動中のL2が20を超え、資産やアプリがチェーンごとに分断される「断片化」が進んでいます。多くのL2はシーケンサー(取引処理ノード)を単一の運営企業が管理しており、障害や検閲のリスクを伴う単一障害点になり得ます。イーサリアム財団も資金提供する「EEZ」構想など解消に向けた取り組みは進んでいますが、実装・普及には時間を要します。
- 他チェーンとの競争激化:SolanaやTron、BNBチェーンなど高スループットな競合L1が、DeFiの取引高やオンチェーン収益でイーサリアムを部分的に上回る場面が増えています。開発者・流動性がイーサリアムエコシステムに留まり続けるかは今後の焦点です。
- マクロ・規制への感応度上昇:現物ETFの普及によって機関資金の流入経路が整った一方、株式市場との連動性が強まり、金融引き締めや関税政策などマクロ要因に対する価格の反応が大きくなっています。ETFからの資金流出局面では、下落が増幅されやすい構造も指摘されています。
- スマートコントラクト・ブリッジのセキュリティリスク:イーサリアム上の高額DeFiプロトコルやL2とのブリッジは引き続きハッキングの標的となっており、大規模な不正流出が生じた場合、市場心理の悪化を通じてETH価格全体に波及する可能性があります。
これらのリスクは、イーサリアムの技術的な将来性そのものを否定するものではなく、L2化という成長戦略が生んだ「副作用」としての性質が強い点には留意が必要です。実際、Based RollupsやEEZのように、L1への価値還元を再設計しようとする提案も継続的に生まれています。今後の見通しを判断する際は、こうしたリスクとその是正に向けた取り組みの両方を注視することが重要です。
イーサリアムはオワコンか?
ここまで見てきたL1手数料収入の急減、供給のインフレ転換、他チェーンとの競争激化を踏まえ、「イーサリアムはもう終わったのでは」という声も一部で聞かれます。しかし、これらはEVM経済圏そのものの縮小ではなく、L2化という成長戦略が生んだ副作用として位置づけられる変化です。DeFiのTVLシェアは低下傾向にあるとはいえ依然50%台で単一チェーン首位を維持し、ETFやトレジャリー企業を通じた機関保有も供給量の1割超に達するなど、中心的な地位そのものは失われていません。
したがって「終わったか終わっていないか」を一度に断定するのではなく、①L1への価値還元を再設計する提案(Based RollupsやEEZなど)の進捗、②ETF・機関資金の流入基調、③Glamsterdam以降のロードマップの実装状況という3点を継続的に点検するのが実務的です。現状は、弱気材料が可視化された「移行期」にあると捉えるのが妥当でしょう。
《出典》
Ethereum TVL|DefiLlama
【2026年最新】イーサリアムはオワコン?実態と「価格が上がらない」理由を解説|CoinChoice
【ETH運用】イーサリアムは長期運用が基本
ETH(イーサリアム)は、短期ではニュース・金利・リスクオン/オフで大きく上下します。一方で、本質的な価値は 「開発と利用が積み上がる速度」で決まり、これは日々の値動きよりも年単位で効いてきます。 つまりETHへの投資は、短期の当て物よりも長期で成長を取りにいく設計のほうが合理的です。
《出典》
Ethereum Price History: Download ETH Historical Data|CoinGecko
Crypto Assets|Investor.gov
なぜETHは「長期目線」が合理的なのか
ETHは短期の値動きが激しく、「上がる/下がる」を当てにいくと判断がブレやすい資産です。ところが、その“荒さ”は裏を返せば、 長期で保有するほど吸収できる要素が増えるということでもあります。ここで大事なのは、ETHの価値が「今日明日のムード」ではなく、 エコシステムの積み上げ(開発・利用・流動性)によって強くなっていく構造を持っている点です。
まず、イーサリアムの成長は年単位で起こります。アップグレードやレイヤー2普及、企業・金融での実装、規制の整備といった“土台の拡張”は、 短期で一気に進むものではありません。だからこそ、短期の価格変動は派手でも、本質的な価値の増え方は緩やかに積み上がる傾向があります。 短期トレードでこのギャップを取りにいくのは難しく、逆に長期保有であれば、価値が積み上がるまでの時間を味方につけられます。
次に、イーサリアムはネットワーク効果が働きやすい設計です。開発者やユーザーが増えるほどアプリが増え、流動性が厚くなり、 さらに参加者が増えるという循環が起きやすい。これは、成長が「直線」ではなく累積(積み上げ)として効いてくるタイプの資産で、 途中で価格が揺れても、参加者・ツール・サービスが増え続ける限り、長期の競争力は保たれやすいということです。
そして、ETHが長期で有利になりやすい最大の理由は、「標準」としての強さです。イーサリアムはEVM(Ethereum Virtual Machine)を中心に動いており、 EVMは簡単に言えばスマートコントラクトを動かす共通の実行環境です。EVMに対応したチェーンやレイヤー2が増えるほど、 開発ツールやアプリ、資金が相互に行き来しやすくなり、“EVM経済圏”が拡大します。つまり、ETHは単体のチェーンとして戦っているのではなく、 互換性のある巨大な市場(経済圏)の中心に位置しやすい、という構造的優位を持っています。
さらに、DeFiやステーブルコインなどで運用される資金(TVLやオンチェーン流動性)は、短期で入れ替わる投機資金とは性質が異なり、 一定の利用が続くほど「使われ続けるインフラ」としての地位が強まります。これが長期目線の投資にとって重要なのは、 “需要がある限りネットワーク利用が積み上がる”という点で、短期の価格が荒れても、実需の土台が残り続ける限り 中長期での回復余地(戻りの起点)が作られやすいからです。
最後に、ボラティリティ(価格変動)の吸収という観点でも、長期目線のほうが合理的です。短期はニュースや指標で上下に振られますが、 長期になるほど「平均化」が効き、高値掴み・安値売りの心理的ミスを避けやすくなります。特に分割購入(積立)を組み合わせると、 下落局面が“損失”ではなく“取得単価を下げる期間”として働きやすく、ボラティリティを味方に変えられます。 要するに、ETHは短期の値動きが激しいからこそ、時間分散(長期)で揺れを吸収し、成長の果実を取りにいく設計が最も合理的です。
《出典》
Ethereum roadmap|ethereum.org
Intro to Ethereum Layer 2: benefits and uses|ethereum.org
Ethereum Virtual Machine (EVM)|ethereum.org
Ethereum TVL|DefiLlama
長期運用の考え方
長期運用で成果を出すコツは、価格変動(ボラティリティ)を前提に、資産が増えやすい構造を作ることです。 ETHは短期的な視点では値動きが大きいですが、長期で見れば時間分散+複利的な運用と相性が良い資産です。
まず基本になるのがドルコスト平均法(積立)です。毎月・毎週など一定ペースで買うことで、価格が下がった局面は自然に取得単価を下げ、 上がった局面でも追いかけ買いの判断を減らせます。さらに、一定の比率で保有するルールを決めてリバランスを行えば、 上がりすぎたときに取りすぎたリスクを抑え、下がりすぎたときに機械的に比率を戻す――という形で、感情ではなくルールで運用できます。
そして中長期で効いてくるのが、保有したETHを「ただ置いておく」のではなく、目的とリスクを理解したうえで“働かせる”という発想です。 代表的なのがステーキングとレンディングです。どちらも「利回り」を得る手段ですが、仕組みが違うため、リスクの質も異なります。
ステーキングは、ETHをロックしてネットワーク運用(PoSの仕組み)に参加し、報酬を得る方法です。運用の基本設計としては 「ETHを長期で保有する」という方針と整合しやすく、値動きとは別に報酬が積み上がるのがメリットです。 一方で、引き出し条件(ロック/解除)、利用するサービス形態によってはスラッシングや運営者リスクなどもあるため、 “どの形でステーキングするか”を先に決めるのが重要です。
レンディングは、ETHを貸し出して利息を得る方法で、利息を再投資できる設計なら複利的に増やすことも可能です。 ただしレンディングは「ネットワーク報酬」ではなく、借り手・運用者側の信用や運用設計の影響を受けます。 そのため、利回りだけでなく、返還条件(期間・途中解約)、資産管理の方法、万一のときの取り扱い(補償の有無)など、 契約条件とリスクを理解した上で使うべき手段です。
まとめると、長期運用の王道は、 ①積立で取得単価を平準化し、②ルールで比率を整え、③保管を固めたうえで、④ステーキング/レンディングを“必要な範囲で”組み合わせるという流れです。 これにより、値動きに一喜一憂するのではなく、ETHの長期成長を取りにいきながら、同時に時間と利回りで利益の最大化を狙いやすくなります。
※ステーキング/レンディングには価格変動とは別のリスク(ロック、スラッシング、信用・事業者・スマートコントラクト等)が伴います。利回りだけで判断せず、仕組みと条件を確認した上でご自身の責任でご判断ください。
《出典》
Dollar Cost Averaging|Investor.gov
Asset Allocation and Diversification|Investor.gov
Ethereum staking: How does it work?|ethereum.org
ステーキング/レンディングは「仕組みとリスク」を理解してから
ETHはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)で動いているため、ETHを預けてネットワーク運用に参加し報酬を得るステーキングがあります。 一方で、事業者にETHを貸し出して利息を得るレンディングは、仕組みがまったく別で、リスクの種類も変わります。 利回りだけで選ぶと「想定していないリスク」を踏みやすいため、先に違いを整理してから検討しましょう。
| 項目 | ステーキング | レンディング |
|---|---|---|
| 仕組み | ネットワークの合意形成(検証)に資産を参加させ、報酬を得る | 事業者/借り手に資産を貸し出し、利息(リターン)を得る |
| 主なリスク |
スラッシング(罰則)、ロック/引き出し遅延、バリデータ/サービス提供者リスク、 LST利用時はスマコン/デペグ等の追加リスク |
事業者リスク(信用・破綻)、運用/管理の不透明性、流動性(解約条件)、 規制・契約条件変更、損失発生時の補償が限定的になり得る |
| 向いている人 | オンチェーンの仕組み・引き出し条件を理解し、運用を分散できる人 | 信用リスクと条件を理解し、期間・上限・分散ルールを作れる人 |
どちらも「利回り=利益確定」ではありません。事前に仕組みやリスクを把握してから判断するのがリスクを抑えやすくなります。
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《出典》
Ethereum staking: How does it work?|ethereum.org
SEC Charges Genesis and Gemini for the Unregistered Offer and Sale of Crypto Asset Securities through the Gemini Earn Lending Program|SEC.gov
Crypto Assets|Investor.gov
税金ルールで知っておきたいポイント
結論:イーサリアムは値動きだけでなく、税務と記録管理も実務上かなり重要です。暗号資産への申告分離課税(20%)は2026年の法改正で導入が決まりましたが、適用開始日はまだ確定しておらず、それまでは現行の総合課税が続きます。いつから何が変わるのかを正しく把握したうえで、現行ルールで対応できる記録管理を整えておくことが大切です。
なぜ税務が重要なのか
- 売却だけでなく、交換や一部の受け取り形態でも課税関係が生じる場合がある
- ステーキング報酬やレンディング利息を受け取った場合も、受取時の時価を基に所得を計算する必要がある
- 取引回数が増えるほど、記録管理と申告負担が重くなりやすい
- 申告分離課税(20%)の適用開始日はまだ確定しておらず、それまでは総合課税(最大55%)が続く
- 分離課税の対象は暗号資産全般ではなく、一定の要件を満たす取引に限られる
《出典》
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について|国税庁
No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係|国税庁
用語解説:分離課税とは
分離課税とは、給与所得など他の所得とは切り離して税額を計算する課税方式です。暗号資産については、2026年3月31日に公布された改正所得税法(令和8年法律第12号)で、一定の取引に対する20%の申告分離課税(所得税15%・個人住民税5%)と、一定要件を満たす損失の翌年以後3年間の繰越控除が定められました。前提となる金融商品取引法等の改正法も同年7月15日に成立し、7月23日に公布されています。
ただし適用開始日はまだ確定していません。金商法等改正法の施行日は公布日から1年以内に政令で定められ、分離課税はその施行日が属する年の翌年1月1日以後の取引から適用されます。また対象は暗号資産全般ではありません。国税庁の説明では、登録簿に登録された「特定暗号資産」を暗号資産取引業者への売委託により譲渡する場合などが対象とされており、海外取引所やDeFi、個人間取引、商品・サービスの購入への使用が同じ扱いになるとは限りません。適用開始までの利益は、原則として雑所得・総合課税(最大55%)の対象です。
具体的な計算方法や確定申告については、以下の税務ガイドもあわせて確認してください。
【最新版】仮想通貨の税金を完全解説|税率・計算方法・確定申告・よくある質問
《出典》(2026年8月10日確認)
令和8年度税制改正の大綱(個人所得課税)|財務省
令和8年度 所得税及び復興特別所得税の改正のあらまし|国税庁
金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 議案審議経過情報|衆議院
イーサリアムETFの導入で「今後」が変わった理由(需給・制度化・注意点)
ETHの今後を考えるうえで重要なのが、米国の現物イーサリアムETF(ETP)です。米国では、現物イーサリアムETFが2024年7月23日に取引を開始し、投資家が証券口座を通じてETHの価格変動にアクセスできる環境が整いました。ETFは投資経路を広げる一方、日々の純流入・純流出は需給に影響し得ます。ただし、ETFの資金フローだけでETH価格の変動を説明できるわけではないため、金利や為替、暗号資産市場全体の動向とあわせて確認することが重要です。
《出典》
Order Granting Accelerated Approval of Proposed Rule Changes to List and Trade Shares of Ether-Based Exchange-Traded Products|U.S. SEC
米国で承認されたイーサリアムETFの概要とその影響|日本総合研究所
現物イーサリアムETFとは?(簡単にいうと)
現物イーサリアムETFは、株式と同じように証券取引所で売買できる商品で、投資家は「直接ETHを保管・管理する」代わりに、 ETFを通じてイーサリアム価格へのエクスポージャーを得られます。
なぜETFが「今後の価格」に効くのか(3つ)
- 買い手が広がる:証券口座・アドバイザー経由でアクセスしやすくなり、市場参加の裾野が広がりやすい。
- 需給が“見える化”する:日次の純流入/純流出が、短期の地合い指標になりやすい。
- 制度化が進む:開示・目論見書・ガバナンスが整い、機関投資家の検討が進みやすい。
今後、ETFで「まず見るべき」チェック項目
- ETFの純流入/純流出(基調):日次のブレより「週次で増えているか/減っているか」を重視。
- 市場の地合い:金利・ドルが逆風の局面では、ETFフローが鈍化しやすい(逆も同様)。
- 制度面のアップデート:規制・開示ルールの更新は中長期の参加者拡大に影響しうる。
イーサリアムの今後についてのよくある質問
ここでは「短期〜中期の見通し」「ETF」「ステーキング」「リスク管理」など、質問が多いテーマをまとめました。
※本FAQは情報提供を目的としたもので、特定の投資行動を推奨するものではありません。
Q1. 短期(数週間〜数か月)のETHは、何を見ればいい?
短期は「情報を増やす」より、影響が大きい指標に絞るのが有効です。
- 金利・ドル:FOMC、実質金利、DXY
- ETFフロー:米ETH現物ETFの純流入/純流出(週次)
- 過熱・清算:Funding、OI、清算データ
Q2. 中期(1〜2年)で重要な材料は?
マクロ(景気・金利)に加えて、ETH固有の材料(アップデート、レイヤー2普及、ステーキング需給)が重要です。特に「利用量(手数料)」と「規制の明確化」は注視ポイントです。
Q3. ステーキングは“安全な利回り”と考えていい?
ステーキングは仕組みとしての報酬ですが、形態によってはロック、スラッシング、スマコン、事業者リスクがあり「無リスク利回り」ではありません。リスクの所在(誰が運用し、どこに資産があるか)を確認してください。
Q4. ETFのニュースは、どう価格に効く?
短期は「純流入/純流出」が地合いを左右しやすい傾向があります。日次よりも週次で方向性を見るのが実務的です。
Q5. 価格が暴落したとき、どう考える?
まずはポジションサイズと損失許容を再確認し、レバレッジや集中を見直します。長期なら「想定シナリオが崩れたか(規制・技術事故・採用停滞)」を点検し、崩れていないなら機械的な分散買い・リバランスが選択肢になります。
Q6. 最低限のリスク管理は?
- 保管:取引所の分散、可能なら自己保管(秘密鍵管理)
- 詐欺対策:承認(Approve)の見直し、怪しいリンクを踏まない
- 分散:暗号資産に偏りすぎない(現金・株・債券などと合わせる)
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の投資行動を推奨するものではありません。